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医療提供機能連携確保加算(A254)の実績でいう「巡回診療」は、医療法上の巡回診療として行う保険診療に限られます。施設基準では、外来・在宅診療体制の確保に係る実績(アからエ)の1つに巡回診療が挙げられています。ところが、自治体委託の健診や無料の医療相談など、似た取組のどこまでを巡回診療として数えてよいかが、通知本文だけでは判断しにくい状況です。本回答では、実績に数えられる巡回診療の範囲を3つの条件から整理します。
結論として、実績に数えられる巡回診療は、3つの条件をすべて満たすものに限られます。1つ目は、医療法上の巡回診療に基づく診療であることです。2つ目は、加算を算定する病院自身の事業として行う診療であることです。3つ目は、保険診療として行う診療であることです。根拠は疑義解釈資料(その2)問21にあります。
第1の条件は、医療法上の巡回診療に基づく診療であることです。疑義解釈資料(その2)問21では、当該加算の巡回診療を「巡回診療の医療法上の取り扱いについて」(昭和37年6月20日付け医発第554号厚生省医務局長通知)に基づくものと示しました。この通知は、医師が定期的に各地へ出向いて診療を行う形態を巡回診療として位置づけています。したがって、医療法上の巡回診療の枠組みから外れる取組は、実績に数えられません。
第2の条件は、加算を算定する病院自身の事業として行う診療であることです。医療法上の巡回診療であっても、加算を算定する病院の事業として行われていなければ、実績には含まれません。別法人への委託や、他機関が主体となる巡回は、自院の実績として計上できません。実績を集計する前に、巡回診療の実施主体が加算を算定する病院自身かどうかを確認してください。
第3の条件は、保険診療として行う診療であることです。病院自身の事業であっても、保険診療として行うものに限られます。自費の健康診断や、無料の医療相談など、保険診療に当たらない取組は、巡回診療の実績に数えられません。実績の集計では、保険診療分のみを抽出する必要があります。
まずは、自院の巡回診療が3つの条件をすべて満たすかを1件ずつ点検しましょう。医療法上の巡回診療か、病院自身の事業か、保険診療かの3点を確認し、すべてを満たす診療だけを実績として積み上げます。そのうえで、施設基準通知のアからエのうち2つ以上を、人口の少ない地域に該当する同一の二次医療圏で満たせるかを確かめてください。条件から外れる取組を実績に含めると、届出後の指導で指摘を受けるおそれがあります。
医療提供機能連携確保加算の実績でいう巡回診療は、医療法上の巡回診療であり、病院自身の事業であり、保険診療であるという3つの条件をすべて満たすものに限られます。まずはこの3点で自院の巡回診療を1件ずつ点検し、条件を満たす診療だけを実績として集計してください。
♥ 0いいねをした人: いません精神科慢性身体合併症管理加算(A230-5)と精神療法の併算定は、どの医師が精神療法を行ったかで可否が分かれます。令和8年度改定の留意事項通知では、加算を算定する内科の医師自身が精神療法を行うと、加算を算定できないと定められました。一方で、現場では身体合併症を内科の医師が診て、精神療法を精神科の医師が担うケースも多く、この場合まで加算を諦めるべきか判断に迷います。本回答では、併算定の可否を医師の担当区分から整理します。
結論として、精神科を担当する医師が精神療法を行った場合は、加算と精神療法を併算定できます。これに対して、内科を担当する医師が精神療法を行った場合は、加算を算定できません。可否の分岐点は、加算に係る身体合併症を診る内科の医師と、精神療法を行う医師が同一かどうかです。根拠は留意事項通知と、疑義解釈資料(その5)問3にあります。
内科を担当する医師が精神療法を行った場合は、加算を算定できません。留意事項通知(令和8年3月5日 保医発0305第6号)の(2)では、当該内科を担当する医師が、当該医療機関において1回以上「I001」入院精神療法又は「I002」通院・在宅精神療法を行った場合は、当該加算は別に算定できないと定めています。つまり、身体合併症の管理と精神療法を一人の内科医が兼ねた月は、加算そのものが算定対象から外れます。
精神科を担当する医師が精神療法を行った場合は、加算と精神療法を併算定できます。疑義解釈資料(その5)問3では、内科を担当する医師とは別の、精神科を担当する医師が精神療法を行った場合は、同一の患者に対し加算と精神療法を併算定できると明示されました。身体合併症を内科の医師が診て、精神療法を精神科の医師が担う体制であれば、両者はそれぞれ別の評価として成立します。
まずは、精神療法を算定した医師の担当区分をカルテで確認しましょう。レセプト点検では、加算を算定する月にI001・I002を算定した医師が、内科担当か精神科担当かを区別します。両者が同一医師の月は加算を外し、別医師の月は併算定を維持してください。あわせて、加算に係る診察の担当医と精神療法の担当医が診療録上で区別できる記録運用を整えておくと、返戻や査定のリスクを下げられます。
精神科慢性身体合併症管理加算と精神療法の併算定は、医師の担当区分で決まります。内科を担当する医師が精神療法を行うと加算は算定できず、精神科を担当する医師が精神療法を行うと併算定できます。まずは精神療法を算定した医師の区分を確認し、レセプト点検の判断基準に組み込んでください。
♥ 0いいねをした人: いません医事課での収入の使い道の整理、おつかれさまです。病棟が制度ごとに分かれていると、収入も病棟ごとに縛られるのではと心配になられるのは当然です。結論から申し上げると、ご質問者様の解釈で合っています。病棟が明確に分かれていても、各制度で得られた収入の合計を、対象職員全体の賃上げに用いて差し支えありません。医療観察法病棟で得た収入を、その病棟の職員だけに限定する必要はないのです。この回答では、収入を全体の賃上げに用いてよい根拠と、留意点を整理します。
ポイントは3つです。第一に、病棟が明確に分かれていても、収入の合計を対象職員全体の賃上げに用いてよいとされています。第二に、その対象には、当該病棟に勤務する職員も含まれます。第三に、これは医療保険と各制度の評価料を合算して充当する、という考え方によるものです。以下、順に解説します。
1. 病棟が明確に分かれていても収入の合計を全体の賃上げに用いてよい
病棟が明確に分かれている場合でも、得られた収入の合計を対象職員全体の賃上げに用いて差し支えありません。疑義解釈資料(その3)問3は、この点を示しています。同問は、同一の保険医療機関内で、ベースアップ評価料が算定される自由診療以外の患者を診療する病棟等が明確に分かれている場合(医療観察法病棟等)であっても、医療保険および各制度の看護職員処遇改善評価料・ベースアップ評価料によって得られる収入の合計を、対象職員全体の賃上げに用いることとしてよいか、という問いに対し、「差し支えない」と回答しています。つまり、病棟が分かれていることを理由に、収入の使い道を病棟ごとに縛る必要はない、ということです。
2. 対象には当該病棟に勤務する職員も含まれる
収入を全体に用いるにあたって、その対象には当該病棟の職員も含まれます。問3は、収入の合計を「当該病棟等に勤務する職員を含む、対象職員全体の賃上げに用いる」としています。つまり、医療観察法病棟のように明確に分かれた病棟の職員も、全体の賃上げの対象から外れるわけではありません。分かれた病棟の職員を含めて、対象職員全体で収入を配分してよい、ということです。病棟が分かれていても、賃上げの対象としては一体で扱える、とご理解ください。
3. 医療保険と各制度の評価料を合算して充当する考え方
収入を全体に用いてよいのは、各制度の評価料を合算して充当する、という考え方によるものです。この合算の考え方は、関連する問でも示されています。疑義解釈資料(その3)問2では、医療観察法制度等の公費負担医療や労災保険制度等の患者の診療回数も区分計算に算入し、これらの制度により算定される評価料を合算した額を、対象職員の賃金改善に充当する必要がある、とされています。つまり、各制度の収入は合算して扱うのが前提であり、その合算額を全体の賃上げに充てる、という流れになっています。問3の取扱いは、この合算の考え方と一貫している、と整理すると分かりやすくなります。
合算が前提である一方で、自由診療は扱いが異なる点に注意が必要です。問3が対象としているのは、あくまで自由診療以外の患者を診療する病棟です。自由診療の患者については、別途、区分計算に算入しない取扱いとされています。医療保険や公費・労災などの制度による収入は合算して全体の賃上げに用いますが、自由診療はこの枠組みの外にある、と押さえておくことが大切です。
4. 現場での具体的なアクション
まずは、各病棟・各制度で得られたベースアップ評価料等の収入を合算で把握しましょう。医療保険の病棟分と、医療観察法病棟など各制度の分とを合計し、賃上げの原資となる総額を明確にします。病棟ごとに分けて縛る必要はなく、合算した総額を母数として扱います。
次に、その合算額を、当該病棟の職員を含む対象職員全体に配分する計画を立ててください。医療観察法病棟の職員も、全体の賃上げの対象に含めます。病棟をまたいで対象職員全体で配分する前提で、賃金改善の設計を組むと整理が進みます。
最後に、根拠を医事課内で共有しておきましょう。疑義解釈資料(その3)問3を、関連する問2とあわせて印刷し、ファイルに綴じておくと、収入の合算と全体への配分の考え方を、迷わず確認できます。来年度以降の担当者への引継ぎにも役立ちます。
まとめ
医療観察法病棟等のように病棟が明確に分かれていても、各制度で得られた収入の合計を、対象職員全体の賃上げに用いて差し支えありません。その対象には、当該病棟に勤務する職員も含まれます。これは、医療保険と各制度の評価料を合算して充当する考え方によるものです。ただし、自由診療はこの枠組みの外にあります。根拠は疑義解釈資料(その3)問3です。まずは、各病棟・各制度の収入を合算で把握することから始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いません医局事務での対象職員の判定、おつかれさまです。年齢の区切りは、誕生日がどの月に当たるかで扱いが変わるだけに、どの時点で見るのか迷われるのは当然です。結論から申し上げると、ご質問者様の解釈で合っています。賃金の支払いの対象となった月の初日時点で40歳未満であれば、その月は対象職員として扱います。月末時点ではなく、月の初日時点で判定する、という考え方です。この回答では、40歳の判定基準と、対象職員数が動いたときの手続きを整理します。
ポイントは3つです。第一に、40歳の判定は、賃金の支払いの対象となった月の初日時点で行います。第二に、対象職員数に1割以上の変動があり区分が変わる場合は、届出が必要です。第三に、報告書には「在籍期間の基本給等総額」を「総算定月数」で割った値を計上します。以下、順に解説します。
1. 40歳の判定は賃金の支払いの対象となった月の初日時点で行う
40歳に該当するかどうかは、賃金の支払いの対象となった月の初日時点で判定します。疑義解釈資料(その3)問5は、この点を示しています。同問は、算定期間中に40歳となった医師、歯科医師、保険薬局に勤務する薬剤師について、対象職員に含める基準を問う問いに対し、「賃金の支払いの対象となった月の初日時点で、40歳未満であれば対象職員として扱う」と回答しています。つまり、月末や誕生日当日ではなく、その月の初日に40歳未満だったかどうかで、その月の扱いが決まる、ということです。月の途中で40歳になっても、初日時点で40歳未満であれば、その月は対象に含めます。
2. 対象職員数が1割以上変動し区分が変わる場合は届出が必要
40歳到達によって対象職員数が動いた場合、変動の大きさによっては手続きが必要になります。問5は、この点も示しています。対象職員の数に1割以上の変動があった場合であって、改めて区分を算出した結果、区分の変動があるときは、算出を行った月内に地方厚生(支)局長へ届出を行ったうえで、翌月から変更後の区分に基づく点数を算定する、とされています。つまり、40歳到達で対象から外れる職員が出て、その結果が1割以上の変動と区分の変動の両方につながる場合は、届出が必要になる、ということです。
1割以上の変動と区分の変動が、両方そろって初めて届出につながる点に注意が必要です。対象職員数が1割以上動いても、再計算した区分が変わらなければ、届出は不要です。逆に、両方が生じる場合は、算出した月のうちに届出を行い、翌月から新区分で算定します。40歳到達者がまとまって出る局面では、対象職員数を再計算する習慣をつけておくと安心です。
3. 報告書には「在籍期間の基本給等総額÷総算定月数」を計上する
算定期間中に対象職員の変動があった場合、報告書への記載方法も定められています。問5は、当該評価料の算定期間中に対象職員の変動があった場合について、記載方法を示しています。具体的には、「対象職員として取扱って賃金改善を行った期間における基本給等の総額」を「ベースアップ評価料の総算定月数」で割った値を、1月当たりの基本給等総額に計上する、とされています。つまり、40歳到達で年度の一部の期間だけ対象だった職員も、対象であった期間の総額を月数で平準化して報告書に反映する、という考え方です。
4. 現場での具体的なアクション
まずは、対象職員のうち医師・歯科医師・薬剤師について、算定期間中に40歳を迎える人を洗い出しましょう。誰がいつ40歳になるかを把握しておけば、各月の初日時点での判定がスムーズに進みます。月の初日に40歳未満かどうかを基準に、月ごとの対象・対象外を整理します。
次に、40歳到達によって対象職員数が動く局面では、変動の大きさを確認してください。1割以上の変動が生じ、再計算した区分が変わる場合は、算出した月のうちに届出を行い、翌月から新区分で算定する必要があります。変動の確認を月次の作業に組み込んでおくと、期限を逃さずに済みます。
最後に、根拠を医局事務内で共有しておきましょう。疑義解釈資料(その3)問5を印刷し、報告書や届出のファイルに綴じておくと、40歳の判定基準と、対象職員数が動いたときの手続きを、迷わず確認できます。来年度以降の担当者への引継ぎにも役立ちます。
まとめ
算定期間中に40歳となった医師・歯科医師・薬剤師は、賃金の支払いの対象となった月の初日時点で40歳未満であれば、その月は対象職員として扱います。対象職員数に1割以上の変動があり区分が変わる場合は、その月のうちに届出を行い、翌月から新区分で算定します。報告書には、対象であった期間の基本給等総額を総算定月数で割った値を計上します。根拠は疑義解釈資料(その3)問5です。まずは、算定期間中に40歳を迎える対象職員を洗い出すことから始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いません医事課での報告書作成、おつかれさまです。実際に算定して入っている収入を「含めない」と言われると、直感に反して戸惑われるのは当然です。結論から申し上げると、ご質問者様の解釈で合っています。注5の継続的な賃上げの評価分は、収入の実績額には含めません。報告書には、注5の評価分を除いた本体点数のみで算定したものとして置き換えて計算します。この回答では、なぜ注5の分を含めないのか、そして具体的にどう置き換えるのかを整理します。
ポイントは3つです。第一に、注5の継続的な賃上げの評価分は、収入の実績額に含めません。第二に、本体点数のみを算定した場合に置き換えて計算します。第三に、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)では、令和8年度において初診時17点・再診時等4点で計算します。以下、順に解説します。
1. 注5の継続的な賃上げの評価分は収入の実績額に含めない
注5の継続的な賃上げの評価分は、報告書の収入の実績額には含めません。疑義解釈資料(その5)問7は、この点を示しています。同問は、報告書に記載する「ベースアップ評価料等による収入の実績額」について、注5等に含まれる継続的な賃上げの取組の実施に係る評価分を含めるか、という問いに対し、「含めない」と回答しています。つまり、注5の評価分が上乗せされた点数で実際に算定していても、報告書上の収入の実績額にはその分を反映させない、ということです。上司の方のご指摘が正しい、ということになります。
2. 本体点数のみを算定した場合に置き換えて計算する
注5の分を含めない代わりに、本体点数のみで計算し直します。問7は、その計算方法を示しています。具体的には、注5等のうち継続的な賃上げの取組の実施に係る評価の点数分を除いて、当該評価料の本体点数のみを算定した場合に置き換えて計算する、とされています。つまり、実際の算定額をそのまま使うのではなく、注5がなかったものと仮定した本体点数で、収入の実績額を計算し直す、という考え方です。実際に入ってきた収入額と、報告書に書く収入の実績額とは、必ずしも一致しない点に注意が必要です。
3. 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)では初診時17点・再診時等4点で計算する
具体的な置き換えの数字も、問7に示されています。問7は、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の場合を例に挙げています。具体的には、注5の適用があるかどうかにかかわらず、収入の実績額は、令和8年度においては初診時17点・再診時等4点となる、とされています。つまり、注5を届け出て上乗せされた点数で算定していても、報告書上は注5を適用しない本体点数(初診時17点・再診時等4点)に置き換えて計算する、ということです。注5の有無で報告書上の収入の実績額が変わらないよう、本体点数で統一する仕組みになっています。
「実際の算定」と「報告書上の計算」を分けて考える点が重要です。日々のレセプトでは、注5の評価分を含んだ点数で算定します。一方で、報告書の収入の実績額は、注5を除いた本体点数で計算し直します。この2つを混同すると、収入の実績額を過大に計上してしまうおそれがあります。算定と報告は別の計算、と切り分けて押さえておくことが大切です。
4. 現場での具体的なアクション
まずは、報告書の収入の実績額を、本体点数で計算し直す前提を共有しましょう。実際の算定額をそのまま転記するのではなく、注5の評価分を除いた本体点数に置き換えて計算します。外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)であれば、令和8年度は初診時17点・再診時等4点が基準です。
次に、初診・再診等の算定回数を、本体点数に掛け合わせて収入の実績額を算出してください。注5の有無にかかわらず、本体点数で統一して計算します。算定回数さえ正確に押さえておけば、本体点数を掛けるだけで報告書上の収入の実績額が求まります。
最後に、根拠を医事課内で共有しておきましょう。疑義解釈資料(その5)問7を印刷し、報告書のファイルに綴じておくと、注5の分を含めない理由と、本体点数の具体的な数字を、迷わず確認できます。来年度以降の担当者への引継ぎにも役立ちます。
まとめ
報告書に記載する「ベースアップ評価料等による収入の実績額」には、注5などの継続的な賃上げの評価分を含めません。注5の点数分を除いた本体点数のみを算定した場合に置き換えて計算します。外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)であれば、令和8年度は初診時17点・再診時等4点で計算します。根拠は疑義解釈資料(その5)問7です。まずは、収入の実績額を本体点数で計算し直す前提を、医事課内で共有することから始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いません令和6年開業のクリニックでの事務、おつかれさまです。比較の基準となる令和6年3月時点が存在しないと、自院は届出の対象外なのかと不安になられるのは当然です。結論から申し上げると、ご質問者様の解釈で合っています。令和6年3月時点との比較ができなくても、継続的な賃上げの取組に係る施設基準の届出はできます。開業時点の給与体系に基づく基本給等総額と、算定する月時点の基本給等総額とを比較し、水準を満たせばよいのです。この回答では、比較ができない場合の代替の方法を整理します。
ポイントは3つです。第一に、令和6年3月時点との比較ができなくても、届出は可能です。第二に、その場合は、開業時点の給与体系に基づく基本給等総額を比較の起点にします。第三に、開業時点と算定する月時点とを比較し、水準を満たせば届出できます。以下、順に解説します。
1. 令和6年3月時点との比較ができなくても届出は可能
令和6年3月時点との比較ができない場合でも、継続的な賃上げの取組に係る施設基準の届出はできます。疑義解釈資料(その5)問5は、この点を示しています。同問は、令和6年4月以降令和8年5月以前に開業し、ベースアップ評価料(Ⅰ)を届け出ていない医療機関等について、令和6年3月時点の基本給等総額と比較を行うことができないが、届出を行うことはできないのか、という問いを扱っています。これに対し、一定の方法によれば届出を行うことができる、と回答しています。つまり、令和6年3月時点が存在しないこと自体は、届出を諦める理由にはならない、ということです。
2. その場合は開業時点の給与体系に基づく基本給等総額を起点にする
令和6年3月時点が使えない場合は、開業時点の給与体系を比較の起点にします。問5は、比較の起点となる代替の基準を示しています。具体的には、令和6年3月時点ではなく、開業時点における給与体系に基づく基本給等総額を用いる、とされています。つまり、自院に存在しない過去の時点を無理に使うのではなく、実際に給与体系が始まった開業時点を、比較の出発点に置き換える、という考え方です。ご質問者様のように令和6年4月以降に開業した院では、この開業時点が比較の基準になります。
3. 開業時点と算定する月時点とを比較し水準を満たせば届出できる
起点を開業時点に置き換えたうえで、算定する月時点と比較します。問5は、開業時点における給与体系に基づく基本給等総額と、当該評価料を算定する月時点の基本給等総額とを比較し、施設基準に定める水準を満たす場合には、継続的な賃上げの取組に係る施設基準を満たすものとして届出を行うことができる、としています。つまり、比較の構造そのものは通常と同じで、起点だけが令和6年3月時点から開業時点に入れ替わる、と整理すると分かりやすくなります。
比較の起点が入れ替わるだけで、満たすべき水準は同じである点に注意が必要です。通常の医療機関が令和6年3月時点を起点にするのに対し、令和6年4月以降に開業した院は開業時点を起点にします。起点は異なりますが、施設基準に定める水準を満たす必要があるという点は共通です。起点の置き換えが認められているだけで、求められる賃上げの水準が緩和されるわけではない、とご理解ください。
4. 現場での具体的なアクション
まずは、開業時点の給与体系に基づく基本給等総額を確定させましょう。これが比較の起点になります。開業時の給与表と、当時の対象職員の基本給等を整理し、起点となる総額を明確にしておくと、比較の準備が整います。
次に、算定する月時点の基本給等総額を算出し、開業時点との比較を行ってください。両者を比較し、施設基準に定める水準を満たしているかを確認します。水準を満たしていれば、継続的な賃上げの取組に係る施設基準の届出が可能です。満たしていない場合は、賃上げの上積みを検討することになります。
最後に、根拠を院内で共有しておきましょう。疑義解釈資料(その5)問5を印刷し、届出のファイルに綴じておくと、令和6年3月時点が存在しない理由と、開業時点を起点にする扱いを、明確に説明できます。来年度以降の担当者への引継ぎにも役立ちます。
まとめ
令和6年4月以降に開業し、ベースアップ評価料(Ⅰ)を届け出ていない医療機関でも、継続的な賃上げの取組に係る施設基準の届出はできます。令和6年3月時点との比較ができない場合は、開業時点の給与体系に基づく基本給等総額を起点とし、算定する月時点と比較して水準を満たせばよいのです。起点が入れ替わるだけで、満たすべき水準は同じです。根拠は疑義解釈資料(その5)問5です。まずは、開業時点の基本給等総額を確定させることから始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いません人事での継続的な賃上げの取組の確認、おつかれさまです。定期昇給や定年後再雇用が絡むと、何と何を比べればよいのか見えにくく、判断に迷われるのは当然です。結論から申し上げると、ご質問者様の解釈で合っています。定期昇給があった場合も、定年後の継続雇用があった場合も、比較の方法は同じです。算定する月時点の基本給等の合計と、その時点の職位等を令和6年3月時点の給与体系に当てはめた場合の合計とを比較します。この回答では、比較の2つの軸と、給与が動いても方法が変わらない理由を整理します。
ポイントは3つです。第一に、比較の一方の軸は、算定する月時点の基本給等の合計です。第二に、もう一方の軸は、その時点の職位等を令和6年3月時点の給与体系に当てはめた場合の合計です。第三に、定期昇給でも定年後再雇用でも、この比較の方法は変わりません。以下、順に解説します。
1. 比較の一方の軸は「算定する月時点の基本給等の合計」
比較の一方の軸は、当該評価料を算定する月時点の基本給等の合計です。疑義解釈資料(その5)問4は、この点を示しています。同問は、定期昇給や定年後の継続雇用による給与の変動があった場合の比較方法を問う問いに対し、比較する一方を「当該評価料を算定する月時点の基本給等の合計」としています。つまり、比較の起点は、過去の給与ではなく、評価料を算定している現在の月の基本給等である、ということです。
2. もう一方の軸は「その時点の職位等を令和6年3月の給与体系に当てはめた合計」
もう一方の軸は、算定する月時点の職位等を、令和6年3月時点の給与体系に当てはめた場合の基本給等の合計です。問4は、比較するもう一方を「当該評価料を算定する月時点の職位等に基づき、令和6年3月時点の給与体系に当該職位等を当てはめた場合の基本給等の合計」としています。ここで当てはめるのは、令和6年3月時点の給与「体系」であって、令和6年3月時点の給与「額」そのものではありません。現在の職位を、過去の給与表に当てはめ直して算出する、という考え方です。
2つの軸の違いを押さえておくことが大切です。一方は現在の給与体系での基本給等、もう一方は同じ職位を過去の給与体系に当てはめた基本給等です。職位という条件をそろえたうえで、給与体系の新旧だけを入れ替えて比べる、という構造になっています。これにより、給与体系そのものがどれだけ引き上げられたかを測れる、とご理解ください。
3. 定期昇給でも定年後再雇用でも比較の方法は変わらない
給与が変動する事情があっても、この比較の方法は変わりません。問4は、定期昇給による変動の場合も、定年後の継続雇用による変動の場合も、「いずれの場合においても」同じ方法で比較する、としています。つまり、定期昇給で給与が上がった職員も、定年後の再雇用で給与が変わった職員も、扱いは同一です。算定する月時点の基本給等と、その時点の職位等を令和6年3月時点の給与体系に当てはめた基本給等とを比べる、という一本の方法に統一されています。
給与変動の事情ごとに方法を変える必要はない点に注意が必要です。定期昇給と定年後再雇用は、給与が動く理由としては異なります。しかし、比較の方法という点では、どちらも同じ手順で扱います。事情の違いに惑わされず、2つの軸で比べるという一本の方法に当てはめれば足りる、と整理しておくと迷いません。
4. 現場での具体的なアクション
まずは、対象職員の「算定する月時点の職位等」を確定させましょう。比較の両方の軸が、この職位等を出発点にしています。定期昇給後・定年後再雇用後の現在の職位を正確に把握しておけば、2つの軸の算出がぶれずに進みます。
次に、令和6年3月時点の給与体系(給与表)を、比較に使える形で手元に揃えてください。もう一方の軸は、現在の職位をこの過去の給与体系に当てはめて算出します。令和6年3月時点の給与表が参照できる状態にしておくと、当てはめの計算がスムーズに進みます。
最後に、根拠を人事内で共有しておきましょう。疑義解釈資料(その5)問4を印刷し、施設基準のファイルに綴じておくと、定期昇給や定年後再雇用がある職員の比較方法を、迷わず確認できます。来年度以降の担当者への引継ぎにも役立ちます。
まとめ
継続的な賃上げの取組に係る施設基準の比較では、算定する月時点の基本給等の合計と、その時点の職位等を令和6年3月時点の給与体系に当てはめた場合の合計とを比べます。定期昇給があった場合も、定年後の継続雇用があった場合も、この比較の方法は変わりません。根拠は疑義解釈資料(その5)問4です。まずは、対象職員の算定する月時点の職位等を確定させることから始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いません経営企画でのベースアップ評価料の運用設計、おつかれさまです。繰越要件が削除されたと聞くと、残余が出たときにどう扱えばよいのか、不安になられるのは当然です。結論から申し上げると、ご質問者様の解釈で合っています。改定後は、原則として得た収入を翌年度へ繰り越すことはできません。ただし、患者数の変動でやむを得ず残余が出た場合には、一定の範囲で充当が認められます。この回答では、繰越の原則と、残余が出たときの例外的な扱いを整理します。
ポイントは3つです。第一に、改定後は、得た収入を原則としてその年度内の賃金改善に用います。第二に、これは令和8年度・令和9年度に段階的に引上げを行う措置を踏まえたものです。第三に、患者数の変動でやむを得ず残余が出た場合には、一定の範囲で充当が認められます。以下、順に解説します。
1. 改定後は得た収入を原則としてその年度内の賃金改善に用いる
改定後は、得た収入を原則としてその年度内の賃金改善に用いる必要があります。疑義解釈資料(その2)問6は、この点を示しています。同問は、繰り越しに係る要件が削除されたが、得られた収入を翌年度の賃金改善に用いるために繰り越すことは認められないのか、という問いに対し、令和8年6月から令和9年5月までに得られた収入は、原則として令和9年5月までの賃金改善に用いる必要がある、と回答しています。あわせて、令和9年度についても同様、とされています。つまり、得た収入はその算定期間内に使い切るのが原則、ということです。
2. 段階的な引上げ措置を踏まえた取扱い
原則としてその年度内に用いるのは、段階的な引上げ措置を踏まえたものです。問6は、令和8年度・令和9年度において、段階的にベースアップ評価料により得られる収入を引き上げる措置が講じられていることを、その理由として示しています。年度ごとに収入が引き上げられていく仕組みであるため、得た収入を翌年度へ持ち越すのではなく、その年度の賃金改善に充てる、という考え方です。改定前の繰越を前提とした運用とは、考え方が変わった点に注意が必要です。
3. やむを得ず残余が出た場合は一定の範囲で充当が認められる
原則は年度内ですが、やむを得ず残余が出た場合には例外が認められます。問6は、それまでの患者数等に基づいて収入額および賃金改善額を見積もったにもかかわらず、患者数等の変動により、収入額が確定した後にやむを得ず残余が生じた場合について、例外を示しています。具体的には、該当年度の実績報告書を提出する8月までの対象職員への賃金改善分に充当し、当該充当分を含めて報告して差し支えない、とされています。つまり、見積もりを適切に行ったうえで生じた残余に限り、翌年度の8月までの賃金改善に充てられる、ということです。
例外が認められるのは、あくまで見積もりを適切に行ったうえでの残余に限られる点に注意が必要です。問6は、患者数等に基づいて収入額と賃金改善額を見積もったにもかかわらず、変動でやむを得ず残余が生じた場合、という条件を置いています。見積もりを行わずに残余を出した場合や、意図的に使い残した場合は、この例外には当たりません。適切な見積もりが前提である、とご理解ください。
4. 現場での具体的なアクション
まずは、患者数の見込みに基づく収入額と賃金改善額の見積もりを、根拠とともに残しておきましょう。例外的な充当が認められるのは、適切に見積もったうえで残余が出た場合に限られます。見積もりの前提と計算過程を文書で残しておくと、残余が出た際に正当性を示せます。
次に、年度内に収入を使い切る配分を基本として運用してください。原則は、得た収入をその算定期間内の賃金改善に用いることです。年度の途中で収入と賃金改善額の差を定期的に確認し、年度内で過不足が出ないよう配分を調整しておくと安心です。
最後に、残余が生じた場合は、翌年度8月までの賃金改善への充当を計画してください。やむを得ず残余が出たときは、実績報告書を提出する8月までの賃金改善分に充て、その充当分を含めて報告します。根拠として疑義解釈資料(その2)問6を綴じておくと、説明や引継ぎがスムーズになります。
まとめ
改定後は、得た収入を原則としてその算定期間内の賃金改善に用います。これは令和8年度・令和9年度に段階的に引上げを行う措置を踏まえたものです。ただし、患者数の見込みを適切に立てたうえで、やむを得ず残余が出た場合には、実績報告書を提出する8月までの賃金改善に充当できます。根拠は疑義解釈資料(その2)問6です。まずは、収入額と賃金改善額の見積もりを根拠とともに残しておくことから始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いません労務・社会保険のご担当、おつかれさまです。賃上げに連動して動く法定福利費は、どこまで含めるのか線引きが細かく、整理に苦労されるのは当然です。結論から申し上げると、法定福利費として計上できるのは、賃金改善に応じた事業者負担の増加分です。健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険などの法定の保険料が対象で、任意加入のものは含みません。また、増加分は実額でなく概算でも算出できます。この回答では、対象となる範囲と、計算上の留意点を整理します。
ポイントは3つです。第一に、対象は賃金改善に応じた法定福利費の事業者負担の増加分です。第二に、任意加入の制度に係る増加分は含みません。第三に、増加分は概算によって算出することもできます。以下、順に解説します。
1. 対象は賃金改善に応じた法定福利費の事業者負担の増加分
法定福利費として計上できるのは、賃金改善に応じて増えた事業者負担の増加分です。疑義解釈資料(その3)問1は、その範囲を示しています。同問は、賃金改善に伴い増加する法定福利費として、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、子ども・子育て拠出金、雇用保険料、労災保険料等における、賃金改善に応じた事業者負担の増加分を想定する、と回答しています。つまり、ご質問にあった雇用保険料・労災保険料・子ども・子育て拠出金も、これらの法定の保険料に含まれる、ということです。
2. 任意加入の制度に係る増加分は含まない
法定の保険料が対象である一方で、任意加入のものは含みません。問1は、任意加入とされている制度に係る増加分は含まないものとする、としています。具体例として、退職手当共済制度等における掛金等が挙げられています。あわせて、企業型確定拠出年金の掛金についても含まない、と明記されています。つまり、ご質問にあった退職手当共済の掛金や、企業型確定拠出年金の掛金は、いずれも法定福利費の計上対象から外れる、とご理解ください。
法定か任意かで線引きされる点に注意が必要です。健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険のように法律で加入が定められたものは対象になりますが、退職手当共済や企業型確定拠出年金のように任意加入のものは対象になりません。加入が義務か任意かを軸に判断する、と整理しておくと迷いません。福利厚生として支出していても、任意加入のものは計上できない点を押さえておくことが大切です。
3. 増加分は概算によって算出することもできる
計上にあたっては、増加分を概算で算出することも認められています。問1は、実績報告書の記載における法定福利費の額の計算について、合理的な方法に基づく概算によることができる、としています。そのうえで、概算の場合は最大16.5%とされています。つまり、賃金改善額に対して、合理的な範囲で概算割合を用いて法定福利費を算出してよい、ということです。一件ずつ実額を積み上げなくても、概算で計上できる余地がある、と押さえておくと、報告書作成の負担が軽くなります。
4. 現場での具体的なアクション
まずは、計上対象とする保険料を法定のものに絞り込みましょう。健康保険・介護保険・厚生年金・子ども・子育て拠出金・雇用保険・労災保険といった、法定の保険料の事業者負担増加分が対象です。退職手当共済や企業型確定拠出年金の掛金は対象から外す、と仕分けを明確にしておくと安心です。
次に、増加分を実額で出すか、概算で出すかを決めてください。概算による場合は最大16.5%の範囲で、合理的な方法を選びます。実額の集計が負担になる場合は、概算割合を用いる方法を検討すると、報告書作成がスムーズになります。
最後に、根拠を労務・経理内で共有しておきましょう。疑義解釈資料(その3)問1を印刷し、報告書のファイルに綴じておくと、対象となる保険料の範囲と概算の上限を、迷わず確認できます。来年度以降の担当者への引継ぎにも役立ちます。
まとめ
賃金改善に伴い増加する法定福利費として計上できるのは、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険などの法定の保険料における、事業者負担の増加分です。退職手当共済や企業型確定拠出年金のような任意加入の掛金は含みません。増加分は、合理的な方法に基づく概算(最大16.5%)によって算出することもできます。根拠は疑義解釈資料(その3)問1です。まずは、計上対象を法定の保険料に絞り込むことから始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いません本部所属というお立場で、自分が対象に含まれるのか気にされるお気持ち、よくわかります。形式上の所属と、実際にやっている仕事がずれていると、なおさら判断に迷いますね。結論から申し上げると、ご質問者様の解釈で合っています。形式上は法人本部の所属でも、実態として主にその病院の業務を行っている場合は、対象職員に含まれます。所属の肩書きではなく、どこの業務を主に担っているかで判断する、という考え方です。この回答では、対象に含まれる条件と、判断の軸を整理します。
ポイントは3つです。第一に、本部所属でも、主にその病院の業務を行っていれば対象に含まれます。第二に、判断の軸は、所属の形式ではなく業務の実態です。第三に、「主として」その病院の業務を行っているかが、含める・含めないの分かれ目になります。以下、順に解説します。
1. 本部所属でも主にその病院の業務を行えば対象に含まれる
法人本部に所属していても、実態としてその病院の業務を行っている場合は、対象職員に含まれます。疑義解釈資料(その5)問8は、この点を示しています。同問は、対象職員について「当該保険医療機関に勤務する職員」とあるが、法人本部に所属する職員が、実態として保険医療機関における業務を行う場合は対象職員に含まれるのか、という問いに対し、「主として当該保険医療機関における業務を行っている場合には、対象職員に含まれる」と回答しています。つまり、本部所属という形式だけを理由に、対象から外れるわけではない、ということです。
2. 判断の軸は所属の形式ではなく業務の実態
含めるかどうかは、所属の肩書きではなく、業務の実態で判断します。問8の趣旨は、「当該保険医療機関に勤務する職員」という文言を、形式上の所属ではなく、実際にどこの業務を担っているかで読み解く点にあります。したがって、ご質問者様のように、本部所属でありながら、ほぼ毎日その病院の医事課業務を担当している場合は、実態に即してその病院の対象職員として扱われます。所属が本部だから対象外、と一律に判断するものではない、とご理解ください。
3. 「主として」その病院の業務を行っているかが分かれ目
実態で判断するうえで、鍵となるのが「主として」という条件です。問8は、対象に含まれるのを「主として当該保険医療機関における業務を行っている場合」としています。つまり、その病院の業務を主に担っているかどうかが、含める・含めないの分かれ目になります。複数の施設に分散して関わっている場合は、どの施設の業務を主に行っているかを見極める必要があります。逆に、本部業務が中心で、その病院の業務はごく一部にとどまる場合は、当てはまらない可能性がある、と整理しておくと迷いません。
「主として」の判断は、業務の比重に着目する点に注意が必要です。形式上の所属でも、勤務時間や業務の大半をその病院に充てているなら、その病院の対象職員に含まれます。一方で、肩書きが本部所属というだけでは、対象に含まれるとも外れるとも決まりません。あくまで業務の比重で判断する、という軸を押さえておくことが大切です。
4. 現場での具体的なアクション
まずは、ご自身の業務がどの施設に、どれだけの比重で割かれているかを整理しましょう。本部業務とその病院の業務とで、勤務時間や担当範囲の比重を把握します。その病院の業務が主であれば、対象職員に含まれる方向で整理が進みます。
次に、所属先である本部と、業務先である病院の双方の事務担当に、対象職員の扱いを確認してみてください。本部所属の職員の扱いは、所属と業務先がまたがるため、認識のずれが起こりやすい部分です。ご自身が対象職員に含まれているかを、双方に一度たずねてみると、状況が見えやすくなります。
最後に、根拠として疑義解釈資料(その5)問8を示しながら相談すると、話が具体的に進みやすくなります。本部所属でも実態で判断される、という根拠を共有しておくと、双方の事務担当も判断しやすくなります。来年度以降の引継ぎにも役立ちます。
まとめ
法人本部に所属していても、実態として主にその病院の業務を行っている場合は、対象職員に含まれます。判断の軸は、所属の形式ではなく業務の実態です。「主として」その病院の業務を行っているかが、含める・含めないの分かれ目になります。根拠は疑義解釈資料(その5)問8です。まずは、ご自身の業務がどの施設にどれだけの比重で割かれているかを整理することから始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いません経理での繰越金の処理、おつかれさまです。改定をまたいだ繰越分は、いつまでに使うのか、どの欄に書くのか、判断材料が見えにくく、整理に苦労されるのは当然です。結論から申し上げると、ご質問者様の解釈で合っています。改定前の繰越分は、令和8年12月までに賃金改善を行う必要があります。そして報告書では、繰越額を「前年度からの繰越額」の欄に記載します。この回答では、繰越分の充当期限と、報告書への記載方法を整理します。
ポイントは3つです。第一に、改定前の繰越分は、令和8年12月までに賃金改善を行う必要があります。第二に、繰越額は報告書の「前年度からの繰越額」の欄に記載します。第三に、対象職員への実績は「ベア等に伴う賞与・時間外手当・法定福利費等の増加分に用いた額」に記載します。以下、順に解説します。
1. 改定前の繰越分は令和8年12月までに賃金改善を行う
令和7年度から繰り越した改定前の収入は、令和8年12月までに賃金改善へ充てる必要があります。疑義解釈資料(その5)問1は、この点を示しています。同問は、改定後のベースアップ評価料には収入の繰り越しに係る規定はないが、改定前のベースアップ評価料等による収入を令和8年度に繰り越した場合の取扱いを問う問いに対し、「令和8年度診療報酬改定前の施設基準に基づき、令和8年12月までに賃金の改善措置を行う必要がある」と回答しています。つまり、繰越分は改定前のルールに従って、令和8年12月という期限までに使い切る、ということです。
2. 繰越額は報告書の「前年度からの繰越額」の欄に記載する
充当した繰越分は、報告書の所定の欄に記載します。問1は、報告書への記載方法も示しています。具体的には、令和7年度のベースアップ評価料による収入の繰越額を、令和8年度の賃金改善実績報告書の「前年度からの繰越額(令和8年度分報告時のみ記載)」の欄に記載する、とされています。この欄は令和8年度分の報告時にのみ記載するものである点も、あわせて押さえておくと安心です。つまり、繰越額の入口は、この専用の欄に記載する、ということです。
3. 対象職員への実績は「ベア等に伴う増加分」の欄に記載する
繰越額を記載する一方で、それを対象職員にどう充てたかも報告します。問1は、対象職員への実績の記載先も示しています。具体的には、対象職員への実績として、「ベア等に伴う賞与、時間外手当、法定福利費(事業者負担分等を含む。)等の増加分に用いた額」の欄に記載する、とされています。つまり、繰越額は「前年度からの繰越額」の欄に、その使い道は「ベア等に伴う増加分」の欄に、と入口と出口を分けて記載する、と整理しておくと迷いません。
2つの欄を使い分ける点に注意が必要です。繰り越してきた金額そのものは「前年度からの繰越額」へ、その繰越額を賃金改善に充てた実績は「ベア等に伴う増加分」へと、記載先が分かれます。一方の欄だけで完結させようとすると、繰越額の流れが報告書上で追えなくなります。入口と出口をそれぞれの欄に書くことで、繰越分の処理が正しく示せる、とご理解ください。
4. 現場での具体的なアクション
まずは、令和7年度から繰り越した改定前収入の金額を確定させましょう。賃金改善に使い切れずに残った額がいくらかを、令和7年度の実績から正確に把握します。繰越額が確定すれば、報告書の「前年度からの繰越額」の欄に記載する数字が定まります。
次に、令和8年12月までに繰越分を賃金改善へ充てる計画を立ててください。改定前の繰越分には令和8年12月という期限があります。賞与や手当など、どの形で対象職員に充てるかを早めに決め、期限内に確実に実施できる段取りを組んでおくと安心です。
最後に、根拠を経理内で共有しておきましょう。疑義解釈資料(その5)問1を印刷し、報告書のファイルに綴じておくと、繰越分の期限と記載欄を、迷わず確認できます。来年度以降の担当者への引継ぎにも役立ちます。
まとめ
令和7年度から繰り越した改定前のベースアップ評価料による収入は、令和8年12月までに賃金改善へ充てる必要があります。報告書では、繰越額を「前年度からの繰越額(令和8年度分報告時のみ記載)」の欄に、その使い道を「ベア等に伴う増加分」の欄に、それぞれ記載します。根拠は疑義解釈資料(その5)問1です。まずは、令和7年度から繰り越した改定前収入の金額を確定させることから始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いませんその解釈は、残念ながら誤りです。全身麻酔を伴っても、対象手術の一覧に載っていない手術では入院手術対応加算を算定できません。要件アは、あくまで「対象手術を行う患者」が満たすべき条件の一つだからです。全身麻酔の有無だけで加算が決まるわけではありません。本稿では、要件アと対象手術の関係を整理してお伝えします。
整理すると、二つの条件を同時に満たす必要があります。第一に、告示「注3」に列挙された対象手術を行うことです。第二に、要件ア・イ・ウのいずれかに該当することです。要件アの全身麻酔は、この二つ目の条件にあたります。土台となる対象手術がなければ、要件アを満たしても加算は算定できません。
対象手術であることが、加算の大前提です
入院手術対応加算の対象手術は、告示「注3」に限定列挙されています。この一覧に載っている手術を行うことが、加算の出発点です。一覧にない手術は、たとえ閉鎖循環式全身麻酔で実施しても、加算の対象になりません。まずは予定している手術が一覧に含まれるかをご確認ください。
この対象手術は、短期滞在手術等基本料3の対象手術とも連動しています。基本料3を算定できる対象手術のうち、さらに「注3」で指定されたものだけが加算の対象です。基本料3が算定できても、加算の対象手術一覧になければ加算は算定できません。対象手術の範囲を、二段階で確認する必要があります。
要件アは、対象手術を行う患者の条件の一つです
要件アは、対象手術を行う患者が満たすべき条件にすぎません。通知(17)は、対象手術を行う場合に、要件ア・イ・ウのいずれかに該当すれば加算できると定めています。要件アは、その選択肢の一つとして全身麻酔を挙げているだけです。全身麻酔が加算そのものを生み出すわけではありません。
この要件アの全身麻酔は、「L008」声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔を指します。対象手術をこの全身麻酔で行えば、要件アを満たします。逆に、対象手術であっても局所麻酔で行う場合は、要件アではなく要件イや要件ウへの該当を検討することになります。要件は、患者の状態に応じて使い分ける仕組みです。
二段階で確認すると、判断を誤りません
加算の可否は、二段階で確認すると確実です。第一段階で、予定の手術が告示「注3」の対象手術一覧にあるかを確認します。第二段階で、要件ア・イ・ウのいずれかに該当するかを確認します。両方が「はい」のときに限り、入院手術対応加算を算定できます。
ご質問のケースに当てはめると、対象手術一覧にない手術は第一段階で外れます。第一段階で外れる以上、要件アを満たしても加算は算定できません。順番を「対象手術が先、要件は後」と固定しておくと、全身麻酔の有無に引きずられずに判断できます。
現場での確認手順
まずは、予定している手術が告示「注3」の対象手術一覧にあるかをご確認ください。一覧にない手術は、麻酔の種類を問わず加算の対象外です。対象手術の一覧を医事課で共有しておくと、確認がスムーズになります。
次に、対象手術である場合に限り、要件ア・イ・ウへの該当を確認してください。全身麻酔なら要件ア、偶発症リスクが高ければ要件イ、全身状態が不良なら要件ウです。患者の状態に合わせて、該当する要件を選びましょう。
最後に、要件イや要件ウに該当する場合は、その根拠を診療録へ残しておきましょう。全身麻酔の要件アと異なり、要件イ・ウは個別判断にもとづくためです。判断根拠を記録しておくと、後日の説明がしやすくなります。
改めて整理します。全身麻酔を伴っても、対象手術でなければ入院手術対応加算は算定できません。対象手術であることが大前提で、要件アはその上での条件の一つです。対象手術かどうかを先に確認する手順を、ぜひ徹底してください。
♥ 0いいねをした人: いません結論から申し上げます。入院手術対応加算について、算定理由を診療報酬明細書の摘要欄へ記載する必要はありません。算定要件を定めた通知にも、ご指摘の記載要領にも、摘要欄記載の定めがないためです。記載要領まで確認されたご判断は、まさに正しい着眼点です。本稿では、記載が不要である根拠と、診療録への記録との違いを整理してお伝えします。
整理すると、三つのポイントになります。第一に、算定要件を定めた通知(17)には摘要欄記載の要件がない点です。第二に、ご確認のとおり記載要領にも入院手術対応加算の摘要欄記載は明記されていない点です。第三に、過去のトピックで推奨した「診療録への記録」は、摘要欄記載とは別の話である点です。
通知(17)には、摘要欄記載の要件がありません
入院手術対応加算の算定要件は、通知(17)に定められています。この通知(17)は、診療所を除く保険医療機関であること、基本料3を算定すること、そして三つの要件のいずれかに該当することを求めています。しかし、その理由を摘要欄へ記載せよという定めは置かれていません。算定要件と記載要件は、明確に区別されています。
短期滞在手術等基本料には、摘要欄記載を求める規定が別に存在します。たとえば通知(14)は基本料を算定しない理由の記載を、通知(15)は基本料1の対象手術の記載を求めています。これらはいずれも特定の場面に限った記載要件です。入院手術対応加算は、これらの記載要件の対象に含まれていません。
記載要領にも、入院手術対応加算の記載は明記されていません
ご確認のとおり、記載要領にも入院手術対応加算の摘要欄記載は明記されていません。摘要欄への記載が必要な項目は、原則として記載要領に列挙されます。その記載要領に項目がないということは、記載が義務づけられていないことを意味します。ご自身で記載要領まで確認されたうえでのご質問でしたので、その結論で問題ありません。
したがって、現時点では摘要欄に算定理由を書く必要はありません。通知にも記載要領にも定めがない以上、記載は任意の対応となります。要件ア・イ・ウのいずれに該当するかを摘要欄に書かなくても、算定要件を満たしていれば算定は適正です。
診療録への記録と、摘要欄記載は別の話です
過去のトピックで推奨したのは、摘要欄記載ではなく診療録への記録です。この二つは目的も性格も異なります。摘要欄記載は、レセプト上で算定根拠を示すための義務的な記載です。一方、診療録への記録は、要件該当の判断根拠を診療上残しておくための任意の備えです。
診療録への記録は、義務ではないものの引き続きお勧めします。要件イや要件ウは、患者の病態という個別判断に基づく要件だからです。たとえば「全身状態が不良である」と判断した根拠を診療録に残しておくと、後日の照会や個別指導の際に説明しやすくなります。レセプトに書く必要はありませんが、診療録に一言あると安心です。
現場での対応
まずは、摘要欄への記載を必須項目から外して運用してください。記載がなくても算定は適正です。記載要領を確認済みとのことですので、自信を持って運用を進めていただいて差し支えありません。
次に、要件該当の根拠を診療録へ残す運用は続けてください。摘要欄は不要でも、診療録への記録は審査対応の備えになります。主治医に一言の記載を依頼しておくと、現場の負担も大きくなりません。
最後に、今後の疑義解釈に目を通しておいてください。入院手術対応加算は令和8年度の新設項目です。運用の細部について、今後の事務連絡で記載要件が追加される可能性は残ります。新しい疑義解釈が出た際に、摘要欄記載の追加がないかをご確認ください。
改めて整理します。入院手術対応加算の算定理由を、摘要欄に記載する必要はありません。通知にも記載要領にも定めがないためです。診療録への記録は別の備えとして、引き続き残しておかれることをお勧めします。
♥ 0いいねをした人: いませんご提示のケースは、入院手術対応加算をそのまま算定できます。この加算は、入院5日以内に対象手術を行ったことへの評価だからです。入院3日目に手術を実施されているため、6日目以降に入院が延びても加算は取り消されません。一方、6日目以降の費用は出来高で算定します。本稿では、加算の取扱いと6日目以降の費用を、通知の規定にそって整理します。
結論として、二つのポイントを押さえれば判断できます。第一に、入院手術対応加算は5日以内の手術実施で評価されるため、その後の入院延長では算定できなくならない点です。第二に、6日目以降の費用は短期滞在手術等基本料3に含まれず、出来高で算定する点です。手術日と算定区分を分けて考えると、整理しやすくなります。
入院手術対応加算は、5日以内の手術実施で評価されます
入院手術対応加算は、入院した日から5日までの期間に対象手術を行った場合に算定できます。告示「注3」が、対象手術を「入院した日から起算して5日までの期間に限る」として算定を認めているためです。ご提示の患者は入院3日目に手術を実施されており、この期間の要件を満たしています。
この5日以内の実施という要件を満たした以上、その後の入院延長は加算に影響しません。加算はあくまで手術を行った時点の状況に対する評価だからです。したがって、6日目以降も入院が必要になっても、いったん算定要件を満たした入院手術対応加算は算定できます。ご提示の透析患者は全身状態が不良とのことですので、算定要件ウ(原疾患により全身状態が不良である場合)に該当しうる状態です。
6日目以降の費用は、出来高で算定します
6日目以降に入院が必要な場合は、その費用を出来高で算定します。通知(8)は、基本料3を算定する患者で6日目以降も入院が必要なときは、6日目以降の療養費用を第1章基本診療料及び第2章特掲診療料に基づき算定すると定めています。つまり、短期滞在手術等基本料3がカバーするのは入院1日目から5日目までです。
この出来高算定では、6日目以降の入院料や検査料などを個別に積み上げます。短期滞在手術等基本料3は1日目から5日目までの包括点数として算定し、それに入院手術対応加算を上乗せします。6日目以降は別建てで出来高算定する、という二段構えで整理してください。
透析患者ならではの注意点もあります
透析患者の場合は、人工腎臓の費用が基本料3に含まれない点にご注意ください。告示「注5」及び通知(7)は、「J038」人工腎臓を基本料3の包括対象から除外しています。したがって、入院期間中に行った人工腎臓は、基本料3とは別に算定できます。シャント拡張術と人工腎臓を混同しないよう、区分してレセプトを作成しましょう。
あわせて、再入院の取扱いもご確認ください。通知(2)は、同一の疾病につき退院から7日以内に再入院した場合、基本料3を算定しないと定めています。透析患者は再入院が起こりやすいため、退院後の経過にも注意が必要です。基本料3が算定できなければ、入院手術対応加算も算定できなくなります。
現場での確認手順
まずは、手術日が入院5日以内に収まっているかをご確認ください。5日以内であれば、入院延長があっても加算は算定できます。手術日と入院日の関係を、算定前にチェックしておきましょう。
次に、6日目以降の費用を出来高で算定する準備を進めてください。1日目から5日目までの基本料3と、6日目以降の出来高を、レセプト上で明確に分けて記載します。算定区分を分けておくと、審査時の説明がスムーズです。
最後に、要件ウに該当する根拠を診療録へ残しておきましょう。全身状態が不良であると判断した根拠を記録しておくと、加算の妥当性を説明しやすくなります。主治医に一言の記載を依頼しておくと安心です。
改めて整理します。入院手術対応加算は、5日以内に手術を実施していれば、その後の入院延長があっても算定できます。6日目以降の費用は、基本料3とは別に出来高で算定してください。手術日と算定区分を分けて考えることが、判断の鍵です。
♥ 0いいねをした人: いませんご質問の二つのケースは、算定の可否が分かれます。①の両眼に同じ手術を行う場合は、入院手術対応加算を算定できます。一方、②の異なる2種類の手術を行う場合は、加算を算定できません。判断の分かれ目は、短期滞在手術等基本料3そのものを算定できるかどうかにあります。本稿では、複数手術の取扱いを通知の規定にそって整理します。
結論として、加算の可否は基本料3の可否と連動します。両眼の同一手術は、通知上「2以上の手術」に該当しないため、基本料3を算定できます。異なる2種類の手術は、「2以上の手術」に該当するため、基本料3を算定できません。そして、基本料3を算定できない場合は、入院手術対応加算も算定できません。
①両眼の同一手術は、加算の対象になります
両眼に同じ手術を行う場合は、基本料3を算定できます。通知(6)は、5日以内に対象手術を2以上行うと基本料3を算定しないと定めています。ただし、その注書きで「眼科で同一の手術を両眼に実施した場合等、同一の手術等を複数回実施する場合は含まれない」と明記しています。したがって、両眼のK282水晶体再建術は、この2以上の手術には当たりません。
基本料3を算定できるため、要件を満たせば入院手術対応加算も算定できます。ご提示の患者は糖尿病があり全身状態に不安があるとのことです。これは算定要件ウ(原疾患により全身状態が不良である場合)、又は要件イ(偶発症の重症化の可能性が高い場合)に該当しうる状態です。主治医の判断のもと、該当する根拠を診療録に記録しておきましょう。
②異なる2種類の手術は、基本料3ごと算定できません
異なる2種類の対象手術を5日以内に行う場合は、基本料3を算定できません。通知(6)が、5日以内に対象手術を2以上実施した場合を基本料3の算定対象外と定めているためです。片眼の水晶体再建術と別の対象手術を組み合わせると、まさにこの2以上の手術に該当します。この場合は、基本料3ではなく出来高(医科点数表)で算定します。
基本料3を算定できないため、入院手術対応加算も算定できません。入院手術対応加算は、告示「注3」が基本料3を算定する場合の上乗せと位置づけているためです。①と異なり、土台となる基本料3が成立しない点が分かれ目です。出来高算定では、各手術料や検査料を個別に積み上げて算定することになります。
加算は、基本料3が算定できることが大前提です
入院手術対応加算は、基本料3に連動する加算です。基本料3を算定する場合に限り、その所定点数へ上乗せできます。逆に言えば、再入院や複数手術などで基本料3が算定できなくなると、加算も同時に算定できなくなります。まずは基本料3を算定できるかを判断し、その後に加算の要件を確認する流れが確実です。
なお、加算の点数は手術ごとに告示で定められています。K282水晶体再建術の「1」「ロ」(片側)の加算は548点です。両眼で実施する場合の点数の取扱いについては、告示が片側を基準に規定していますので、地方厚生局へ事前にご確認いただくと確実です。
現場での確認手順
まずは、予定している手術の組み合わせを確認してください。同一手術を両眼に行うのか、異なる手術を組み合わせるのかで、算定の道筋が変わります。手術予定の段階で医事課が把握できると、事前のシミュレーションがしやすくなります。
次に、基本料3を算定できるかを先に判定してください。基本料3が成立して初めて、加算の検討に進めます。判定の順番を固定しておくと、算定誤りを防げます。
最後に、要件ウ等に該当する根拠を診療録へ残しておきましょう。糖尿病による全身状態の評価など、加算の根拠を記録しておくと審査時の説明がスムーズです。主治医に一言の記載を依頼しておくと安心です。
改めて整理します。両眼の同一手術は加算を算定でき、異なる2種類の手術は加算を算定できません。鍵は、基本料3を算定できるかどうかにあります。基本料3の可否を先に判断し、その上で加算の要件を確認してください。
病院事務長 岡 大徳
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