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医療法人の労務・社会保険担当
ゲストお世話になっております。医療法人で労務・社会保険まわりを担当している者です。
ベースアップ評価料の賃金改善実績報告書を作成するにあたって、「賃金改善に伴い増加する法定福利費」をどこまで含めてよいのか、整理がつかず困っています。
賃上げをすると、それに連動して社会保険料の事業者負担分なども増えます。この増加分を法定福利費として計上できるのは理解しているのですが、具体的にどの保険料までが対象なのかが、はっきりわかりません。健康保険料や厚生年金保険料は含まれそうですが、雇用保険料や労災保険料、子ども・子育て拠出金あたりはどうなるのでしょうか。
あわせて、退職手当共済の掛金や、企業型確定拠出年金の掛金のように、任意加入のものはどう扱えばよいのかも気になっています。また、増加分は実額で出さないといけないのか、概算でよいのかも教えていただけると助かります。
ご教示いただけますと幸いです。
♥ 0いいねをした人: いません労務・社会保険のご担当、おつかれさまです。賃上げに連動して動く法定福利費は、どこまで含めるのか線引きが細かく、整理に苦労されるのは当然です。結論から申し上げると、法定福利費として計上できるのは、賃金改善に応じた事業者負担の増加分です。健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険などの法定の保険料が対象で、任意加入のものは含みません。また、増加分は実額でなく概算でも算出できます。この回答では、対象となる範囲と、計算上の留意点を整理します。
ポイントは3つです。第一に、対象は賃金改善に応じた法定福利費の事業者負担の増加分です。第二に、任意加入の制度に係る増加分は含みません。第三に、増加分は概算によって算出することもできます。以下、順に解説します。
1. 対象は賃金改善に応じた法定福利費の事業者負担の増加分
法定福利費として計上できるのは、賃金改善に応じて増えた事業者負担の増加分です。疑義解釈資料(その3)問1は、その範囲を示しています。同問は、賃金改善に伴い増加する法定福利費として、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、子ども・子育て拠出金、雇用保険料、労災保険料等における、賃金改善に応じた事業者負担の増加分を想定する、と回答しています。つまり、ご質問にあった雇用保険料・労災保険料・子ども・子育て拠出金も、これらの法定の保険料に含まれる、ということです。
2. 任意加入の制度に係る増加分は含まない
法定の保険料が対象である一方で、任意加入のものは含みません。問1は、任意加入とされている制度に係る増加分は含まないものとする、としています。具体例として、退職手当共済制度等における掛金等が挙げられています。あわせて、企業型確定拠出年金の掛金についても含まない、と明記されています。つまり、ご質問にあった退職手当共済の掛金や、企業型確定拠出年金の掛金は、いずれも法定福利費の計上対象から外れる、とご理解ください。
法定か任意かで線引きされる点に注意が必要です。健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険のように法律で加入が定められたものは対象になりますが、退職手当共済や企業型確定拠出年金のように任意加入のものは対象になりません。加入が義務か任意かを軸に判断する、と整理しておくと迷いません。福利厚生として支出していても、任意加入のものは計上できない点を押さえておくことが大切です。
3. 増加分は概算によって算出することもできる
計上にあたっては、増加分を概算で算出することも認められています。問1は、実績報告書の記載における法定福利費の額の計算について、合理的な方法に基づく概算によることができる、としています。そのうえで、概算の場合は最大16.5%とされています。つまり、賃金改善額に対して、合理的な範囲で概算割合を用いて法定福利費を算出してよい、ということです。一件ずつ実額を積み上げなくても、概算で計上できる余地がある、と押さえておくと、報告書作成の負担が軽くなります。
4. 現場での具体的なアクション
まずは、計上対象とする保険料を法定のものに絞り込みましょう。健康保険・介護保険・厚生年金・子ども・子育て拠出金・雇用保険・労災保険といった、法定の保険料の事業者負担増加分が対象です。退職手当共済や企業型確定拠出年金の掛金は対象から外す、と仕分けを明確にしておくと安心です。
次に、増加分を実額で出すか、概算で出すかを決めてください。概算による場合は最大16.5%の範囲で、合理的な方法を選びます。実額の集計が負担になる場合は、概算割合を用いる方法を検討すると、報告書作成がスムーズになります。
最後に、根拠を労務・経理内で共有しておきましょう。疑義解釈資料(その3)問1を印刷し、報告書のファイルに綴じておくと、対象となる保険料の範囲と概算の上限を、迷わず確認できます。来年度以降の担当者への引継ぎにも役立ちます。
まとめ
賃金改善に伴い増加する法定福利費として計上できるのは、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険などの法定の保険料における、事業者負担の増加分です。退職手当共済や企業型確定拠出年金のような任意加入の掛金は含みません。増加分は、合理的な方法に基づく概算(最大16.5%)によって算出することもできます。根拠は疑義解釈資料(その3)問1です。まずは、計上対象を法定の保険料に絞り込むことから始めましょう。
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