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結論から申し上げます。「特定の患者」に該当するのは、ご質問の6事例のうち⑥のみです。残り5事例は通常の疾患別リハビリテーション料として算定できます。判断の決め手は「ベッド上のみで完結したか」と「ポジショニング又は拘縮予防を主目的とした他動的な訓練のみだったか」の2点を、両方とも満たすか否かです。
「離床を伴わないリハビリテーション」は、令和8年度診療報酬改定で新設された区分です。心大血管・脳血管疾患等・廃用症候群・運動器・呼吸器の各疾患別リハビリテーション料が対象となります。該当した場合、所定点数の100分の90に減算され、1日2単位までしか算定できません。「疑義解釈資料の送付について(その2)」問69で、6つの具体事例に対する判断が示されました。
「特定の患者」判定の2要件
「特定の患者」に該当するためには、2つの要件を同時に満たす必要があります。1つでも外れれば、通常どおりの算定が可能です。
第1の要件は、「ベッド上のみで訓練が完結したこと」です。1単位の途中であっても車椅子に移乗していれば、ベッド上のみには該当しません。また、車椅子で訓練室まで移動し、訓練室のベッドで訓練した場合も、ベッド上のみには該当しません。
第2の要件は、「ポジショニング又は拘縮予防等を主たる目的とした他動的な訓練のみを行ったこと」です。患者自身による自動運動、排痰訓練、言語療法、座位保持訓練など、他動的な関節可動域訓練やポジショニング以外の内容が含まれていれば、この要件には該当しません。
6事例の判定結果
厚生労働省が示した6事例の判定結果は、次のとおりです。①〜⑤は「特定の患者」に該当せず、⑥のみが該当します。
①は「特定の患者」に該当しません。2単位目の途中で車椅子に移乗しているため「ベッド上のみ」ではなく、また内容も他動的な訓練のみではないためです。
②は「特定の患者」に該当しません。ベッド上のみではありますが、患者自身による自動運動や排痰訓練が含まれており、他動的な訓練のみではないためです。
③は「特定の患者」に該当しません。ベッド上のみではありますが、言語療法は他動的な訓練ではないためです。
④は「特定の患者」に該当しません。結果的に端坐位に至らなかったとしても、座位保持訓練を実施しており、他動的な訓練のみではないためです。離床を目指した過程が評価されます。
⑤は「特定の患者」に該当しません。車椅子に移乗して訓練室へ移動しているため、「ベッド上のみ」には該当しないためです。
⑥は「特定の患者」に該当します。ベッド上のみで、かつ拘縮予防を目的とした他動的な訓練のみを行っているため、2要件を満たすためです。所定点数の100分の90で、2単位までの算定となります。
現場で押さえるべき記録のポイント
判定の根拠を診療録とリハビリテーション実施計画書に明確に残すことが、減算回避の鍵となります。「ベッド上のみではなかった」「他動的な訓練のみではなかった」事実が、後から客観的に確認できる記録を整備してください。
具体的には、訓練内容ごとに「実施場所(ベッド上/車椅子/訓練室など)」「訓練形態(他動・自動・座位保持・言語療法など)」「移乗の有無とタイミング」を記載します。さらに、起立性低血圧の患者で離床を試みた④のようなケースでは、「離床を目的とした訓練であった」旨を明記しておくと、査定対応がスムーズになります。
なお、問67で示されたとおり、1単位の中に拘縮予防の他動的訓練が一部含まれていても、それ以外の訓練が適切に行われていれば「特定の患者」には該当しません。「一部だけ他動」なのか「他動のみ」なのかが分かれ目です。
明日からのアクション
まずは、現在算定中の患者リストから「ベッド上のみで他動的訓練のみ」を実施している症例がないか確認しましょう。該当者がいれば、リハビリテーション実施計画書を見直し、可能であれば離床訓練や自動運動を計画に組み込んでください。
次に、リハビリスタッフ全員で問69の6事例を共有し、判定基準を統一してください。事例②〜④のような「ベッド上だが特定の患者に該当しない」ケースは、記録の書き方が査定対応を左右します。「自動運動を実施」「排痰訓練を実施」「座位保持訓練を実施」など、他動的な訓練以外の内容を必ず記載するルールを徹底しましょう。
最後に、医事課と連携し、レセプト点検時に「離床を伴わないリハビリテーション」での請求が適切か、ダブルチェック体制を整えてください。判断に迷う事例は、その都度、地方厚生局へ確認するのが確実です。現場の理学療法士の皆さまの丁寧な記録が、病院全体の収益と患者さんへの適切なリハビリ提供を守ります。一緒に乗り越えていきましょう。
♥ 0いいねをした人: いません結論からお伝えします。「B007-3 退院後訪問栄養食事指導料」は、「B007-2 退院後訪問指導料」や「C005 在宅患者訪問看護・指導料」と同日に算定できます。ただし、各指導料に規定される指導等の時間が重複しないことが、絶対の条件です。改定で同行訪問のニーズが高まる一方、同日算定の可否を巡って現場の判断が揺れやすいテーマですので、根拠と運用の勘所を整理しておきます。
本回答では、3点をお伝えします。第一に、同日算定を可能とする厚生労働省の疑義解釈の根拠を示します。第二に、要件である「時間が重複しない」の実務的な意味を解説します。第三に、現場で同日算定を安全に運用するための準備を提案します。
1.同日算定を認める疑義解釈の根拠
同日算定の可否は、令和8年度改定の疑義解釈資料(その2)で明確に示されています。問61が、まさに本件と同一のケースを扱っています。
疑義解釈(その2)問61は、B007-3の同日算定について、次のように整理しています。「保険医療機関の管理栄養士が、患者等の同意を得た上で、同一の保険医療機関又は特別の関係にある訪問看護ステーションの看護師に同行して患家等を訪問し、栄養管理に係る指導等を行った場合は、B007-2退院後訪問指導料又はC005在宅患者訪問看護・指導料等と同日に算定できるか」という問いに対し、回答は「各指導料に規定する指導等の時間が重複しない場合は、算定できる」と明示されました。
この回答が重要な意味を持つのは、改定前まで「同行訪問=同日算定不可」と保守的に運用していた医療機関が少なくなかったためです。今回の疑義解釈は、栄養指導と看護指導を別個の専門的サービスとして評価する姿勢を、厚生労働省が明確にしたものといえます。
2.「指導等の時間が重複しない」の実務的解釈
同日算定の唯一にして最大の要件は、「指導等の時間が重複しないこと」です。この一文を、現場の運用に落とし込んで理解する必要があります。
「時間が重複しない」とは、管理栄養士が栄養指導を行っている時間帯と、看護師が訪問看護・指導を行っている時間帯が、明確に分かれていることを指します。同じ患家に同行で訪問していても、たとえば最初の20分は看護師が血圧測定やバイタル確認、創部処置を行い、続く20分は管理栄養士が嚥下状況の確認や食事内容の指導を行う、というように、専門職ごとの指導時間を区切る運用が求められます。同じ時刻に2人が同時に話しかけ、栄養と看護が混ざった指導をしている時間帯は、いずれか一方の時間としてしか算定できません。
同行訪問の意義は、移動コストの削減と多職種連携の質向上にあり、指導時間そのものを共有することではない点に注意が必要です。患者・家族から見れば「一緒に来てくれた」状況でも、診療報酬上は「専門職ごとに、独立した指導時間が存在したか」が問われます。指導時間が完全に重なれば、同日算定は認められません。
3.現場で進めるべき準備
同日算定を安全かつ確実に運用するために、3つの準備を進めてください。いずれも、後日の指導監査や返戻対応で「説明できる記録」を残すための取り組みです。
第一に、訪問記録様式の見直しを進めてください。同行訪問の記録には、訪問開始時刻と終了時刻だけでなく、「誰が、何時何分から何時何分まで、どの指導を行ったか」を分単位で記載できる欄を設けます。管理栄養士の栄養指導時間と、看護師の訪問看護指導時間を、独立した時刻で記録することがポイントです。
第二に、多職種カンファレンスの事前実施を運用に組み込んでください。訪問前に「誰が、何分、何を指導するか」を分担する短時間のカンファレンスを行い、その内容を記録に残します。事前分担が明確であれば、現場での時間重複を防ぎやすくなり、記録の整合性も担保されます。
第三に、医事課と栄養科・看護部の運用ルール共有を徹底してください。同日算定の可否を判断するのは現場の管理栄養士・看護師ですが、最終的にレセプトを組むのは医事課です。「同行訪問時の時間記録が分単位で残っていなければ、同日算定はしない」という社内ルールを文書化し、関係部署で共有しておくと、算定漏れと過剰算定の双方を防げます。
まとめ
B007-3 退院後訪問栄養食事指導料は、看護師との同行訪問時にB007-2やC005と同日算定が可能です。鍵は「指導時間が重複しないこと」のひと言に尽きます。まずは訪問記録様式を分単位対応に整え、事前カンファレンスと医事課との運用ルール共有を進めることから着手しましょう。改定の追い風を、患者支援と適正な算定の両立につなげてください。
♥ 0いいねをした人: いません結論から申し上げますと、医療受給者証の交付の有無にかかわらず、指定難病と診断されていれば遠隔連携診療料の算定対象です。重症度分類を満たさず申請を見送られた患者さんや、申請中で受給者証がまだ届いていない患者さんも、診断さえ確定していれば算定要件を満たします。
本記事では、対象患者の範囲を疑義解釈に基づき整理した上で、現場での確認手順と必要な記録について解説します。具体的には、疑義解釈資料その2・問60の根拠、医療受給者証の有無で取扱いが分かれない理由、診療録に残すべき確認事項の3点を順にご説明します。
対象患者の範囲は「診断」で判断する
遠隔連携診療料の対象患者は、医療受給者証の交付ではなく「指定難病の診断」を基準に判断します。厚生労働省は疑義解釈資料その2・問60で、この取扱いを明確に示しました。
疑義解釈資料その2の問60では、ご質問と同じ論点が取り上げられています。質問内容は「B005-11遠隔連携診療料の対象患者である指定難病の患者とは、医療受給者証が交付されている患者を指すのか」というものです。これに対する答えは「医療受給者証の交付の有無にかかわらず、指定難病と診断されていれば対象となる」と明記されています。
この回答が意味するのは、算定可否の判断基準が「行政手続きの完了」ではなく「医学的な診断」に置かれているということです。重症度分類を満たさず受給者証が交付されない軽症の指定難病患者さんも、申請手続き中で受給者証が手元にない患者さんも、診断書や紹介状で指定難病と確認できれば算定対象になります。
受給者証で線引きしない理由
受給者証の有無で算定可否を分けない背景には、遠隔連携診療料の趣旨があります。本診療料は、専門医療機関へのアクセスが困難な患者さんが、かかりつけ医療機関にいながら専門医の知見を得られるよう設計された点数です。
この趣旨を踏まえると、医療費助成の対象になっていない軽症患者さんこそ、専門医との連携が支援を受けにくい層です。重症度分類を満たさない患者さんに受給者証は交付されませんが、指定難病であることに変わりはなく、専門的な診療方針の共有が必要な点も同じです。したがって、診断さえ確定していれば算定対象に含める運用は、制度の趣旨にも合致します。
現場で押さえるべき確認手順
現場では、診断の根拠を診療録に残す運用を整えてください。受給者証の写しがない場合でも、指定難病であることを示す資料があれば算定の根拠になります。
まずは、専門医療機関からの診療情報提供書や診断書を確認しましょう。これらの書類に指定難病名が明記されていれば、算定根拠として診療録に添付または記載します。受給者証をお持ちの患者さんは、写しをカルテに保管しておくとさらに確実です。
次に、算定にあたっての他の要件もあわせて点検してください。具体的には、専門医療機関の医師との情報通信機器を用いたカンファレンスの実施、患者さんへの説明と同意、診療内容の診療録記載などです。対象患者の解釈は明確になりましたが、施設基準や算定回数の上限など他の要件は変わらず適用されます。
最後に、自院の医事システムや算定マニュアルもご確認ください。受給者証の有無を算定可否の条件として登録しているシステムがあれば、設定を見直す必要があります。また、医事課内で運用ルールを共有し、軽症の指定難病患者さんにも算定機会が広がっていることを周知してください。
まとめ
遠隔連携診療料の対象は、医療受給者証の有無を問わず、指定難病と診断された患者さんです。診断書や診療情報提供書で指定難病であることを確認し、診療録に根拠を残せば算定できます。受給者証の交付を待つ必要はありませんので、対象となる患者さんに必要な連携診療を届けていきましょう。
♥ 0いいねをした人: いません結論:B001-11は「検査時の加算」から「必要な時に算定できる医学管理料」へ生まれ変わりました
結論からお伝えします。今回の見直しは、遺伝カウンセリングを「検査の付属物」から「独立した医学管理」へ格上げする趣旨です。これにより、検査実施時に限らず、必要な場面で適切な時期に算定できるようになります。医事課としてまず取り組むべきは、遺伝診療部門との算定フロー再設計です。
本回答では、改定の趣旨、算定タイミングの考え方、現場での具体的なアクションの3点を順に解説します。いずれも疑義解釈資料(その2)問59を一次根拠としています。質問者様が抱えている「位置づけの変化」「タイミングの拡大」「部門連携」という3つの論点に沿って整理しますので、医事課内の勉強会資料としてもご活用ください。
1. 改定の趣旨:質の高いゲノム医療を推進するための再評価です
今回の改定は、関係学会からの医療技術評価提案を契機として、遺伝カウンセリングと遺伝学的情報に基づく療養指導を独立して評価し直したものです。疑義解釈(その2)問59に「質の高いゲノム医療を推進する観点から、遺伝カウンセリング及び遺伝学的な情報に基づく療養指導に係る評価について議論され、見直しが行われた」と明記されています。
従来の「遺伝カウンセリング加算」は、検体検査判断料に付随する加算でした。この建付けでは、検査を実施した日にしか評価されず、検査前の意思決定支援や、検査結果が出た後の長期的な療養指導は十分に評価されない構造でした。
新設の「B001-11 遺伝性疾患療養指導管理料」は、第1部医学管理等に位置づけられました。医学管理等に移ったことで、検査と切り離して「療養指導」として独立評価される建付けとなり、医療技術としての位置づけが明確になっています。
2. 算定タイミング:検査実施時に限らず、必要な場面で算定できます
算定タイミングについては、質問者様の解釈どおり、検査時に限定されません。疑義解釈(その2)問59は「遺伝学的検査等の実施時だけではなく、必要な場面において、適切な時期に、質の高い医学管理が実施されることが期待される」と明示しています。
必要な場面とは、具体的には検査前の遺伝カウンセリング、検査後の結果説明、確定診断後の継続的な療養指導、家族への情報提供を伴う指導などを指します。これらの場面で適切な時期に算定可能となった点が、従来加算との最大の違いです。
ただし、算定の細目は本通知本体および留意事項通知の規定に従う必要があります。算定回数の上限や対象患者、施設基準、記載要件については、疑義解釈ではなく告示・通知の原文を必ず確認してください。疑義解釈はあくまで解釈の補足という位置づけです。
3. 現場アクション:医事課が主導する3つの準備を進めましょう
医事課としての準備は、関係部門の巻き込みから始めます。遺伝カウンセリング加算は検査部門中心の運用で完結しましたが、医学管理料は外来診療や継続フォローと一体で動くため、診療部門との連携設計が不可欠です。
第一に、算定対象患者の洗い出しを行ってください。現在ゲノム医療や遺伝学的検査を受けている患者、遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)や遺伝性腫瘍の家系内検査を受けている患者などをリストアップし、過去にどのタイミングで遺伝カウンセリング加算を算定していたかを棚卸ししましょう。
第二に、算定フローと記載要件を整備してください。検査時だけでなく、検査前後のカウンセリング外来でも算定できる運用に切り替えるため、診療録への記載項目、指導内容のテンプレート、レセプト摘要欄の記載例を医事課で標準化することが重要です。
第三に、関係スタッフへの周知を進めてください。遺伝カウンセラー、認定遺伝看護師、主治医、外来看護師に対し、「いつ・どの行為が算定対象になるか」を院内マニュアル化し、6月診療分のレセプトで取りこぼしが出ないよう、勉強会の開催を急いでください。
まとめ:算定範囲が広がるからこそ、部門連携と運用整備が成否を分けます
遺伝性疾患療養指導管理料の新設は、ゲノム医療の質を底上げするための重要な見直しです。算定タイミングが検査時から「必要な場面」へと広がったことで、適切に運用すれば従来より幅広い場面で評価を受けられます。一方で、運用整備を怠れば算定漏れが生じるリスクもあります。まずは疑義解釈(その2)問59と本通知を読み合わせ、遺伝診療部門と算定フローの再設計に着手しましょう。
【根拠資料】厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その2)」問59(令和8年度診療報酬改定)
♥ 0いいねをした人: いません結論:認定看護師と心不全療養指導士は要件を満たし、他の研修は4つの条件で判断します
令和8年度診療報酬改定で新設された心不全再入院予防継続管理料は、心不全患者の再入院予防を継続的に管理する取り組みを評価する点数です。届出にあたり「心不全の予防指導に係る適切な研修」の判定基準が現場で課題になっています。本稿では、疑義解釈資料(その2)の問58を基に、対象研修の範囲を整理します。
結論として、ご質問の認定看護師(慢性心不全看護・心不全看護)と心不全療養指導士は、施設基準の研修要件を満たします。これらの資格以外でも、4つの要件を全て満たす7時間以上の研修であれば、対象として認められます。対象研修は職種ごとに該当者を確認し、不足する職種があれば計画的に研修受講を進める必要があります。
1. 認定看護師と心不全療養指導士は明確に対象研修として位置づけられています
厚生労働省は、心不全再入院予防継続管理料1及び2の施設基準における「心不全の予防指導に係る適切な研修」として、2つの代表的な資格を明示しました。疑義解釈資料(その2)の問58で、具体名が示されています。
対象として明示された研修は、以下の2つです。
- 日本看護協会の認定看護師教育課程「慢性心不全看護」「心不全看護」
- 日本循環器学会「心不全療養指導士」
貴院の在籍状況を踏まえると、看護師の研修要件は既に満たされている可能性が高いと考えられます。ただし、施設基準では医師、看護師又は保健師、管理栄養士のそれぞれに研修受講者の配置が求められるため、看護師以外の職種の充足状況の確認が必要です。
2. 上記以外の研修は4つの要件で該当性を判断します
明示された資格以外でも、一定の要件を満たす研修であれば対象に含まれます。疑義解釈(その2)の問58では、医療関係団体が主催する7時間以上の研修について、4つの要件を全て満たすものを該当と位置づけました。
該当する研修の要件は、以下のとおりです。
- 慢性心不全に関する一定の知識と経験を有する医師、看護師又は保健師及び管理栄養士等を対象としていること
- 心不全の病態、薬物治療及び非薬物治療、療養指導、食事指導、運動指導並びに地域連携に関する内容が含まれていること
- 慢性心不全の管理に関する実習を含むこと
- 医療関係団体が主催し、研修の修了証が発行されていること
これら4要件のうち、特に注意すべき点は実習の有無と主催団体の性質です。座学のみの研修や、医療関係団体以外が主催する研修は対象外となるため、医師や管理栄養士が受講予定の研修については、修了証の発行有無と実習プログラムの組込みを必ず事前に確認してください。
3. 経験年数は複数施設での合算が可能です
研修要件と併せて、施設基準で求められる経験年数の取扱いも整理しておきます。疑義解釈資料(その2)の問57で、複数施設での経験合算が認められる旨が示されました。
具体的には、医師、看護師、保健師及び管理栄養士のそれぞれの経験について、過去に複数の施設で勤務した経験を合算して要件を満たすことが可能です。中途採用者の経験も組み入れて要件を満たせるため、人員配置の選択肢が広がります。
4. 届出前に現場で進めるべき具体的アクション
研修要件の判断基準が整理できたら、届出に向けた現場の準備を段階的に進めます。準備の手順は、以下の3ステップで進めると効率的です。
ステップ1:在籍スタッフの修了証確認
まずは、医師、看護師、管理栄養士の各職種について、認定看護師・心不全療養指導士の修了証や認定証の写しを集め、有効期限と修了年月日を確認してください。複数施設での経験年数を合算する場合は、前職での在籍証明も併せて準備します。
ステップ2:不足職種の研修受講計画
次に、要件を満たすスタッフが不足する職種について、研修受講計画を立てます。明示された資格の取得には1年以上を要するため、当面は4要件を満たす短期研修の受講で対応する選択肢も検討しましょう。
ステップ3:研修内容の事前精査
最後に、受講予定の研修については、主催団体、研修時間、実習の有無、修了証発行の有無を、申込前にプログラムで精査してください。要件を満たさない研修を受講しても届出には使えないため、この事前確認が最も重要です。
まとめ:認定資格を起点に、計画的な人員整備で届出準備を進めましょう
心不全再入院予防継続管理料の「心不全の予防指導に係る適切な研修」は、認定看護師(慢性心不全看護・心不全看護)と心不全療養指導士が明確な対象として位置づけられています。それ以外の研修も、医療関係団体主催で7時間以上、実習を含む4要件を満たせば対象に含まれます。経験年数は複数施設での合算が認められるため、人員配置の柔軟性も確保されています。
貴院では既に該当資格を持つ看護師が在籍しているため、看護師要件はクリアできる見込みです。今後は医師と管理栄養士の研修充足状況の確認を急ぎ、不足する場合は対象研修の早期受講を計画的に進めてください。届出は焦らず、要件の確実な充足を優先することが、安定的な算定の第一歩になります。
※ 本稿は令和8年度診療報酬改定に係る疑義解釈資料(その2)問54〜58に基づきます。今後追加の疑義解釈で取扱いが変わる可能性があるため、最新の通知の確認をお願いします。
♥ 0いいねをした人: いません令和8年度改定で新設された回復期リハビリテーション強化体制加算は、施設基準の「自宅」の定義が独特で、現場の医事課で判断に迷うポイントが集中しています。算出を誤ると届出取り下げにつながるため、対象施設の線引きを正確に把握する必要があります。本稿では、疑義解釈資料(その2)の問50から問52を根拠に、自宅の範囲と分子分母への含め方を整理します。
結論として、自宅にはサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が含まれる一方、有料老人ホームや障害者グループホームは含まれません。サ高住への退院患者は分子・分母の双方に含めて計算します。有料老人ホーム等への退院患者は分子・分母のいずれにも含めません。また、他病棟で退院前訪問指導を実施した後に回復期リハ病棟へ転棟した自宅退院患者は、分子に含めて計算できます。
1. 自宅に含まれる範囲
自宅とは、患者本人の居宅に加え、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を含む概念です。疑義解釈資料(その2)の問51で明確に示されています。サ高住は高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項に規定される住宅であり、生活の本拠としての性格を持つため自宅扱いとなります。
サ高住へ退院した患者については、退院前訪問指導の実施割合の分母に含めて算出します。退院前訪問指導を実施していれば分子にも含めるため、通常の自宅退院患者と同様の取扱いになります。
2. 自宅に含まれない範囲
自宅に含まれない施設は、施設入居時等医学総合管理料の対象施設のうち(ホ)以外と、障害福祉サービスを行う施設・事業所・福祉ホームです。これらに退院する患者は、分子・分母のいずれにも含めません。具体的には、有料老人ホーム、軽費老人ホーム、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、障害者グループホーム、福祉ホームなどが該当します。
これらの施設へ退院する患者は、実施割合の計算から完全に除外します。分母から外れることで母数自体が小さくなるため、毎月の対象患者リストを作成する際は、退院先の施設種別を正確に分類することが不可欠です。
3. 他病棟から転棟した患者の取扱い
同一医療機関内の他病棟で退院前訪問指導を実施した後に回復期リハ病棟へ転棟し自宅に退院した患者は、分子に含めて計算できます。疑義解釈資料(その2)の問52で明確に認められています。急性期病棟で早期に退院前訪問指導を実施し、その後回復期リハ病棟へ転棟するケースは現場でよくあるパターンであり、この実績は無駄になりません。
転棟患者を分子に含める運用では、急性期病棟と回復期リハ病棟の双方の記録を突き合わせる仕組みが必要です。退院前訪問指導の実施記録を病院全体で一元管理し、転棟時に情報を引き継ぐ体制を整えることで、算出漏れを防げます。
4. 補足:1人の患者に2回訪問した場合の数え方
1人の患者に入院後早期と退院前の2回の訪問指導を行った場合でも、分子となる患者数は1人として算出します。疑義解釈資料(その2)の問50で確認されています。退院前訪問指導料は2回まで算定可能ですが、施設基準の実施割合の計算では「実施した患者数」をカウントするため、算定回数と混同しないよう注意が必要です。
現場では「まず退院先施設の分類表を整備すること」から始めてください。退院支援担当部署と連携し、サ高住・有料老人ホーム・グループホームを明確に区別したリストを作成しましょう。次に、急性期病棟と回復期リハ病棟をまたぐ退院前訪問指導の実施記録を共有する仕組みを構築し、月次で分子分母を集計する運用フローを確立することをおすすめします。届出前には、直近6か月分のデータで実際に試算を行い、施設基準を満たすかを確認してから提出してください。
♥ 0いいねをした人: いません令和8年度診療報酬改定では、回復期リハビリテーション病棟入院料のリハビリテーション実績指数の計算方法が見直されました。新たに追加されたFIM運動項目の加点ルールは、加点対象が「歩行・車椅子」と「トイレ動作」の2項目にまたがるため、現場での解釈に迷いを生じさせています。本稿では、加点ルールの正しい解釈を、疑義解釈資料の送付について(その2)の問46に基づいて解説します。
結論として、加点判定は「歩行・車椅子」と「トイレ動作」の2項目について、それぞれ独立して行います。両方の項目が条件を満たす場合は、合計2点を加算します。どちらか1項目だけが条件を満たす場合でも、1点を加算できます。加点の基準は「入棟時5点以下、かつ、退棟時6点以上」という、1項目ごとに完結する条件です。
加点ルールは2項目を独立して判定する
加点ルールの根幹は、「歩行・車椅子」と「トイレ動作」の2項目を、それぞれ独立した判定対象とする点にあります。疑義解釈資料の送付について(その2)の問46では、「それぞれの項目が『入棟時又は入室時に5点以下、かつ、退棟時又は退室時に6点以上だった場合』にそれぞれ1点を加え」ると明示されています。
独立判定の意味は、1項目ごとに加算の可否を判断する点にあります。両項目とも条件を満たせば、1点+1点で合計2点を加算します。片方のみが条件を満たす場合でも、その項目分の1点は確実に加算できます。
同じ問46の後段では、「どちらか1項目の得点のみが入棟時又は入室時に5点以下、かつ、退棟時又は退室時に6点以上に該当する場合であっても、(中略)1点を加える」と明記されています。この記載が、片項目該当でも加算可能であることの根拠です。
計算式に加える点数は3パターン
独立判定のルールを計算式に反映すると、加点パターンは3つに整理できます。具体的には、両項目該当・片項目該当・該当なしの3パターンです。各パターンで実績指数の計算式に加える点数が異なるため、退棟ごとに正確な判定が必要です。
3パターンの内訳は次のとおりです。両項目とも条件を満たす場合は、退棟時FIM運動項目得点から入棟時FIM運動項目得点を控除した値に「2点」を加算します。片項目のみ条件を満たす場合は、同じ控除値に「1点」を加算します。いずれの項目も該当しない場合は、控除値そのままで計算します。
具体的な数値例で確認しましょう。入棟時FIM運動項目40点、退棟時60点の患者で、「歩行・車椅子」が3点→6点、「トイレ動作」が4点→7点に改善した場合、控除値20点に2点を加えた「22点」が実績指数の計算に用いる得点上昇分です。一方、「歩行・車椅子」のみ条件を満たし、「トイレ動作」が変動なしの場合は、控除値に1点を加えた値を用います。
現場で押さえるべき3つの実務ポイント
加点ルールの正確な運用には、現場で3つの実務ポイントを徹底する必要があります。3つの実務ポイントとは、FIM測定の精度確保、判定根拠の記録、計算式の更新です。これらを徹底することで、実績指数の算定ミスを防止できます。
FIM測定の精度確保では、入棟時と退棟時の「歩行・車椅子」「トイレ動作」の得点を、訓練を受けた職員が評価することが重要です。FIM測定研修を受講した職員が担当することで、評価のバラツキを抑制できます。なお疑義解釈資料の送付について(その1)の問27では、FIM測定を担当する看護職員も研修対象に含まれると明示されています。
判定根拠の記録では、加点対象となった項目と得点の推移を、診療録や実績指数の集計シートに明確に残すことが求められます。記録を徹底することで、施設基準の届出や指導監査の際に、加点の妥当性を説明できる状態を整えられます。
計算式の更新では、令和8年7月以降に実績指数を算出する際、加点ルールを集計対象期間の全患者に適用してよい点を確認します。疑義解釈資料の送付について(その2)の問48では、加点の計算方法を「算出対象となる期間の全ての患者に適用して差し支えない」と明示されています。
結論
加点判定は2項目を独立して行い、条件を満たした項目につき1点ずつ加算します。両項目該当なら2点、片項目該当なら1点を、退棟時FIM運動項目得点と入棟時FIM運動項目得点の差に加えてください。まずはFIM測定担当者間で加点ルールの解釈を共有しましょう。次に実績指数の集計フォーマットに加点欄を反映する準備を進めてください。
♥ 0いいねをした人: いません特定集中治療室管理料1(ICU管理料1)の医師要件は、勤務経験・専門医研修・講習会受講の3つをすべて満たす必要があります。集中治療専門医の資格保有だけでは要件を満たさず、別途30時間以上の指定講習会受講が求められる点に注意が必要です。本回答では、疑義解釈資料(その2)問38を根拠に、3つの要件と届出時の必要書類を整理し、貴院の届出準備を後押しします。
結論として、該当医師は次の3要件をすべて満たす必要があります。第一に、集中治療部門での勤務経験が5年以上あることです。第二に、特定集中治療に係る専門医試験における研修を修了していることです。第三に、関係学会の指定講習会を実講義時間で合計30時間以上受講していることです。貴院ICU部長の場合、第1要件と第2要件はクリアしている可能性が高い一方、第3要件の講習会受講履歴を必ず確認してください。
要件1:集中治療部門での勤務経験が5年以上
第1の要件は、集中治療部門での勤務経験を5年以上有していることです。ここでの「集中治療部門」は、ICUやCCUなど特定集中治療を提供する部門を指します。経験年数の起算は、医師としての全臨床経験ではなく、集中治療部門に配属された期間に限定される点に注意が必要です。
勤務経験を証明するためには、医師個人の勤務歴を裏付ける書類の整備が欠かせません。具体的には、履歴書、勤務証明書、所属長による在籍証明などが該当します。複数施設での勤務経験を合算する場合は、各施設からの証明書をそれぞれ取得してください。
要件2:特定集中治療に係る専門医試験における研修の修了
第2の要件は、特定集中治療に係る専門医試験における研修を修了していることです。具体的には、日本集中治療医学会の集中治療専門医制度における研修課程の修了が該当します。当該医師がすでに集中治療専門医を取得している場合は、研修修了済みと判断できます。
専門医取得には至っていなくても、研修課程を修了していれば要件を満たします。届出時には、研修修了証または専門医認定証の写しを準備してください。貴院ICU部長が集中治療専門医を保有している場合、この要件は問題なくクリアしています。
要件3:関係学会の指定講習会を30時間以上受講
第3の要件は、日本集中治療医学会等の関係学会が行う講習会を実講義時間で合計30時間以上受講していることです。受講時間には、講師としての参加時間も算入できます。この規定は、ベテラン医師の要件充足を後押しする実務的な配慮といえます。
講習会の内容は、8つの領域を網羅している必要があります。具体的には、呼吸管理、循環管理、脳神経管理、感染症管理、体液・電解質・栄養管理および血液凝固管理、外因性救急疾患管理、その他の集中治療管理(ECMO・急性血液浄化・鎮静等)、生命倫理・終末期医療・医療安全の8領域です。各領域が含まれているかは、講習会のプログラムで確認できます。
現時点で該当する講習会は、以下の6つです。
- 敗血症セミナー
- リフレッシャーセミナー
- 終末期医療における臨床倫理問題に関する教育講座
- FCCS(Fundamental Critical Care Support)セミナー
- JICECセミナー
- MCCRC(Multiprofessional Critical Care Review Course)in JAPAN
これら6つの講習会の受講記録を組み合わせて、合計30時間以上を満たすことを目指してください。届出には、各講習会の修了証や受講証明書の提出が必須です。
届出準備の進め方
届出準備は、3つの要件を順番に確認しながら進めましょう。まずは、ICU部長の勤務経験を所属長による証明書で裏付けてください。次に、集中治療専門医の認定証または研修修了証の写しを取得してください。最後に、過去に受講した講習会の受講証明書を本人から提出してもらい、合計時間を集計してください。
講習会の受講時間が30時間に達していない場合は、追加受講の計画を早めに立てる必要があります。FCCSセミナーやMCCRC in JAPANなど、まとまった時間数を確保できる講習会への参加を優先的に検討してください。届出予定日から逆算し、受講スケジュールを医師と共有しておくと安心です。
特定集中治療室管理料1の医師要件は、勤務経験5年・専門医研修修了・講習会30時間受講の3つすべてを満たすことが求められます。貴院ICU部長の専門医資格と勤務歴は強い武器になりますが、講習会受講履歴の確認が最大のポイントです。まずは本人へのヒアリングと書類収集から着手し、不足分は計画的に補完していきましょう。届出は一度準備の型を作れば、次回以降の更新でも応用できる貴重な資産になります。
♥ 0いいねをした人: いませんご相談ありがとうございます。結論からお伝えします。貴院の交渉が単品単価交渉に該当するかは、全国最低価格データの「使い方」で判断が分かれます。最低価格を参考情報として扱い、配送コストや支払条件などの地域差・取引条件を踏まえた個別交渉を行っているなら、単品単価交渉に該当します。一方、最低価格そのものをベンチマークとして価格を決定している場合は、単品単価交渉に該当しません。
本回答では、疑義解釈資料(その4)問37を踏まえ、3つのポイントを順に解説します。第1に、単品単価交渉の定義を確認します。第2に、単品単価交渉に該当しない4つの交渉パターンを整理します。第3に、届出に向けた現場での具体的なアクションを提示します。
単品単価交渉の定義
単品単価交渉とは、個別品目ごとに取引価格を決める交渉です。ただし、品目別に価格を決めるだけでは要件を満たしません。疑義解釈では、2つの条件を満たすことを求めています。
2つの条件とは、「他の医薬品価格からの独立性」と「安定供給に必要なコストの反映」です。前者は、他の品目の値引き状況に左右されずに価格を決定する姿勢を指します。後者は、配送コストの地域差や購入金額、支払条件、返品、急配といった取引条件を価格に織り込む姿勢を指します。
単品単価交渉に該当しない4つの交渉パターン
単品単価交渉に該当しない交渉として、疑義解釈では4つのパターンが示されています。いずれも、個別品目ごとに価格を決めていたとしても該当しないと明記されている点に注意してください。
第1のパターンは、総価値引率を用いた交渉です。総価交渉のほか、一部品目を除外したうえでの総価交渉も含まれます。
第2のパターンは、全国最低価格に類する価格をベンチマークとして用いた交渉です。貴院のケースが該当するかを判断するうえで、最も注意すべきパターンです。
第3のパターンは、地域差や取引条件を考慮しないベンチマークによる一方的な交渉です。ベンチマーク自体の活用は否定されませんが、配送コストの地域差、購入金額、支払条件、返品、急配などを反映せずに価格を決定する交渉は認められません。
第4のパターンは、加盟施設の事情を考慮しない一括受託業者による交渉です。加盟施設ごとの地域差や取引条件を考慮しない交渉、または加盟施設の確認が行われない交渉が該当します。
届出に向けた現場での具体的なアクション
貴院ではまず、現在の価格交渉の実態を3つの観点で点検してください。第1に、価格決定のプロセスを文書化しているかを確認します。第2に、地域差や取引条件をどう反映しているかを整理します。第3に、ベンチマークの位置づけを明確にします。
点検の結果、最低価格をベンチマークとして価格を決定している場合は、交渉方法の見直しが必要です。最低価格は参考情報にとどめ、自院の配送条件や購入規模、支払条件を踏まえた個別交渉に切り替えてください。
交渉方法を整備したあとは、議事録や見積書、価格決定の根拠資料を残しておくことをお勧めします。届出後の指導監査で交渉実態を問われた際、客観的な証拠として活用できます。
結論
単品単価交渉は、個別品目ごとの価格決定に加え、地域差や取引条件の反映が求められます。貴院で全国最低価格を活用している場合、その位置づけが「参考情報」か「価格決定基準」かで施設基準への適合可否が分かれます。まずは現在の交渉実態を点検し、必要に応じて交渉プロセスの見直しと文書化を進めてください。
♥ 0いいねをした人: いません結論:ICT機器の「広く使用」は、ア・イ・ウで異なる3つの使用率基準を満たすことを指します
令和8年度診療報酬改定で新設された「情報通信機器等を用いた看護職員及び看護補助者の業務効率化」の施設基準について、現場では「広く使用」の解釈に戸惑う声が多く寄せられています。施設基準通知(保医発0305第7号 別添2の第2の19(1))では「アからウまでに掲げるICT、AI、IoTの機器等を全て導入しており、当該病棟の看護職員等が広く使用していること」と規定されていますが、具体的な使用率の数値は通知本体には示されていませんでした。この曖昧さを解消し、届出判断と実績管理の指針を明確にすることが本記事の目的です。
結論として、令和8年4月1日付の疑義解釈資料(その2)問35により、ア・イ・ウそれぞれに別個の使用率基準が示されました。アの見守り機器は「1月当たりの平均で入院患者の概ね2割以上」、イの看護記録機器は「概ね全ての看護職員が週に1回程度」、ウの情報共有機器は「当該日に勤務する概ね全ての看護職員」が使用していることが求められます。3つの基準は分母(患者か職員か)も頻度(月平均・週1回・毎日)も異なるため、それぞれを区別して管理する運用設計が不可欠です。
ア:見守り機器は「月平均で入院患者の概ね2割以上」が使用基準
アの見守りにおける業務の効率化に資するICT機器等については、1月当たりの平均で当該病棟の入院患者の概ね2割以上が当該機器を使用していることが求められます。施設基準通知では「患者の状態や、患者又はその家族等の意向に応じ、一部の患者に当該機器を使用せず個別に見守りを行うこと又は当該機器の使用を一時的に停止することは差し支えない」とされており、全患者への一律導入は前提とされていません。あくまで適切に患者の状態を判断したうえで、月平均2割以上の使用実績を確保する運用が想定されています。
2割の分母は患者であり、職員ではない点に注意が必要です。例えば40床の病棟であれば、月平均で常時8名以上が見守り機器を使用している状態を維持しなくてはなりません。日々の使用患者数は機器ベンダーの稼働ログや看護記録上で確実に把握し、月次で集計できる体制を整えておく必要があります。
イ:看護記録機器は「概ね全看護職員が週に1回程度」が使用基準
イの看護記録の作成等の効率化に資するICT機器等については、概ね全ての看護職員が週に1回程度当該機器を使用していることが基準となります。アとは異なり、分母が患者ではなく看護職員である点に注意が必要です。音声入力システムや看護記録作成支援アプリなど、看護記録の効率化に資する機器が該当します。
週に1回程度という頻度自体は決して高い水準ではありません。しかし「概ね全ての看護職員」という条件があるため、夜勤専従者やパート職員も含めた運用設計が求められます。シフト管理表と機器のログイン履歴を月次で突合し、未使用の職員が出ていないかを継続的に確認する体制が望ましいでしょう。
ウ:情報共有機器は「当該日勤務の概ね全看護職員」が使用基準
ウの医療従事者間の情報共有の効率化に資するICT機器等については、当該日に勤務する概ね全ての看護職員が当該機器を使用していることが求められます。イが「週1回」の頻度基準であったのに対し、ウは事実上「毎日」の使用が前提となる点が大きな違いです。多職種間のチャットツールやナースコール連携システムなど、リアルタイムの情報共有を支える機器が該当します。
「当該日に勤務する」職員が対象であるため、勤務日ごとの使用実績の把握が必要となります。日勤・夜勤を問わず、その日の勤務者全員のログイン状況を機器側で確認できる仕組みが望ましいです。導入時には、機器側にログ取得機能や日次レポート出力機能が備わっているかを必ず確認してください。
3つの基準を一覧で整理
3つの基準は分母と頻度が異なります。実務での誤解を防ぐため、下記のとおり整理しておきましょう。
- ア(見守り):分母=入院患者数、基準=月平均で概ね2割以上
- イ(看護記録):分母=看護職員、基準=概ね全員が週に1回程度
- ウ(情報共有):分母=当該日の勤務看護職員、基準=概ね全員
現場で進めるべき具体的アクション
まずは、自院に導入予定のICT機器等がア・イ・ウのどの分類に該当するかを整理してください。届出時には、各機器の用途と分類を明確にしたうえで、それぞれの使用率基準を満たしているかを別個に検証する必要があります。導入機器とア・イ・ウの分類を一覧化したマッピング資料の作成をお勧めします。
次に、各機器の使用実績を客観的に把握する仕組みを整えてください。アについては患者ごとの使用台帳、イ・ウについては職員ごとの使用ログを、それぞれ月次で集計できる体制が必要です。ベンダーに使用状況レポートの出力機能があるかを確認し、機能が不足する場合は手作業での集計フローを設計しておきましょう。
最後に、運用ルールを病棟内で共有してください。特にイ・ウの基準は職員側の使用行動が達成の鍵となるため、看護師長を中心に、機器使用の必要性と頻度を周知することが重要です。基準未達のリスクを早期に発見できるよう、月次でのモニタリング体制を構築しておきましょう。
結論
ICT機器等の「広く使用」の要件は、ア・イ・ウそれぞれに別個の使用率基準として具体化されました。アは入院患者の概ね2割以上、イは概ね全看護職員の週1回程度、ウは当該日勤務の概ね全看護職員、というように対象も頻度も異なります。届出の準備と継続要件の維持には、各機器を分類ごとに切り分け、それぞれ別の指標で実績を管理する運用が不可欠です。まずは自院の導入機器を3分類にマッピングし、月次集計の仕組みづくりから着手しましょう。
♥ 0いいねをした人: いません結論からお伝えすると、従来の看護補助体制充実加算の研修内容を、そのまま「看護補助・患者ケア体制充実加算」の施設基準に係る研修として継続実施できます。名称が変わっただけで研修内容に変更はありません。ただし、過去に実施した研修を含めて施設基準に係る研修であることを職員へ周知する場合には、改めて研修内容の確認が必要です。
本記事では、疑義解釈資料その2の問25に基づき、3つの論点を解説します。1つ目は、研修内容に変更が生じないことです。2つ目は、従来認められていた研修が継続して施設基準を満たすことです。3つ目は、周知時にのみ研修内容の再確認が求められることです。
研修内容に変更は生じない
名称変更された「看護補助・患者ケア体制充実加算」の研修内容は、従来の看護補助体制充実加算と同じです。疑義解釈資料その2問25において「名称が変更されたのみであり、研修内容には特段の変更は生じない」と明記されました。したがって、教材の作り直しや研修プログラムの再構築は必要ありません。
研修内容が同じである以上、院内で監修したオリジナル教材も、そのまま使い続けて差し支えありません。スライドや動画の中で「看護補助体制充実加算」という旧名称が使われている部分のみ、表記を更新すれば実務上は十分です。教材のロジックや構成までさかのぼって見直す必要はありません。
従来の研修は継続して認められる
従来認められていた研修は、引き続き施設基準に係る研修として認められます。これは、研修内容に特段の変更が生じないことの当然の帰結です。過去に実施した研修記録も、有効な研修履歴として保管しておけば問題ありません。
従来の研修が継続して認められるため、年度途中で慌てて再受講させる必要もありません。受講済みの看護補助者については、研修修了の事実をそのまま記録として残しておきましょう。新規採用者に対しては、これまでと同じカリキュラムで研修を実施すれば、施設基準を満たすことができます。
周知時には研修内容の再確認が必要
過去に実施した研修を含めて施設基準に係る研修と周知する場合には、改めて研修内容の確認が必要です。疑義解釈資料その2問25の後段で「過去に実施した研修を含めて、施設基準に係る研修として認められていることを周知の際に明記する場合には、再度、研修内容の確認を要すこと」と示されました。職員への案内文や研修受講証明書などに「看護補助・患者ケア体制充実加算の施設基準に係る研修」と記載する場面が該当します。
周知時の確認作業では、過去の研修カリキュラムが現行の施設基準で求められる研修項目を網羅しているかを点検します。具体的には、医療制度の概要、医療現場における安全管理、院内感染対策、看護補助業務の基本、看護補助業務における医療倫理などの項目が、過去の研修でも漏れなくカバーされているかを確認しましょう。確認の結果、抜け漏れがあれば補足研修を追加して、施設基準上の研修要件を満たしてください。
現場で進めるべき3つのアクション
現場では、以下の3つのアクションを早めに進めましょう。1つ目は、教材内の旧名称「看護補助体制充実加算」を「看護補助・患者ケア体制充実加算」へ表記更新することです。2つ目は、過去の研修カリキュラムを施設基準の研修項目と照合し、抜け漏れがないかを点検することです。3つ目は、職員への案内文や研修案内に名称を記載する前に、看護部長と事務長で内容確認の最終チェックを行うことです。
以上のとおり、名称変更による実務負担は最小限で済みます。研修内容は従来どおりで構いませんが、過去の研修を含めて周知する場合には研修内容の再確認だけは忘れずに実施してください。施設基準を確実に満たし、安定した加算算定につなげていきましょう。
♥ 0いいねをした人: いません結論として、入院料等通則5(2)の「診療情報提供料」には、B009・B010・B011の3区分すべてが含まれます。つまり、入院患者が他の医療機関で専門的な診療を受けた日でも、これら3区分の診療情報提供料は当院で算定可能です。本回答では、疑義解釈資料(その2)問 22 の根拠を確認し、現場で迷わないレセプト処理の手順までお示しします。
本論点のポイントは3つあります。第1に、例外として算定可能な「診療情報提供料」はB009・B010・B011の3区分です。第2に、この取扱いの根拠は厚生労働省の疑義解釈資料(その2)問 22 で明示されています。第3に、レセプトでは他医療機関受診の事実と算定する診療情報提供料の対応関係を明確に記載する必要があります。
例外として算定可能な3区分の整理
入院料等通則5(2)の「診療情報提供料」には、B009・B010・B011の3区分すべてが含まれます。疑義解釈資料(その2)問 22 において、厚生労働省は「B009」診療情報提供料(Ⅰ)、「B010」診療情報提供料(Ⅱ)、「B011」連携強化診療情報提供料の3区分を明示しています。したがって、貴院でよく使うB009だけでなく、B010とB011も他医療機関受診日に算定可能です。
B009診療情報提供料(Ⅰ)は、他の医療機関等への文書による情報提供で算定する区分です。入院患者を他院に紹介する場面で最も使用頻度が高く、貴院でも日常的に算定されている区分と思います。
B010診療情報提供料(Ⅱ)は、患者の希望に基づく他の医療機関のセカンドオピニオンを目的とした情報提供で算定する区分です。患者の意思決定支援の場面で活用される区分であり、入院中であっても算定機会が生じます。
B011連携強化診療情報提供料は、地域の医療機関との継続的な連携体制の中で、より詳細な情報提供を行った場合に算定する区分です。在宅療養支援病院や紹介受診重点医療機関等の施設要件を満たした医療機関で算定可能であり、令和4年度改定で新設されました。
取扱いの根拠条文と通則の構造
本取扱いの根拠は、令和8年度改定の疑義解釈資料(その2)問 22 にあります。質問は「診療情報提供料」の具体的範囲を問うもので、回答ではB009・B010・B011の3区分を指すと明示されました。この回答により、現場の解釈の揺れが解消されています。
通則5(2)の構造を整理すると、他医療機関受診日に算定不可とされる費用には除外規定が組み込まれています。算定不可の対象は、医学管理等、在宅医療、投薬、注射、リハビリテーションの5領域です。このうち医学管理等から「診療情報提供料」が、リハビリテーションから「言語聴覚療法に係る疾患別リハビリテーション料」が、それぞれ除外されています。
この除外規定の趣旨は、医療機関間の情報連携を阻害しないためと考えられます。他医療機関受診は患者により良い医療を提供するための仕組みであり、その円滑な実施には診療情報提供料による情報共有が不可欠です。診療情報提供料の算定を認めることで、医療機関間の連携を診療報酬上も後押しする構造となっています。
現場で進めていただきたい具体的アクション
まずは医事課内で算定ルールの整備を進めてください。整備すべき項目は3つあります。1つ目は他医療機関受診時の算定可能項目チェックリストの作成、2つ目はレセプト摘要欄への記載ルールの明確化、3つ目はB010・B011を活用するケースの院内周知です。
レセプトでは摘要欄の記載が重要です。他医療機関受診のあった日に診療情報提供料を算定する場合、受診日と算定の対応関係を摘要欄に明記してください。記載例としては「●月●日他医療機関受診あり、同日B009診療情報提供料(Ⅰ)算定(紹介先:〇〇病院)」のように、日付・受診の事実・算定区分・宛先を記録します。この記載があれば、返戻リスクを大幅に低減できます。
最後に、B011連携強化診療情報提供料の活用余地を院内で共有してください。同区分は施設基準を満たせば算定可能ですが、算定実績が伸びない医療機関も多く見受けられます。地域連携室と医事課が連携し、紹介状作成時に算定可能な区分を主治医に確認できる仕組みを整えれば、適正な算定につながります。岡も同じ立場で運用設計を進めていますので、迷うケースがあればご相談ください。
以上の通り、入院料等通則5(2)の「診療情報提供料」はB009・B010・B011の3区分すべてを指します。他医療機関受診日でも当該3区分は算定可能であり、レセプト摘要欄への明確な記載と院内ルールの整備により、適正な算定と返戻リスクの回避を両立できます。
♥ 0いいねをした人: いません結論として、医療提供機能連携確保加算(A254)の実績要件は、自院の所在する二次医療圏で満たす必要はありません。ただし、施設基準通知(1)のアからエまでのうち2つ以上を、「人口の少ない地域」に該当する同一の二次医療圏で満たす必要があります。地域の取り違えは届出差戻しの典型例ですので、本回答でポイントを整理します。
本回答では、3つの観点から疑問を解消します。1つ目は「自院所在地と実績地域は別でよい」という大原則、2つ目は「同一地域で2つ以上」という地域集約のルール、3つ目は「(2)の追加要件」を満たす必要性、です。最後に、届出前のチェックポイントを具体的なアクションとしてご提示します。
自院所在地と実績地域は別でよい
実績要件の対象地域は、自院の所在する二次医療圏に限定されません。疑義解釈資料(その2)問20では、「外来・在宅診療体制の確保に係る診療(入院中の患者以外の患者に対して行う診療に限る。)の実績」について、「必ずしも当該加算を算定する保険医療機関が所在する二次医療圏において満たすことは要しない」と明示されています。
この回答が示すのは、実績の対象地域は「人口の少ない地域」を指すという点です。施設基準通知(1)のアからエまでに登場する「当該地域」とは、自院所在地ではなく「人口の少ない地域」を指すと整理されています。地方中核病院が、隣接する過疎地域へ出向いて巡回診療や外来診療体制を支えているケースを、まさに評価する建付けと理解できます。
貴院のケースでは、隣接する人口の少ない二次医療圏で巡回診療を実施されているとのことですので、その地域での実績を実績要件のカウント対象とすることが可能です。自院の所在地で実績がないことは、要件充足の妨げになりません。
同一地域で2つ以上を満たす
地域要件で最も注意が必要なのは、「同一の二次医療圏」での集約ルールです。疑義解釈資料(その2)問20の後段では、「アからエまでのいずれかのうち2つ以上を、人口の少ない地域に該当する同一の二次医療圏において満たす必要」があると明記されています。
「同一の二次医療圏」での集約とは、たとえば「A地域でア(巡回診療)」と「B地域でイ(外来診療体制)」というように別々の地域で1つずつ満たす形では、要件を充足できないという意味です。アからエの要件のうち、2つ以上を1つの「人口の少ない地域に該当する二次医療圏」内で満たす必要があります。
貴院が実績の集計を行う際は、まず「どの人口の少ない二次医療圏で活動しているか」を特定し、その地域の中でア・イ・ウ・エの該当要件を洗い出すという順序が確実です。複数地域で活動されている場合は、地域ごとに該当要件を整理した一覧表を作成すると、判断ミスを防げます。
(2)の追加要件も忘れずに
地域要件をクリアしたうえで、施設基準通知(2)の要件も別途満たす必要があります。疑義解釈資料(その2)問20の末尾では、「その上で(2)を満たす必要があることに留意されたい」と念を押しています。
(2)の要件は、巡回診療等の事業性に関する規定です。なお、関連する疑義解釈資料(その2)問21では、当該加算における「巡回診療」を「巡回診療の医療法上の取り扱いについて」(昭和37年6月20日付け医発第554号厚生省医務局長通知)に基づき、当該加算を算定する病院の事業として行われる診療(保険診療として行うものに限る。)と定義しています。医師が個人的に行う診療や、保険外の診療は、ここでいう巡回診療には含まれない点にご注意ください。
届出前の現場アクション
届出前には、3つのアクションをお勧めします。第一に、貴院が活動している「人口の少ない二次医療圏」を地図上で特定し、その医療圏ごとにア~エの該当実績を一覧化してください。第二に、特定した同一医療圏内でアからエまでのうち2つ以上を満たすかを確認し、根拠となる診療実績データ(実施日・対象患者数・診療形態)を揃えてください。第三に、巡回診療を実績に含める場合は、医発第554号通知に基づく病院の事業として位置付けられているか、保険診療であるかを所管厚生局に事前確認してください。
結論を改めて整理します。医療提供機能連携確保加算の実績地域は、自院所在の二次医療圏に縛られません。「人口の少ない地域に該当する同一の二次医療圏」内で、ア~エのうち2つ以上を満たし、かつ(2)の要件も満たすことが必要です。届出資料を作成する前に、「どの地域で・どの要件を・どんな実績で」満たしているのかを整理しましょう。
📌 根拠資料
- 疑義解釈資料の送付について(その2)令和8年4月1日事務連絡 問20・問21
- 巡回診療の医療法上の取り扱いについて(昭和37年6月20日付け医発第554号厚生省医務局長通知)
♥ 0いいねをした人: いません結論として、3診療科を1つの「消化器外科」として特定できます。ただし、各診療科が消化器に係る外科的治療を主として行っており、原則として消化器外科以外の診療を実施していないことが前提です。施設基準2(3)及び(4)の交代勤務制又はチーム制の要件は、消化器外科全体として満たしていれば差し支えありません。ただし、実態として各診療科が独立した勤務体制を取っている場合には、それぞれの診療科で要件を満たす必要があります。
本回答では、3診療科を1つに統合できる前提条件、施設基準2(3)及び(4)の判定方法、現場での具体的な確認手順の3点を解説します。届出準備を進めるうえで、勤務体制の実態確認が判断の分かれ目となります。疑義解釈資料(その4)の問11及び問12が直接の根拠です。
1. 3診療科を1つに統合できる前提条件
3診療科を1つの消化器外科として特定するには、各診療科が消化器の外科的治療を主として行っていることが前提です。疑義解釈資料(その4)の問11がこの判断基準を明確に示しています。
問11は、「いずれの診療科においても、消化器に係る手術等の外科的治療を主として行っており、原則として消化器外科以外の診療科の診療を実施していない場合には、複数の診療科を合わせて1つの消化器外科として特定して差し支えない」と回答しています。つまり、診療内容の同質性が統合の判断基準です。
診療内容の同質性は、疑義解釈資料(その2)の問15で示された消化器外科の定義とも整合します。問15は、消化器外科を「消化器に係る手術等の外科的治療を主として行っており、原則として当該特定診療科以外の診療科の診療を実施していないこと」と定義しています。希少な部位の手術を併せて担当している場合でも、当該分野の手術が全体の1割未満であれば差し支えないとされています。
2. 施設基準2(3)及び(4)の判定方法
施設基準2(3)及び(4)は、消化器外科全体として満たしていれば差し支えありません。ただし、実態として各診療科が独立した勤務体制を取っている場合には、それぞれの診療科で交代勤務制又はチーム制の要件を満たす必要があります。
この判定方法は、疑義解釈資料(その4)の問12で明確化されています。問12は、「2(3)及び(4)について、消化器外科全体として施設基準を満たしていれば差し支えないが、実態として、各診療科で独立した勤務体制を取っている場合には、それぞれの診療科で交代勤務制又はチーム制の要件を満たす必要がある」と回答しています。
独立した勤務体制とは、各診療科が別々に当直やオンコール体制を組み、相互に応援しない運用を指します。一方、3診療科の医師が合同で当直やチーム制を組んでいるなら、消化器外科全体として要件を判定できます。判定の分かれ目は「実態」であり、組織図上の区分ではない点に注意が必要です。
3. 現場での具体的な確認手順
まずは、3診療科の勤務体制の実態を確認しましょう。独立しているか統合されているかで、届出の組み立てが変わります。
具体的な確認項目は以下の3点です。第一に、3診療科の医師が合同で交代勤務制又はチーム制を組んでいるか否かを、勤務表で確認します。第二に、3診療科の医師が消化器外科以外の診療を実施していないかを、直近の診療実績で確認します。第三に、特定診療科に係る研修を修了した看護職員が病棟業務に携わっているかを、看護部に確認します。
確認結果に応じて、届出方針を決定してください。3診療科が合同で勤務体制を組んでいるなら、消化器外科全体での届出を準備します。独立した勤務体制であるなら、各診療科でそれぞれ要件を満たす届出を準備してください。なお届出様式の特定診療科の記載欄には、3診療科を統合する場合でも、各診療科の診療内容、所属医師、専門医資格を記載する必要がある点に留意しましょう。
結論
3診療科を1つの「消化器外科」として特定できるかは、各診療科が消化器の外科的治療を主に担当し、消化器外科以外の診療を実施していないことが前提条件です。施設基準2(3)及び(4)は、消化器外科全体として満たしていれば差し支えありませんが、独立した勤務体制を取っているなら各診療科で要件を満たす必要があります。届出準備を進めるうえで、まずは勤務体制の実態確認から着手しましょう。
最後にひとつ補足します。届出後の運用変更で、勤務体制が分離する可能性もあります。届出時の前提が崩れた場合に備えて、判定根拠を文書で残しておくと、将来の指導監査でも安心して説明できます。現場の負担を増やさず、堅実な届出を進めていきましょう。
♥ 0いいねをした人: いません医師事務作業補助体制加算の施設基準では、「10種類以上の患者向け説明動画」の整備が新たに求められます。この要件で多くの医療機関が悩むのが、通知に例示された6つの領域をすべて網羅する必要があるのかという点です。本回答では、令和8年度の疑義解釈(その2)を根拠に、現場で必要な動画の揃え方を整理します。
結論として、「3つ以上の領域で、合計10種類以上」の動画を用意すれば要件を満たします。6つの例示領域すべてを揃える必要はありません。動画の使用回数は1日あたり一般病床数の概ね15%以上が目安です。動画選定と並行して、使用ログの記録体制と生成AI研修の整備も進めましょう。
要件の核心は「3領域以上・合計10種類以上」
動画の揃え方は、3つ以上の領域から合計10種類以上を用意すれば要件を満たします。この解釈は、厚生労働省の「疑義解釈資料の送付について(その2)」(令和8年4月1日事務連絡)の問12で明示されました。
3領域に絞った場合の具体例として、入退院時の説明から4種類、検査・処置から3種類、手術から3種類で、合計10種類という揃え方が認められます。逆に、領域ごとに10種類ずつ揃える必要はありません。通知本文だけを読むと6領域すべての網羅が必要に見えますが、疑義解釈で「少なくとも3つの領域の説明動画が合計10種類以上」と整理されているため、現場はこの基準で準備を進めて問題ありません。
使用頻度の目安は病床数の概ね15%
動画は揃えるだけでなく、日常的に使用されている実態が必要です。1日あたりの使用回数は、外来を含めて一般病床数の概ね15%以上が目安とされています。療養病床および精神病床については5%以上が目安です。
使用回数の集計対象には、外来患者への使用も含まれます。一般病床200床の急性期病院であれば1日30回以上、療養病床100床であれば1日5回以上の使用が必要となります。外来検査前の説明場面や手術前のインフォームド・コンセント場面で動画を活用すると、使用回数を安定して確保できます。
現場で進めるべき具体的アクション
まず、自院の診療実態に合わせて動画を揃える領域を3つ選定しましょう。急性期病院であれば「手術」「検査・処置」「インフォームド・コンセント」、回復期病院であれば「入退院時の説明」「医療安全・感染対策」「検査・処置」など、自院の診療実績で頻度の高い場面から選ぶのが効率的です。
次に、使用回数を毎日記録する運用フローを作ってください。動画再生システムのログ機能を活用し、外来・病棟双方の使用回数を集計できる体制を整えます。15%の目安を下回る日が続く場合は、職員向けに動画活用の周知を徹底しましょう。
あわせて、生成AIに関する研修記録の整備も忘れずに進めてください。医師事務作業補助体制加算では、生成AIを活用した文書作成補助システムの導入と、その適切な利用に関する研修が施設基準で求められています。研修の開催日時、出席者、研修項目を記録することが必要です。
結論
医師事務作業補助体制加算の「10種類以上の患者向け説明動画」要件は、3つ以上の領域で合計10種類以上を揃えれば満たせます。1日あたり一般病床数の概ね15%以上の使用回数を目安に、外来も含めた運用設計を進めましょう。動画の選定と並行して、使用ログの記録体制と生成AI研修の整備も同時に進めることをおすすめします。
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