フォーラムへの返信
-
投稿者投稿
-
ご提示のケースは、入院手術対応加算を算定できます。心疾患という持病により偶発症のリスクが高い患者は、算定要件の一つに該当するためです。ただし、この加算には施設基準の届出が前提となります。短期滞在手術等基本料3を算定しているだけでは、入院手術対応加算は算定できません。本稿では、算定の可否を要件ごとに整理してお伝えします。
結論として、入院手術対応加算の算定には三つの条件をすべて満たす必要があります。第一に、施設基準を地方厚生局長等へ届け出ていることです。第二に、令和8年度改定で定められた三つの算定要件のいずれかを満たすことです。第三に、告示で列挙された対象手術等を行うことです。
前提として、施設基準の届出と基本料3の算定が必要です
入院手術対応加算は、短期滞在手術等基本料3を算定する場合にのみ算定できます。短期滞在手術等基本料1を算定する日帰り手術では、この加算は対象外です。まずは自院がどちらの基本料を算定しているかをご確認ください。貴院は基本料3を算定されているとのことですので、この点は満たしています。
この基本料3の算定に加えて、施設基準の届出が欠かせません。告示「注3」は、施設基準に適合し地方厚生局長等へ届け出た保険医療機関に限り、加算を認めています。したがって、基本料3を算定しているだけでは、入院手術対応加算は自動的には算定できません。届出をしていなければ、要件を満たしても算定はできない点にご注意ください。
なお、診療所はこの加算を算定できません。通知(17)は、算定できる医療機関を「診療所を除く保険医療機関」と明記しています。貴院は急性期病院とのことですので、この要件にも問題はありません。
算定要件は、三つのうちいずれか一つを満たせば足ります
入院手術対応加算は、通知(17)が定める三つの要件のいずれかに該当する場合に算定できます。三つの要件は、いずれも患者の状態に着目したものです。具体的には、次のとおりです。
- 要件ア(全身麻酔):手術に全身麻酔が必要な患者に対し、「L008」声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔を伴う場合
- 要件イ(偶発症リスク):患者の病態や内服薬等により、偶発症の発生する可能性、又は偶発症が発生した場合に重症化する可能性が高い場合
- 要件ウ(全身状態不良):原疾患により全身状態が不良である場合
ご提示の患者は、この要件イに該当します。心疾患という持病をお持ちのため、偶発症が発生した場合に重症化する可能性が高いと考えられるためです。全身麻酔を用いない硬化療法であっても、要件イを満たせば算定できます。要件アの全身麻酔は三つの要件の一つにすぎず、必須条件ではありません。
対象手術は限定列挙であり、ご予定の硬化療法も含まれます
入院手術対応加算の対象手術は、告示「注3」に限定列挙されています。ご予定の「K617」下肢静脈瘤手術の「2」硬化療法(一連として)は、この一覧に含まれます。加算の点数は235点です。
主な対象手術と加算点数は、次のとおりです。
区分番号・手術名 加算点数 K268 緑内障手術 6 水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術(片側) 1,043点 K616-4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 2 802点 K823-6 尿失禁手術(ボツリヌス毒素によるもの) 751点 K617-6 下肢静脈瘤血管内塞栓術 645点 K093-2 手根管開放手術(内視鏡下) 568点 K617 下肢静脈瘤手術 2 硬化療法(一連として) 235点 これらの手術は、入院した日から起算して5日までの期間に行うことが条件です。手術が一覧に含まれていても、6日目以降に実施した場合は加算の対象外となります。実施日が入院後5日以内に収まっているかを、あわせてご確認ください。
現場での確認手順
まずは、施設基準の届出状況を医事課でご確認ください。届出が済んでいなければ、要件を満たしても算定はできません。届出がまだの場合は、地方厚生局への届出準備を進めましょう。
次に、要件イに該当する根拠を診療録に残しておくことをお勧めします。通知上の明記はありませんが、心疾患による偶発症リスクの判断根拠を記録しておくと、審査時の説明がしやすくなります。主治医に一言記載をお願いしておくと安心です。
最後に、対象手術と実施日のチェックリストを作成してください。一覧に該当するか、入院後5日以内に実施しているかを、算定前に確認できる仕組みが有効です。レセプト点検の負担も軽くなります。
改めて整理します。ご提示のケースは、入院手術対応加算を算定できます。算定の鍵は、施設基準の届出、三つの要件のいずれかの充足、対象手術の実施という三点です。この三点をそろえて、適正な算定を進めてください。
♥ 0いいねをした人: いませんご質問の答えは、後者です。貴院が特定機能病院へ「診療状況を示す文書」を提供した日に、連携強化診療情報提供料を算定します。術後フォローで患者様が貴院へ戻られる連携は、地域医療でますます増えています。この連携では、算定のタイミングを「お手紙を受け取った日」と取り違えやすく、返戻のもとになります。そこで以下では、算定の正しい起点と、その前提となる要件を整理します。
押さえるべきポイントは、3つです。1つ目は、算定の起点が「貴院による文書の提供」であり、文書の受け取りではない点です。2つ目は、算定の前提に、特定機能病院からの「求め」または「共同管理の合意」が必要な点です。3つ目は、提供する文書に実質的な診療内容を記載し、その写しを診療録へ添付する点です。
算定の起点は「貴院が文書を提供した日」
連携強化診療情報提供料は、診療状況を示す文書を「提供する」保険医療機関が算定する点数です。告示の注1は、文書を「提供した場合」に、「提供する保険医療機関ごとに患者1人につき3月に1回に限り算定する」と定めています。つまり、算定の起点は、貴院が文書を提供する行為です。一方、患者様が特定機能病院のお手紙を持参した行為は、特定機能病院側の文書提供にあたります。この提供は、貴院の算定の起点にはなりません。したがって、貴院は、自院の文書を特定機能病院へ提供した日に算定します。
算定の前提は「求め」または「合意」の確認
算定の前提として、特定機能病院からの「求め」または「共同管理の合意」が必要です。告示の注1は、「当該他の保険医療機関からの求めに応じて、又は当該他の保険医療機関と共同して当該患者の治療管理を継続的に行う旨の合意に基づき」と定めています。この求めや合意は、必ずしも文書で得る必要はありません。ただし、求めがあった事実は、診療録に記載してください(疑義解釈 R4.3.31 その1・問166)。文書で得た場合は、その文書を診療録に添付すれば足ります。
提供する文書には「実質的な内容」と「必須項目」を記載
貴院が提供する文書には、診療状況の実質的な内容を記載します。単に「受診した旨」だけを記した文書では、算定できません(疑義解釈 R2.3.31 その1・問86)。具体的には、診療の方針、患者様への指導内容、検査結果、投薬内容などを記載してください。あわせて、患者様の氏名・生年月日・連絡先、提供先の医療機関名、貴院の名称と担当医師名も記載が必要です。最後に、交付した文書の写しを診療録へ添付してください(通知(2))。
算定前に確認したい4つのポイント
算定の前に、貴院で次の4点を確認しましょう。
- 患者様の同意を得ているか、確認します。同意は算定の必須要件です。
- 同一の特定機能病院へ同月に「B009」診療情報提供料(Ⅰ)を算定していないか、確認します。算定済みの月は、連携強化診療情報提供料を算定できません(注6・通知(6))。
- 算定日が初診料の算定日でないか、確認します。ただし、次回受診日を予約していれば算定できます(注1)。
- 提供先が「特別の関係」にある医療機関でないか、確認します。特別の関係への情報提供は算定できません(通知(7))。
まとめ
もう一度、整理します。貴院の算定タイミングは、特定機能病院へ自院の文書を提供した日です。患者様がお手紙を持参しただけでは、算定できません。算定の前提として、特定機能病院からの「求め」または「合意」を確認し、その事実を診療録へ記載してください。そのうえで、実質的な内容の文書を提供し、写しを診療録へ添付すれば、貴院は自信を持って算定できます。術後の患者様を地域で支える大切な連携です。根拠を診療録にきちんと残し、安心して算定を進めてください。
♥ 0いいねをした人: いません新規開業の事務、おつかれさまです。開業準備で動くことが山ほどあるなか、届出のタイミングまで気にかけられているのは心強い限りです。結論から申し上げると、ご質問者様の解釈で合っています。新設の医療機関でも、届出には対象職員への給与の支払い実績が必要です。そして、必要な実績の期間は評価料の種類によって異なり、届出前の1か月分または3か月分が求められます。この回答では、実績が必要な理由と、評価料ごとに必要な期間を整理します。
ポイントは3つです。第一に、新設の医療機関でも給与の支払い実績が必要です。第二に、(Ⅰ)系などは届出前の1か月分の実績が必要です。第三に、(Ⅱ)系と入院は届出前の3か月分の実績が必要です。以下、順に解説します。
1. 新設の医療機関でも給与の支払い実績が必要
新しく開設した医療機関でも、届出には対象職員への給与の支払い実績が必要です。疑義解釈資料(その2)問3は、この点を示しています。同問は、新設した保険医療機関等がベースアップ評価料の届出を行うにあたって、対象職員に対する給与の支払い実績は必要か、という問いに「必要」と回答しています。つまり、開業したばかりであっても、実績なしに即座に届け出ることはできず、一定期間の給与の支払い実績を積んでから届け出る、ということです。
2. (Ⅰ)系などは届出前の1か月分の実績が必要
必要な実績の期間は、評価料の種類によって分かれます。問3は、まず1か月分の実績で足りる評価料を示しています。具体的には、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、調剤ベースアップ評価料、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)について、届出前の1か月における給与の支払い実績が必要、とされています。これらの評価料であれば、開業後ひと月分の実績を積めば、届出の要件を満たします。
3. (Ⅱ)系と入院は届出前の3か月分の実績が必要
一方で、より長い実績が求められる評価料もあります。問3は、3か月分の実績が必要な評価料も示しています。具体的には、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、入院ベースアップ評価料、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)について、届出前の3か月における給与の支払い実績が必要、とされています。これらの評価料を届け出る場合は、開業後3か月分の実績を積む必要がある、とご理解ください。
(Ⅰ)系と(Ⅱ)系・入院とで、必要な期間が分かれる点に注意が必要です。(Ⅰ)系などは1か月分、(Ⅱ)系と入院は3か月分と、求められる実績の長さが異なります。同じベースアップ評価料でも、どの評価料を届け出るかによって、届出できる時期が変わってきます。開業後すぐに算定を始めたい評価料がどちらに当たるかを、あらかじめ押さえておくことが大切です。
4. 現場での具体的なアクション
まずは、届け出たい評価料が(Ⅰ)系か、(Ⅱ)系・入院かを確認しましょう。(Ⅰ)系などなら1か月分、(Ⅱ)系・入院なら3か月分の給与の支払い実績が必要です。届け出る評価料が決まれば、必要な実績期間が自動的に定まります。
次に、必要な実績期間から逆算して、届出と算定開始のスケジュールを組んでください。3か月分が必要な評価料を開業直後から算定するのは難しいため、開業日から実績を積む期間を見込んでおく必要があります。給与の支払い実績がいつ揃うかを基準に、届出の時期を計画しておくと安心です。
最後に、根拠を院内で共有しておきましょう。疑義解釈資料(その2)問3を印刷し、開設関連のファイルに綴じておくと、評価料ごとに必要な実績期間を、迷わず確認できます。届出スケジュールを関係者と調整する際の根拠としても役立ちます。
まとめ
新設の医療機関でも、ベースアップ評価料の届出には対象職員への給与の支払い実績が必要です。必要な期間は評価料の種類によって分かれ、(Ⅰ)系などは届出前の1か月分、(Ⅱ)系と入院は届出前の3か月分が求められます。根拠は疑義解釈資料(その2)問3です。まずは、届け出たい評価料が(Ⅰ)系か(Ⅱ)系・入院かを確認することから始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いません総務課での施設基準対応、おつかれさまです。条例改正が絡むと賃上げのタイミングを自由に動かせず、算定開始に間に合うのかと不安になられるのは当然です。結論から申し上げると、ご質問者様の解釈で合っています。賃金改善は、原則として算定開始月から実施します。ただし、条例改正などやむを得ない理由がある場合は、年度末までに算定開始月へ遡及して実施すれば、算定開始月から実施したものとみなせます。この回答では、原則と例外、そして遡及の条件を整理します。
ポイントは3つです。第一に、賃金改善は原則として算定開始月から実施します。第二に、条例改正などやむを得ない理由があれば、年度末までの遡及が認められます。第三に、遡及する場合は、算定開始月または当該年の4月まで遡って実施する必要があります。以下、順に解説します。
1. 賃金改善は原則として算定開始月から実施する
賃金改善は、原則として評価料の算定を開始した月から実施します。疑義解釈資料(その2)問5は、この点を示しています。同問は、賃金の改善は算定開始月から実施する必要があるか、という問いに対し、「原則として算定開始月から賃金改善を実施し、算定する月においては継続する必要がある」と回答しています。つまり、算定を始めた月から賃上げを実施し、算定を続ける間は賃上げも継続する、というのが基本の考え方です。
あわせて、収入の充当には一定の幅も認められています。問5は、6月から翌年5月までの1年間に算定した評価料による収入を、当該年の4月から翌年3月の賃金改善に充てることは差し支えない、としています。算定期間と賃金改善の対象年度に多少のずれがあっても、この範囲での充当は認められる、とご理解ください。
2. やむを得ない理由があれば年度末までの遡及が認められる
原則は算定開始月からですが、やむを得ない理由がある場合には例外が認められます。問5は、条例の改正が必要であること等やむを得ない理由により、算定開始月からの賃金改善が実施困難な場合について、例外を示しています。具体的には、同年度末までに算定開始月へ遡及して賃金改善を実施する場合に限り、算定開始月から実施したものとみなすことができる、とされています。ご質問のように条例改正に時間がかかるケースは、まさにこの例外に当てはまります。
3. 遡及する場合は算定開始月または当該年の4月まで遡る
遡及が認められる一方で、どこまで遡るかも定められています。問5は、遡及の対象を「算定開始月(又は当該年の4月)」と示しています。つまり、年度末までに、算定開始月または当該年の4月まで遡って賃金改善を実施すれば、その月から実施したものとみなされます。年度末という期限と、遡る起点の両方を満たして初めて、原則どおり実施したものと扱われる、と整理しておくと安心です。
遡及はあくまで例外的な取扱いである点には注意が必要です。やむを得ない理由がないのに賃上げを後ろにずらすことは認められず、原則は算定開始月からの実施です。条例改正のように客観的な事情がある場合に限って、年度末までの遡及が認められる、とご理解ください。
4. 現場での具体的なアクション
まずは、条例改正の見込み時期を確認し、年度末までに間に合うかを見極めましょう。遡及が認められるのは、同年度末までに賃金改善を実施できる場合に限られます。改正のスケジュールを早めに把握し、年度内の実施に確実に間に合う段取りを組んでおくと安心です。
次に、遡及の起点を「算定開始月または当該年の4月」で確定させてください。どの月まで遡って賃上げを実施するかを決め、遡及分の支給額を試算しておきます。起点が固まれば、賃金システム側で遡及支給の準備も進められます。
最後に、やむを得ない理由を記録として残しておきましょう。条例改正が必要であった経緯や、改正スケジュールを文書で残しておくと、後の実績報告や説明の際に、遡及の正当性を明確に示せます。根拠として疑義解釈資料(その2)問5をあわせて綴じておくと万全です。
まとめ
賃金改善は、原則として評価料の算定開始月から実施し、算定する間は継続します。条例改正などやむを得ない理由がある場合は、年度末までに算定開始月または当該年の4月まで遡及して実施すれば、算定開始月から実施したものとみなせます。遡及はあくまで例外的な取扱いです。根拠は疑義解釈資料(その2)問5です。まずは、条例改正が年度末までに間に合うかを見極めることから始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いません事務長補佐として対象職員の線引きを整理されるの、おつかれさまです。院長やオーナーが現場で診療していると、含めてよいのか迷うのは当然です。結論から申し上げると、ご質問者様の解釈で合っています。開設者・管理者、および法人の代表者・役員は、いずれも対象職員には含まれません。実際に診療にあたっているかどうかは関係なく、これらの立場の方は対象外です。この回答では、対象外となる範囲と、線引きの考え方を整理します。
ポイントは3つです。第一に、開設者・管理者は対象職員に含まれません。第二に、法人の代表者・役員も対象職員に含まれません。第三に、診療に従事しているかどうかは、含める・含めないの判断に影響しません。以下、順に解説します。
1. 開設者・管理者は対象職員に含まれない
開設者および管理者は、対象職員に含まれません。疑義解釈資料(その4)問1は、この点を示しています。同問は、外来・在宅ベースアップ評価料、歯科外来・在宅ベースアップ評価料、入院ベースアップ評価料の対象職員について、「当該保険医療機関に勤務する職員」とあるが、開設者および管理者は含まれないか、という問いに「そのとおり」と回答しています。つまり、施設基準でいう「勤務する職員」には、開設者・管理者は当たらない、ということです。ご質問の院長が開設者であり管理者でもある場合、その立場では対象に含めません。
2. 法人の代表者・役員も対象職員に含まれない
開設者・管理者と同様に、法人の代表者および役員も対象職員に含まれません。問1は、開設者・管理者と並べて、法人の代表者および役員についても「いずれも含まれないか」と問うており、その答えも「そのとおり」です。つまり、開設者・管理者・代表者・役員という4つの立場は、いずれも一律に対象職員から外れる、ということです。肩書きの上で在籍していても、これらの立場にある方は区分計算の対象職員数に含めません。
3. 診療に従事していても判断は変わらない
これらの立場の方が実際に診療にあたっていても、対象外という扱いは変わりません。問1の趣旨は、勤務実態の有無ではなく、開設者・管理者・代表者・役員という「立場」に着目して対象から外す点にあります。したがって、院長が毎日診療していても、開設者・管理者である以上は対象に含めません。実際に働いているのに対象外なのは、と感じられるかもしれませんが、ここは立場で一律に線を引く、とご理解ください。
一方で、立場が変われば扱いも変わる点には注意が必要です。たとえば、役員でない一般の勤務医や、その他の対象職種の職員は、通常どおり対象職員に含まれます。あくまで対象外となるのは、開設者・管理者・代表者・役員という特定の立場に限られます。一人が複数の立場を兼ねる場合は、対象外の立場に該当するかどうかで判断する、と整理しておくと迷いません。
4. 現場での具体的なアクション
まずは、職員名簿から開設者・管理者・代表者・役員に該当する人を洗い出しましょう。これらの立場の方は、診療の有無にかかわらず対象職員数から除外します。誰がどの立場に該当するかを一覧化しておくと、区分計算の母数が明確になります。
次に、その除外を踏まえて区分計算をやり直してください。対象職員数が変われば、届出区分そのものが変わる可能性があります。これまで院長や役員を含めて計算していた場合は、除外後の人数で区分を再確認しておくと安心です。
最後に、根拠を院内で共有しておきましょう。疑義解釈資料(その4)問1を印刷し、届出ファイルに綴じておくと、院長や役員の扱いをたずねられたときに、立場を根拠として明確に説明できます。来年度以降の担当者の引継ぎにも役立ちます。
まとめ
開設者・管理者、および法人の代表者・役員は、いずれもベースアップ評価料の対象職員には含まれません。これらの立場の方が実際に診療にあたっていても、対象外という扱いは変わりません。対象外となるのは特定の立場に限られ、一般の勤務医やその他の職員は通常どおり対象に含まれます。根拠は疑義解釈資料(その4)問1です。まずは、職員名簿から該当者を洗い出し、対象職員数から除外することから始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いません人事・給与のご担当、おつかれさまです。年度途中の人の出入りは毎年必ず起こるだけに、報告書でどう扱うか迷われるのは当然です。結論から申し上げると、ご質問者様の解釈で合っています。年度途中で雇用または退職した対象職員は、入職した月以降、退職した月までは対象職員として扱って差し支えありません。あわせて、対象職員の数に1割以上の変動があり区分が変わる場合は、届出が必要になります。この回答では、年度途中の入退職の扱いと、1割以上の変動が生じたときの手続きを整理します。
ポイントは3つです。第一に、年度途中の入退職者は、在籍した期間について対象職員として扱えます。第二に、対象職員数に1割以上の変動があり区分が変わる場合は、届出が必要です。第三に、報告書には「在籍期間の基本給等総額」を「総算定月数」で割った値を計上します。以下、順に解説します。
1. 年度途中の入退職者は在籍期間について対象に含める
年度途中で雇用または退職した対象職員は、在籍していた期間について対象職員として扱えます。疑義解釈資料(その3)問4は、この点を示しています。同問は、年度途中で雇用または退職した対象職員の取扱いを問う問いに対し、「雇用した月以降又は退職した月までは、対象職員として取扱って差し支えない」と回答しています。つまり、年度を通して在籍していたかどうかは問われず、在籍していた月については対象に含めてよい、ということです。
2. 対象職員数が1割以上変動し区分が変わる場合は届出が必要
在籍期間を対象に含める一方で、対象職員数が大きく動いたときは手続きが必要になります。同じ問4は、この点も示しています。対象職員の数に1割以上の変動があった場合であって、改めて区分を算出した結果、区分の変動があるときは、算出を行った月内に地方厚生(支)局長へ届出を行ったうえで、翌月から変更後の区分に基づく点数を算定する、とされています。つまり、1割以上動いただけでは足りず、「区分が実際に変わる」ことが届出の引き金になる、とご理解ください。
1割以上の変動と区分の変動は、両方そろって初めて届出につながる点に注意が必要です。対象職員数が1割以上動いても、再計算した区分が変わらなければ、届出は不要です。逆に、1割以上動いて区分も変わる場合は、算出した月のうちに届出を行い、翌月から新しい区分で算定します。年度途中で人の出入りが重なる病院では、変動が1割を超えた段階で区分を再計算する習慣をつけておくと安心です。
3. 報告書には「在籍期間の基本給等総額÷総算定月数」を計上する
年度途中の変動があった場合、報告書への記載方法も定められています。問4は、当該評価料の算定期間中に対象職員の変動があった場合について、報告書への記載方法を示しています。具体的には、「対象職員として取扱って賃金改善を行った期間における基本給等の総額」を「ベースアップ評価料の総算定月数」で割った値を、1月当たりの基本給等総額に計上する、とされています。つまり、在籍が一部の期間にとどまる職員も、在籍期間の総額を月数で平準化して報告書に反映する、という考え方です。
4. 現場での具体的なアクション
まずは、年度途中の入退職者を「在籍月」で管理する台帳を整えましょう。誰がいつ入職し、いつ退職したかを月単位で押さえておけば、対象に含める期間が一目でわかります。在籍月が確定すれば、報告書に計上する基本給等総額の集計もスムーズになります。
次に、対象職員数の変動を定期的にチェックする運用をつくってください。入退職が重なって変動が1割を超えそうな局面では、区分を再計算します。再計算で区分が変わる場合は、算出した月のうちに届出を行い、翌月から新しい区分で算定する必要があります。期限を逃さないよう、変動の確認を月次の作業に組み込んでおくと安心です。
最後に、根拠を院内で共有しておきましょう。疑義解釈資料(その3)問4を印刷し、報告書のファイルに綴じておくと、年度途中の入退職が出るたびに判断に迷わずに済みます。来年度以降の担当者への引継ぎにも役立ちます。
まとめ
年度途中で雇用または退職した対象職員は、入職した月以降、退職した月までは対象職員として扱えます。対象職員数に1割以上の変動があり、再計算した区分が変わる場合は、その月のうちに届出を行い、翌月から新区分で算定します。報告書には、在籍期間の基本給等総額を総算定月数で割った値を計上します。根拠は疑義解釈資料(その3)問4です。まずは、年度途中の入退職者を在籍月で管理する台帳を整えることから始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いません複数施設の本部事務、おつかれさまです。通算規定は便利ですが、どこまでまとめてよいのか線引きが見えにくく、整理に苦労されるのは当然です。結論から申し上げると、2点とも、ご質問者様の整理で合っています。届出を行わない施設や基準に満たない施設は、報告書や区分算出の対象から外します。一方で、注5などの継続的な賃上げの取組は、施設ごとに満たす必要があり、通算できません。この回答では、通算できる範囲と、通算できない範囲を切り分けて整理します。
ポイントは3つです。第一に、届出を行わない施設・基準に満たない施設は、報告書や区分算出の対象に含めません。第二に、注5などの継続的な賃上げの取組は、施設ごとに基準を満たす必要があります。第三に、つまり「区分計算は通算、継続的な賃上げは施設ごと」という二段構えで考えます。以下、順に解説します。
1. 届出をしない施設・基準に満たない施設は対象に含めない
通算で計算した結果、基準に満たない施設や届出を行わない施設は、報告書や区分算出の対象から外します。疑義解釈資料(その5)問2は、この点を示しています。同問は、対象職員数や社会保険診療等収入金額の割合が施設基準に満たない医療機関、およびベースアップ評価料の届出を行わない医療機関について、「賃金改善実績報告書」「賃金改善中間報告書」における実績や、届出区分の算出時の対象に含まれないか、という問いに「そのとおり」と回答しています。つまり、通算の対象になるのは、あくまで施設基準を満たして届出を行う施設に限られる、ということです。
2. 注5などの継続的な賃上げの取組は施設ごとに満たす
区分計算が通算できる一方で、継続的な賃上げの取組に係る施設基準は、施設ごとに満たす必要があります。疑義解釈資料(その5)問3は、この点を明確にしています。同問は、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の注5などの継続的な賃上げの取組に係る施設基準について、「法人内で通算して算出することはできず、届出を行う保険医療機関等毎に、施設基準を満たす必要がある」と回答しています。つまり、注5などについては法人全体でまとめて判定することができず、各施設が単独で水準を満たさなければなりません。
区分計算と継続的な賃上げの取組では、通算の可否が分かれる点に注意が必要です。「月額賃金総額」や「対象職員数」の区分計算は法人内で通算できますが、注5などの継続的な賃上げの取組は施設ごとの判定です。同じベースアップ評価料の話でも、扱いが二段構えになっている、とご理解ください。ここを取り違えると、注5の届出可否を法人全体で誤判定してしまうおそれがあります。
3. 「区分計算は通算、継続的な賃上げは施設ごと」で考える
2つの問を合わせると、通算の考え方は「区分計算は通算、継続的な賃上げは施設ごと」と整理できます。区分計算では、同一給与体系の複数施設をまとめられますが、まとめられるのは届出を行う施設に限られます。継続的な賃上げの取組では、各施設が単独で基準を満たす必要があり、法人全体での通算はできません。この二段構えを押さえておくと、どの数字を通算し、どの基準を施設ごとに見るのかが、迷わず判断できます。
4. 現場での具体的なアクション
まずは、通算の対象に含める施設と、含めない施設を仕分けしましょう。届出を行う施設だけを通算の対象とし、届出をしない施設や基準に満たない施設は、区分算出・報告書の両方から外します。施設ごとに「届出の有無」「基準充足の有無」を一覧化しておくと、仕分けの根拠が明確になります。
次に、注5などの継続的な賃上げの取組は、施設ごとに判定する前提で確認を進めてください。各施設が単独で水準を満たすかどうかを、施設ごとに試算します。法人全体で満たしていても、個別の施設で満たさなければ、その施設では注5の届出ができない点に注意が必要です。
最後に、根拠を本部内で共有しておきましょう。疑義解釈資料(その5)問2・問3を印刷し、届出の判断基準としてファイルに綴じておくと、各施設の担当者との認識合わせや、来年度以降の引継ぎがスムーズになります。
まとめ
法人内の複数医療機関について、区分計算は同一給与体系であれば通算できますが、通算できるのは届出を行う施設に限られます。届出をしない施設や基準に満たない施設は、報告書・区分算出の対象から外します。一方で、注5などの継続的な賃上げの取組は、施設ごとに基準を満たす必要があり、通算できません。根拠は疑義解釈資料(その5)問2・問3です。まずは、通算の対象に含める施設と含めない施設の仕分けから始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いません派遣というお立場で、自分は対象外なのかと気にされるお気持ち、よくわかります。同じ現場で働いていればなおさらですね。結論から申し上げると、「一切なれない」わけではありません。一定の要件を満たせば、派遣職員も対象とすることが可能です。ただし、これは病院側が要件を整えて初めて成り立つもので、すべての派遣職員が自動的に対象になるわけではありません。この回答では、対象にできる条件と、対象外となる職員との違いを整理します。
ポイントは3つです。第一に、一定の要件を満たせば、派遣職員も対象にできます。第二に、業務委託(請負)の職員は対象外です。第三に、対象とするには、賃金改善・区分計算・実績報告の3点を病院側が満たす必要があります。以下、順に解説します。
1. 要件を満たせば派遣職員も対象にできる
派遣職員は、病院に直接雇用されていなくても、一定の要件を満たせば対象とすることが可能です。疑義解釈資料(その2)問2は、この点を示しています。同問は、派遣職員(労働者派遣法第2条第2項に該当する職員)に限り、対象とすることを可能とする、と回答しています。つまり、直接雇用でないこと自体は、対象から外れる決定的な理由にはなりません。ご質問者様のように現場で継続して働く派遣スタッフも、病院が要件を整えれば対象になり得ます。
2. 業務委託(請負)の職員は対象外
同じ「直接雇用でない」働き方でも、業務委託の職員は対象になりません。問2は、対象にできるのはあくまで労働者派遣法上の派遣職員に限る、としたうえで、業務委託(請負業務を行う職員)については対象外とする、と明記しています。派遣と業務委託は、契約形態が法律上はっきり分かれています。ご自身が「派遣」なのか「請負」なのかで扱いが変わりますので、まずはご自身の契約形態を確認しておくと安心です。
3. 対象とするには病院側が3点を満たす必要がある
派遣職員を対象にするには、病院側が3つの取扱いを満たす必要があります。第一に、派遣元と相談・協力したうえで、病院の職員と同程度以上の賃金改善を行うことです。第二に、区分計算にあたって、派遣職員も対象職員数に含めて計算することです。第三に、賃金改善の実績を、実績報告書・中間報告書に派遣職員を含めて作成・提出することです。これら3点が、派遣職員を対象とする際の条件として、問2に並べて示されています。
あわせて、賃金や費用の扱いにも注意点があります。「月額賃金総額」を算出する際は、原則として派遣元から派遣職員の賃金情報の提供を受ける必要があります。派遣元に支払う費用を、そのまま月額賃金として記載することはできません。報告書の作成にあたっても、派遣元と相談し、実際の賃金改善額などの記載に必要な情報を派遣元から提供してもらう取扱いです。つまり、派遣職員を対象にするには、病院と派遣元の連携が前提になる、とご理解ください。
4. 現場での具体的なアクション
まずは、ご自身の契約形態が「派遣」か「請負(業務委託)」かを確認しましょう。対象になり得るのは派遣職員に限られ、業務委託は対象外です。派遣会社との契約書や就業条件明示書で、どちらに該当するかを確かめてみてください。
次に、派遣会社(派遣元)の担当者に、賃金改善の連携について相談してみるとよいでしょう。派遣職員を対象にするかどうかは病院側の判断ですが、対象とする場合は派遣元との連携が必要です。賃金改善や情報提供の話が派遣元に届いているかを、ご自身から確認しておくと、状況が見えやすくなります。
最後に、病院の医事課に、派遣職員を対象に含める方針かどうかをたずねてみてください。要件を満たして対象にするかは、最終的に病院側の取組次第です。根拠として疑義解釈資料(その2)問2を示しながら相談すると、話が具体的に進みやすくなります。
まとめ
派遣職員は、一定の要件を満たせば、ベースアップ評価料の対象とすることが可能です。一方で、業務委託(請負)の職員は対象外です。対象とするには、同程度以上の賃金改善・区分計算への算入・報告書への記載という3点を、病院側が派遣元と連携して満たす必要があります。根拠は疑義解釈資料(その2)問2です。まずは、ご自身の契約形態が派遣か請負かを確認することから始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いません施設基準の届出ご担当、お疲れさまです。改定で示された「3.2%・5.7%」という数字を前に、届かなければ算定できないのではと不安になるお気持ち、よくわかります。結論から申し上げると、ご質問者様の解釈で合っています。3.2%・5.7%のベースアップを達成できない場合であっても、ベースアップ評価料は算定できます。ただし、得られた収入の使い道には、守らなければならない条件があります。この回答では、算定の可否と、あわせて守るべき条件を整理します。
ポイントは3つです。第一に、3.2%・5.7%に届かなくても算定そのものは可能です。第二に、得られた収入は、全額を対象職員の賃上げに充てる必要があります。第三に、3.2%・5.7%はあくまで「支援の目安」であり、算定の合否ラインではありません。以下、順に解説します。
1. 目標に届かなくても算定は可能
3.2%・5.7%のベースアップを達成できない場合でも、ベースアップ評価料は算定できます。疑義解釈資料(その2)問7は、この点を明確にしています。同問は「ベースアップ評価料を算定しても3.2%及び5.7%のベースアップを達成できない場合であっても、ベースアップ評価料は算定できるのか」という問いに対し、「可能」と回答しています。つまり、目標の引上げ率に届くかどうかは、算定の前提条件ではない、ということです。
2. 得られた収入は全額を賃上げに充てる
算定が可能である一方で、得られた収入の使い道には明確な条件が付いています。同じ問7は「可能」としたうえで、ただし書きで条件を示しています。具体的には、当該評価料により得られる収入は、全て、対象職員の基本給または決まって毎月支払われる手当の引上げ、およびそれに伴う賞与・時間外手当・法定福利費(事業者負担分等を含む)等の増加分に用いること、とされています。算定できるかどうかではなく、得た収入を漏れなく賃上げに回せるかどうかが、本当に問われている点だとご理解ください。
この条件は、引上げ率の大小にかかわらず一律に適用されます。3.2%に届く病院も、届かない病院も、得た収入を全額賃上げに充てる義務は同じです。届かないこと自体は問題になりませんが、得た収入を賃上げ以外に使うことは認められません。ここを取り違えると、後の実績報告で説明がつかなくなりますので、注意が必要です。
3. 3.2%・5.7%は「支援の目安」であり合否ラインではない
3.2%・5.7%という数字は、達成を義務づける合否ラインではなく、国が示した支援の目安です。令和8年度・令和9年度にそれぞれ3.2%分(看護補助者・事務職員はそれぞれ5.7%分)のベースアップ実現を支援するために、評価料という形で原資を手当てした、という位置づけです。あくまで支援の規模感を示した数字であって、各医療機関にその達成を強制するものではありません。この整理ができると、試算で目標に届かなくても、過度に身構える必要がないことが見えてきます。
4. 現場での具体的なアクション
まずは、算定の可否ではなく「得た収入を全額賃上げに回せる設計」になっているかを確認しましょう。ご懸念の3.2%・5.7%は、達成できなくても算定の妨げにはなりません。優先すべきは、ベースアップ評価料による収入が、基本給・手当・賞与・法定福利費の引上げに過不足なく充てられる仕組みを整えることです。
次に、賃上げの配分計画を、対象職員ごとに見える形で残しておいてください。実績報告の段階で、得た収入と賃上げ額が対応していることを示せるよう、配分の根拠を記録しておくと安心です。試算が目標率に届かない場合でも、得た収入を全額賃上げに充てた記録があれば、施設基準上の問題は生じません。
最後に、根拠を院内で共有しておきましょう。疑義解釈資料(その2)問7を印刷し、届出ファイルに綴じておくと、経営層への説明や、来年度以降の担当者の引継ぎがスムーズになります。
まとめ
3.2%・5.7%のベースアップに届かなくても、ベースアップ評価料は算定できます。ただし、得られた収入は全額を対象職員の賃上げに充てる必要があります。3.2%・5.7%は支援の目安であり、達成を義務づける合否ラインではありません。根拠は疑義解釈資料(その2)問7です。まずは、得た収入を漏れなく賃上げに回せる設計になっているかを確認することから始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いませんご質問の核心は、「包括の対象者にも、基本療養費のまま算定できるのか」という点ですね。結論からお伝えすると、対象者に基本療養費を算定できるかどうかは「1日の訪問回数」で決まります。
令和8年度改定で包括型訪問看護療養費が新設され、届出を出した建物の対象者については、訪問回数によって算定する区分が変わるようになりました。本回答では、対象者に基本療養費を算定できる場合と、できない場合を切り分けてお伝えします。
対象者への算定は、1日の訪問回数で2つに分かれます。1日1回の訪問なら、対象者にも訪問看護基本療養費(Ⅱ)を算定します。1日2回以上の訪問なら、包括型に限られ、基本療養費は算定できません。なお、すべての対象者で基本療養費に戻したい場合は、届出そのものの取り下げが必要になります。
包括型訪問看護療養費の対象者も、1日1回の訪問なら基本療養費(Ⅱ)
1日1回の訪問なら、対象者であっても訪問看護基本療養費(Ⅱ)を算定します。ここが、最初の答えです。
その理由は、包括型の算定要件にあります。包括型は、日中と夜間帯(午後6時から午前8時)に、少なくともそれぞれ1回ずつの訪問が必要とされています。つまり、包括型はそもそも1日2回以上の訪問がなければ算定できません。1日1回だけの訪問は包括型の要件を満たさず、従来どおり訪問看護基本療養費(Ⅱ)での算定になります。実際、疑義解釈(その3・問1)でも、日中に40分の訪問を1回行い訪問看護基本療養費(Ⅱ)等を算定する、という前提が示されています。
1日2回以上の訪問は包括型に限られ、基本療養費は算定できない
1日2回以上の訪問なら、対象者には包括型に限られ、基本療養費は算定できません。ここが、届出を出したことで変わる部分です。
この扱いは、算定要件で明確に定められています。届出を行った建物に居住する対象者に、1日2回以上の指定訪問看護を行う場合は、包括型訪問看護療養費以外の訪問看護基本療養費等は算定できません。ここでいう対象者とは、別表第七の疾病等の者、別表第八に掲げる者、または特別訪問看護指示書による指定訪問看護を受けている者です。
しかも、この切り替えは計画的な訪問に限りません。疑義解釈(その3・問1)でも、予定外の緊急訪問で1日2回になった場合は、計画による訪問でなくても包括型を算定する、と示されています。届出が活きている間は、対象者への2回以上の訪問は自動的に包括型へ切り替わるとお考えください。
すべての対象者で基本療養費に戻すなら、届出の取り下げを検討する
すべての対象者で基本療養費に戻したいなら、届出そのものの取り下げを検討してください。届出は義務ではなく任意ですから、取り下げという選択肢が残されています。
取り下げの手続きは、地方厚生局への相談から始めます。ただし、取り下げが完了するまでは、届出は有効なままです。その間に対象者へ1日2回以上訪問したときは、包括型での算定が必要になる点にご注意ください。あわせて、届出を残す場合は、24時間の対応体制、夜間帯の看護職員配置、記録の電子化、毎年の調査への参加、地域の医療機関等との連携実績といった施設基準を満たし続ける必要があります。
結論として、対象者に基本療養費を算定できるかは、1日の訪問回数で決まります。1日1回なら訪問看護基本療養費(Ⅱ)を算定し、1日2回以上なら包括型に限られます。すべての対象者で基本療養費に戻したい場合は、地方厚生局に相談して届出を取り下げてください。まずは、対象者のうち1日2回以上訪問している方がどれだけいるかを確認しましょう。その人数が見えれば、包括型を活かすか、届出を取り下げるかの判断が、ぐっとつけやすくなりますよ。
♥ 0いいねをした人: いません回復期での理学療法、お疲れさまです。出向という慣れない立場で、自分の処遇がどちらの病院に紐づくのか見えないのは、不安になって当然です。結論から申し上げると、ご質問者様の解釈で合っています。在籍型出向の場合、あなたは実際に勤務している「出向先」の病院の対象職員として扱われます。給与の振込元が出向元であっても、対象職員としてカウントするのは出向先です。この回答では、なぜ出向先で扱うのか、そして賃上げがどう確保されるのかを整理します。
ポイントは3つです。第一に、在籍型出向の職員は出向先の対象職員として扱われます。第二に、ベースアップ評価料による収入は、出向先から出向元へ精算されます。第三に、賃金改善の実績は、出向元と出向先が連携して報告します。以下、順に解説します。
1. 在籍型出向は「出向先」の対象職員として扱う
在籍型出向の職員は、給与の支払い元ではなく、実際に勤務している出向先で対象職員に数えます。ご質問者様のように、出向元との労働契約を維持したまま出向先とも契約を結び、出向先で継続的に勤務し、給与は出向元から受け取る形が、典型的な在籍型出向です。このケースでは、出向先の病院が、あなたを対象職員に含めて区分計算と賃金改善実績報告書を作成します。給与の振込が出向元から行われていても、この扱いは変わりません。
2. 収入は出向先から出向元へ精算される
出向先で扱うとはいえ、賃上げの原資が宙に浮くわけではありません。疑義解釈資料(その5)問9は、この点を明確にしています。同問は「出向先の保険医療機関の対象職員として、区分計算及び賃金改善実績報告書等の作成を行う」と回答しています。そのうえで、出向先で得たベースアップ評価料による収入は、出向先から出向元へ支払うなど、両者の合議で適切に精算する、とされています。つまり、出向先が得た原資が、精算を通じて出向元のあなたの賃上げに回る仕組みです。
報告書の作成も、出向元と出向先の連携で行われます。出向先が報告書を作成するにあたっては、出向元と相談したうえで、実際の賃金改善額などの記載に必要な情報を、出向元から提供してもらう取扱いです。あなたの賃上げ実績は、出向元の給与データをもとに出向先が記載するため、どちらか一方だけで完結するものではない、とご理解ください。
3. 現場での具体的なアクション
まずは、出向元・出向先の両事務担当が「あなたを出向先で計上する」認識を共有できているかを確認しましょう。在籍型出向は事務処理が両者にまたがるため、認識のずれが最も起こりやすい部分です。出向先の医事課に、自分が対象職員に含まれているかを一度たずねてみてください。
次に、賃上げの原資が出向元へ精算される取り決めがあるかを確認しておくと安心です。原資の精算と給与への反映は、出向元・出向先の合議に委ねられています。ご自身の賃上げが給与にどう反映されるのかは、出向元の人事・給与担当に確認するのが近道です。
なお、医師が医療機関間で短期間の研修を行うようなケースは、扱いが異なります。短期研修中の医師は、例外的に出向元の対象職員として扱って差し支えないとされています。あなたのケース(継続的な在籍型出向)とは別の取扱いですので、混同しないよう、念のため申し添えます。
まとめ
在籍型出向の職員は、給与の振込元ではなく、実際に勤務している出向先の対象職員として扱われます。出向先が区分計算と報告書を作成し、得た収入は出向先から出向元へ精算されます。報告書は、出向元から賃金改善額の情報提供を受けて作成されます。根拠は疑義解釈資料(その5)問9です。まずは出向先の医事課に、ご自身が対象職員に含まれているかを確認することから始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いません医事課でのご担当、お疲れさまです。届出と報告書の作業を同時に抱える時期は、本当に神経をすり減らしますね。結論から申し上げると、ご担当者様の解釈で合っています。令和8年6月から算定を開始する場合、8月提出の「賃金改善中間報告書」に記載するのは「6月分・7月分」の賃上げ実績です。たとえ4月から賃上げを先行していても、報告するのは6月・7月分となります。この回答では、なぜ4月・5月分が報告に含まれないのかという疑問を、根拠とあわせて整理します。
ポイントは3つです。第一に、中間報告書の対象期間は「算定開始月から」起算します。第二に、4月から賃上げしていても、報告するのは6月・7月分です。第三に、この取扱いは疑義解釈資料(その5)問6に明記されています。以下、順に解説します。
1. 中間報告書の対象は「算定開始月から」の2か月分
中間報告書の実績期間は、賃上げを始めた月ではなく、算定を開始した月を起点に数えます。令和8年6月から算定を開始する場合、起点は6月です。8月提出の中間報告書には、この6月分と、続く7月分の、あわせて2か月分の賃上げ実績を記載します。賃上げをいつから先行したかにかかわらず、起点は算定開始月で固定される、とご理解ください。
2. 4月から賃上げしていても、報告は6月・7月分
賃上げを4月分から先行していても、中間報告書に書くのは4月・5月分ではありません。疑義解釈資料(その5)問6は、この点を明確に示しています。同問では「同年4月から賃上げを行う場合においても、同年4月及び5月分の賃上げ実績ではなく、同年6月及び7月分の賃上げ実績を報告する必要がある」と回答しています。つまり、報告の単位はあくまで算定期間に揃える、という考え方です。
4月・5月分の賃上げが無駄になるわけではない点も、あわせて押さえておきましょう。先行した4月・5月分の賃金改善は、年度末に提出する「賃金改善実績報告書」のなかで通年の実績として反映されます。中間報告書で見えないだけで、実績として消えるわけではありません。この整理ができると、上司の方への説明もしやすくなるはずです。
3. 現場での具体的なアクション
まずは、当院の「算定開始月」を6月で確定させてください。届出スケジュール上、6月算定開始で間違いがないかを、施設基準の届出控えで確認します。算定開始月が固まれば、中間報告書の対象期間は自動的に6月・7月分と決まります。
次に、給与システム側で6月・7月分の賃上げ実績を切り出す準備を進めてください。先行した4月・5月分とは別枠で、6月・7月分の賃金改善額を集計できるようにしておくと、8月の作業が一気に楽になります。あわせて、4月・5月分は年度末の実績報告書で計上する旨を、引継ぎメモに残しておくと安心です。
最後に、根拠の出どころを上司の方と共有しておきましょう。疑義解釈資料(その5)問6を印刷し、報告書のファイルに綴じておくと、来年度以降の担当者も迷わずに済みます。
まとめ
令和8年6月から算定を開始する場合、8月提出の中間報告書には6月分・7月分の賃上げ実績を記載します。4月から賃上げを先行していても、報告するのは6月・7月分です。先行した4月・5月分は、年度末の実績報告書で反映されますので、ご安心ください。根拠は疑義解釈資料(その5)問6です。まずは算定開始月を6月で確定させ、給与システムで6月・7月分を切り出す準備から始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いませんご質問ありがとうございます。移行期の請求は患者さんの負担額に直結する大切な論点ですので、順を追って整理します。令和8年6月1日から、陽子線治療・重粒子線治療の一部が先進医療から保険診療へ移行します。この移行をまたぐ患者さんの請求方法を誤ると、患者さんの自己負担額が変わってしまいます。本回答では、移行期における請求の取り扱いを、患者さんの状態別に整理します。
結論は、「治療を開始した時点」で取り扱いが決まる、という点に尽きます。第一に、令和8年5月31日以前に先進医療として開始した治療は、6月1日以降も先進医療として請求します。第二に、6月以降の分だけを保険診療へ切り替えて請求することはできません。第三に、同意は取得済みでも一連の治療をまだ開始していない患者さんは、改めて保険診療の同意を取得すれば、保険診療として開始できます。
1. 5月31日以前に治療を開始した患者さんは、最後まで先進医療として請求します
5月31日以前に先進医療として治療を開始した患者さんは、6月1日以降の治療も先進医療の枠組みで実施し、先進医療として費用を請求してください。つまり、ご質問の「6月以降の分は保険でレセプト請求してよいか」という点については、不可です。途中から保険診療へ切り替えることはできません。一連の治療は、開始時の枠組みのまま完結させる取り扱いになります。
この取り扱いの根拠は、疑義解釈資料(その2)の問145にあります。同問では「令和8年5月31日以前に先進医療による治療を開始した患者については、同年6月1日以降の治療についても先進医療の枠組みにおいて実施し、費用の請求を行うこと」と明記されています。5月に照射を開始した患者さんは、6月以降の照射分を含めて、引き続き先進医療として請求する、という整理です。
2. 同意のみで未開始の患者さんは、保険診療へ切り替えられます
5月31日時点で先進医療の同意を取得済みでも、一連の治療をまだ開始していない患者さんは、保険診療として6月から開始できます。先ほどの「開始済みの患者さんは切り替え不可」とは対照的に、こちらは切り替えが認められます。両者を分けるのは、同意の有無ではなく、治療をすでに開始しているかどうかです。
この場合の手順も、同じく問145に示されています。同問では「先進医療による治療に係る同意を取得しているが、一連の治療を開始していない患者が、同年6月1日以降に保険診療による治療を開始することを希望する場合には、改めて保険診療による治療に係る同意を取得することで、保険診療に切り替えて治療を開始して差し支えない」とされています。注意点は、先進医療の同意書がそのまま使えるわけではない、という点です。保険診療として、改めて同意を取得し直す必要があります。
3. 現場で進めていただきたいこと
移行期の請求を正しく処理するために、まずは対象患者さんの「治療開始日」を一覧で確認しましょう。5月31日以前に照射を開始しているか、それとも同意のみで未開始かで、取り扱いが二つに分かれます。この一覧があれば、どの患者さんを先進医療のまま請求し、どの患者さんを保険診療に切り替えられるかが一目で判断できます。
次に、放射線治療部門と連携し、同意取得の状況を突き合わせてください。未開始かつ患者さんが保険診療を希望する場合は、保険診療としての同意書の取り直しが必要になります。同意書の様式と説明の段取りを、6月までに準備しておくと安心です。
最後に、患者さんへの費用説明の準備を進めてください。先進医療のまま継続する患者さんと、保険診療へ切り替わる患者さんとでは、自己負担額が大きく異なります。トラブルを避けるため、それぞれの患者さんに対し、どの枠組みで請求するか、自己負担がどう変わるかを、文書で丁寧にご案内されることをお勧めします。
以上をまとめます。5月31日以前に開始した治療は、6月以降も先進医療として最後まで請求します。6月分のみの保険切り替えはできません。一方、同意済みでも未開始の患者さんは、保険診療の同意を取り直せば保険診療として開始できます。判断の分かれ目は「治療を開始しているかどうか」です。まずは対象患者さんの治療開始日の確認から始めてください。
♥ 0いいねをした人: いません届出に向けて責任者要件を整理しておられる、まさに改定対応の要となるご質問ですね。特別食加算(嚥下調整食)の責任者要件は、対象となる研修が複数あり、しかも経過措置も絡むため、どこから手をつけるか迷いやすい部分です。今回は、責任者の管理栄養士が受けるべき研修、調理師向け研修を既に修了した方の扱い、調理師の研修の要否という3点を、順に整理します。
結論から申し上げます。責任者の管理栄養士は、専門管理栄養士の研修か、要件を満たす10時間以上の研修のいずれかを修了すれば要件を満たします。過去に調理師向け研修を修了した管理栄養士は、令和7年度までの修了であれば当面の間は責任者として認められますが、速やかに責任者要件の研修を修了することが望ましいとされています。そして、調理師への研修は「修了しておくことが望ましい」もので、必須ではありません。
1.責任者の管理栄養士が受ける研修は、大きく2系統あります。
1系統目は、専門資格に係る研修です。疑義解釈資料(その2)の問143では、責任者要件の「適切な研修」として、「日本摂食嚥下リハビリテーション学会及び日本栄養士会が共同して認定している『摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士』に係る研修」が該当すると回答されています。
2系統目は、要件を満たす10時間以上の研修です。同じ問143では、専門管理栄養士の研修のほかに、「10時間以上の研修」であって3つの要件(嚥下調整食に一定の知識と経験を有する管理栄養士を対象とすること、摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士が監修や講師として関与すること、テクスチャーの実食や調理実習等を含む実習を5時間以上行うこと)を全て満たすものも該当するとされています。この10時間以上の研修の具体例は、疑義解釈資料(その5)の問22で示されており、日本栄養士会が主催する「特別食加算(嚥下調整食)に係る研修会」と、日本健康・栄養システム学会が主催する「特別食加算(嚥下調整食)対応:適切な嚥下調整食提供のための研修」が該当します。いずれか一方を修了すれば、責任者要件を満たせます。
2.調理師向け研修を既に修了した管理栄養士は、令和7年度までの修了なら当面の間は認められます。
この点は、疑義解釈資料(その7)の問25で明確にされています。問25では、調理師等を対象とした研修を既に修了している管理栄養士が責任者に該当するかという問いに対し、「令和7年度までに修了している場合、当面の間は該当する」と回答されています。ご相談者様の「改めて研修を受けなくても責任者になれる」という解釈は、令和7年度までの修了であれば正しいご理解です。
ただし、この扱いはあくまで経過的なものです。問25では続けて「令和8年度以降、速やかに当該加算の責任者要件を満たす管理栄養士を対象とした研修を修了することが望ましい」とされています。当面は届出可能ですが、いずれは1で述べた専門管理栄養士の研修か10時間以上の研修を受けていただくことになりますので、計画的に受講予定を組んでおきましょう。
3.調理師への研修は、必須ではなく「望ましい」ものです。
調理師の研修については、疑義解釈資料(その2)の問144で「嚥下調整食に関わる調理師等についても同様の研修を修了しておくことが望ましい」とされており、必須要件ではありません。その具体例は疑義解釈資料(その7)の問24で示されており、調理技術技能センター主催の「調理師のための嚥下調整食研修」と、日本病院調理師協会主催の「嚥下調整食研修」が該当します。届出に必須ではないため、まずは責任者である管理栄養士の研修を優先し、調理師の研修は体制充実の一環として後追いで進めて差し支えありません。
4.現場では、次の順番で準備を進めてください。
まず、責任者となる管理栄養士の研修受講歴を確認しましょう。すでに専門管理栄養士の研修や10時間以上の研修を修了していれば、その時点で責任者要件は満たせます。
次に、調理師向け研修のみを修了している管理栄養士がいる場合は、その修了が令和7年度までかを確認しましょう。令和7年度までであれば当面は届出可能ですが、責任者要件の研修受講を早めに計画してください。
最後に、どの研修も未修了であれば、日本栄養士会や日本健康・栄養システム学会の研修日程を早急に確認し、受講予約を進めましょう。研修は開催時期が限られるため、届出予定日から逆算してスケジュールを押さえておくと安心です。
まとめます。責任者の管理栄養士は、専門管理栄養士の研修か要件を満たす10時間以上の研修のいずれかを修了すれば要件を満たします。調理師向け研修を令和7年度までに修了した管理栄養士は当面の間は責任者として認められますが、速やかに責任者要件の研修を修了することが望ましいとされています。調理師への研修は望ましいもので必須ではありません。まずは責任者の研修受講歴を確認し、足りない場合は早めに受講予約を進めましょう。届出に向けて、着実に一歩ずつ整えていきましょう。
♥ 0いいねをした人: いません回復期で日々栄養管理に向き合っておられる中での、とても実務的なご質問ですね。令和8年度改定で新設された特別食加算(嚥下調整食)は、対象患者の幅が広い一方で、算定の線引きが分かりにくく、返戻を心配する声が各地で上がっています。今回は、ご質問の2パターンについて、算定できる場合とできない場合の境界線をはっきりさせます。
結論から申し上げると、算定可否は「経口で提供する嚥下調整食だけで、常食と同等の必要栄養量が確保できているか」で決まります。この基準に照らすと、経管栄養を併用していても、嚥下調整食単独で必要栄養量を満たせていない場合は算定できません。同じく、嚥下訓練用のゼリー等を提供しているだけの場合も算定できません。そして、算定の前提として、対象患者は多職種で評価したうえで医師が嚥下調整食を必要と判断し、食事箋を発行した患者であることが必要です。
1.算定可否の判断基準は「必要栄養量が常食と同等に確保できているか」です。
この判断基準は、疑義解釈資料(その1)の問48に明記されています。問48では「嚥下訓練のためにゼリー等の嚥下訓練食品を提供した場合や、嚥下調整食と経管栄養を併用している場合も、特別食加算は算定できるか」という問いに対し、「患者に必要な栄養量が、1食の献立として常食で提供される場合と同等に確保できていない嚥下調整食は算定できない」と回答されています。
この回答を、ご質問の1人目(経管栄養併用)に当てはめてみましょう。経口の嚥下調整食だけでは必要栄養量に届かず、不足分を経管栄養で補っているのであれば、その嚥下調整食は「常食と同等の栄養量を確保できていない」状態です。したがって、この患者さんは算定できません。逆に、嚥下調整食だけで必要栄養量を満たしており、経管栄養はあくまで補助的という位置づけであれば、算定の余地が出てきます。
同じ基準を、2人目(嚥下訓練食品)にも当てはめます。ST の嚥下訓練で提供するゼリー等は、訓練を目的とした少量の食品であり、1食の献立として必要栄養量を確保するものではありません。したがって、この患者さんも算定できません。ご相談者様の「経口の嚥下調整食だけで必要栄養量が確保できているかで決まる」という解釈は、まさにこの問48の趣旨どおりで、正しいご理解です。
2.算定の前提として、対象患者の要件と品質管理の要件があります。
対象患者の要件は、疑義解釈資料(その1)の問46で示されています。問46では、対象となる「摂食機能又は嚥下機能が低下した患者」について、「内視鏡下嚥下機能評価や嚥下造影は必須ではないが、医師、看護師、言語聴覚士、管理栄養士等の多職種で評価を行う等により、適切な栄養量及び内容を有する嚥下調整食が必要であると医師が判断し、食事箋を発行した患者が対象である」と回答されています。VE や VF がなくても、多職種評価と医師の判断・食事箋発行が揃っていれば対象になる、という点が実務上のポイントです。
品質管理の要件は、疑義解釈資料(その1)の問47で示されています。問47では、硬さや付着性等のテクスチャーを計器で測定する必要はないとしたうえで、「嚥下調整食に係る責任者が品質管理を行うこと」と回答されています。計器測定は不要ですが、責任者による品質管理という運用は必須ですので、こちらも体制を整えておきましょう。
3.現場では、次の3点を確認・準備してください。
まず、対象患者ごとに栄養必要量と経口摂取量を確認しましょう。経口の嚥下調整食だけで必要栄養量を満たしているか、不足分を経管栄養で補っていないかを、栄養管理計画や食事箋上で明確にしておくと、算定根拠が残ります。
次に、医師の判断と食事箋発行の流れを確認しましょう。多職種評価を経て、医師が嚥下調整食を必要と判断し、食事箋を発行している記録が揃っているかを点検してください。
最後に、嚥下訓練食品のみの患者を算定対象から外す運用を、ST・医事課と共有しておきましょう。訓練食品の提供と、1食の献立としての嚥下調整食提供は別物である、という線引きを病棟全体で揃えておくと、返戻リスクを大きく減らせます。
まとめます。特別食加算(嚥下調整食)の算定可否は、経口の嚥下調整食だけで常食と同等の必要栄養量が確保できているかで決まります。経管栄養併用でも嚥下調整食単独で必要栄養量を満たせない場合は算定できず、嚥下訓練食品のみの提供も算定できません。算定の前提として、多職種評価に基づく医師の判断・食事箋発行と、責任者による品質管理を整えておきましょう。ご相談者様の解釈は正しいので、自信を持って運用を組み立てていただいて大丈夫です。
♥ 0いいねをした人: いません -
投稿者投稿