フォーラムへの返信
-
投稿者投稿
-
結論から申し上げます。本事例は、①を短手3、②をDPCとする「パターンB」が最も整合的です。②が「同一疾患で退院後7日以内の再入院」にあたり、短手3を算定できないためです。短手3を算定できない入院は、DPC算定病床ではDPC(診断群分類点数表)に落ちます。②の起算日は、再入院した6/5です。①と②は別建てとなり、②が①の「一連」に取り込まれることはありません。
根拠は、疑義解釈(その2・DPC編)の問2-15と問4-6です。問2-15は「短手3の要件を満たし5日以内に退院すれば短手3、それ以外はDPC」と整理しています。問4-6は「非包括の初回入院+同一傷病7日以内再入院」の取扱いを示しており、本事例にきわめて近い先例です。ただし、短手3そのものを起点とした再入院を正面から扱ったQ&Aではありません。算定を確定させる前に、審査支払機関への事前照会をおすすめします。以下、根拠を順にご説明します。
1.①は短手3で確定します
①は、短手3の要件をそのまま満たします。①は6/1に入院し、6/2に対象手術を行い、入院後3日目の6/3に退院しています。短手3は、対象手術を行った患者が入院後5日以内に退院する場合に算定する診療報酬です。①は5日以内退院に該当するため、短手3で算定します。①の退院時点では、②の再入院はまだ発生していません。後から②が起きても、いったん確定した①の短手3を遡って変える規定はありません。
2.②は短手3を算定できません
②は、短手3の除外規定に明確に該当します。②は、①の退院日6/3の2日後にあたる6/5に、同一疾患の白内障で再入院しています。短手3には、「同一疾病で退院後7日以内に再入院した場合は算定しない」という除外規定があります(A400の注2、および留意事項通知)。この規定は、短期滞在手術の不適切な分割入院を防ぐためのものです。②の再入院は退院からわずか2日後で、明確に7日以内にあたります。したがって②は、②自身が3日で退院していても、短手3を算定できません。
3.②はDPCで算定します(起算日は6/5)
短手3を算定できない②は、DPC算定病床ではDPCで算定します。問2-15は、「短手3の要件を満たし入院後5日以内に退院する場合は短手3、それ以外は診断群分類点数表」と整理しています。②は短手3の要件を満たさないため、この「それ以外」に該当します。DPC算定病床では、短手3に切り出されない入院をDPCで算定するのが原則です。よって②は、再入院日6/5を起算日とするDPCで算定します。
4.①と②は別建てで、「一連」にはなりません
①と②を「一連」の一入院にまとめる必要はありません。DPCで「7日以内の同一傷病再入院=一連」とされるのは、初回入院もDPC(診断群分類点数表)で算定している場合です(問9-4ほか)。本事例の①は、DPC包括ではなく短手3で算定しています。この「初回が非DPC包括」のケースは、問4-6が参考になります。問4-6は、初回入院(医科点数表)と同一傷病7日以内の再入院(DPC)について、「再入院はDPCで算定し、起算日は再入院日とする」と回答しています。初回が非包括であれば、再入院は別建てのDPCとなり、一連にはならない――この考え方を本事例に類推できます。
5.パターンA・C・Dが成立しない理由
残るパターンA・C・Dは、いずれも成立しません。理由を1つずつ整理します。
- パターンA(②=出来高)は不成立。DPC算定病床では、短手3を算定できない患者は出来高ではなくDPCに落ちます。問2-15が「それ以外は診断群分類点数表」と明記しており、出来高に戻す根拠がありません。
- パターンC(①②ともDPC)は不成立。①は退院時点でいったん短手3として確定しています。後の②を理由に、①を遡ってDPCへ戻す規定がありません。
- パターンD(それ以外=両方短手3など)は不成立。②は7日以内の同一疾病再入院にあたり、A400の注2により短手3を算定できません。両方短手3とすることはできません。
6.留意点(明示回答ではなく、近接先例からの解釈です)
本事例には、厚生労働省の「ぴたりと一致する」回答はありません。疑義解釈のその1からその5までを確認しましたが、短手3を起点とした7日以内再入院を正面から扱ったQ&Aは見当たりませんでした。問4-6は近接先例ですが、初回入院が「医科点数表」であって「短手3」そのものではない点が異なります。パターンBは、問2-15と問4-6を組み合わせて導いた最も整合的な解釈であり、公式の確定回答ではない点にご留意ください。
7.現場では、この順で進めてください
まずは、算定を確定させる前に、地方厚生局または審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金・国保連合会)へ事前照会してください。本事例は明示回答がなく、審査側の判断も分かれ得るためです。次に、②の様式1で「入院の契機となった傷病名」を確認し、②を起算日6/5のDPCとして登録してください。あわせて、②のレセプト摘要欄に、短手3を算定しない理由(同一疾病7日以内再入院・A400注2)と再入院の経緯を記載してください。後日の返戻や問い合わせにも、根拠を示して落ち着いて対応できます。
まとめ
本事例は、①を短手3、②をDPCとするパターンBが最も整合的です。②が同一疾病で7日以内に再入院した事例にあたり、A400の注2により短手3を算定できないためです。ただし厚生労働省の明示回答はありません。算定を確定させる前に、地方厚生局や審査支払機関への事前照会を必ず行ってください。難解な交錯事例を、告示の条文までさかのぼって確認しようとされる姿勢は、医事課として本当に頼もしい限りです。
♥ 0いいねをした人: いません医事課で病理請求を担当されている方からの、たいへん実務的なご質問ですね。算定可否の判断に迷うお気持ち、よくわかります。結論から申し上げます。特殊染色加算の対象となる「特殊染色」は、アザン染色・鉄染色・グロコット染色・チール・ネルゼン染色・グラム染色・パム染色・パス染色・ギムザ染色などです。ご懸念のグラム染色とギムザ染色も、いずれも対象に含まれます。
この回答の根拠は、疑義解釈資料(その2)の問102です。以下では、対象となる特殊染色の具体名、算定の根拠となる点数表の規定、そして明日からの実務で確認すべきポイントの順に、整理してお伝えします。
対象となる「特殊染色」は8種類が明示されています
対象となる特殊染色は、疑義解釈で8種類が具体名で示されています。具体的には、アザン染色、鉄染色、グロコット染色、チール・ネルゼン染色、グラム染色、パム染色、パス染色、ギムザ染色です。
この8種類には、ご質問にあったグラム染色とギムザ染色も含まれます。グラム染色は細菌の鑑別に、ギムザ染色は血液系細胞や微生物の観察に用いる染色です。いずれも臨床で広く使われますが、特殊染色加算の対象として明確に位置づけられています。安心して算定の対象としてお考えください。
この8種類の末尾には「等」が付いています。つまり、列挙された染色は代表例であり、対象がこの8種類に限定されるわけではありません。報告書に記載された染色が一覧にない場合は、自己判断で算定を見送るのではなく、病理検査室や病理医に「特殊染色加算の対象に該当するか」を確認するのが確実です。
算定の根拠はN000の「注」とN004の「注3」です
特殊染色加算の根拠は、2つの区分に置かれています。1つは病理組織標本作成(N000)の「注」、もう1つは細胞診(N004)の「注3」です。今回の疑義解釈・問102は、この2つの規定にいう「特殊染色」の中身を説明したものです。
この2つの規定は、対象とする検体が異なります。N000の「注」は組織標本に対する特殊染色を、N004の「注3」は細胞診に対する特殊染色を、それぞれ対象とします。算定時には、実施した検査がどちらの区分に当たるかを取り違えないことが大切です。
まずは染色名と区分の突き合わせから始めましょう
明日からの実務では、報告書の染色名を一覧と突き合わせる運用を整えてください。病理検査室から上がる報告書に記載された染色名を、先ほどの8種類(+等)と照合する流れを作っておくと、算定可否の判断が安定します。
あわせて、検体区分の確認も習慣づけてください。同じ特殊染色でも、組織標本ならN000、細胞診ならN004と算定先が変わります。報告書のどこを見れば検体区分がわかるかを、病理検査室と事前にすり合わせておくと迷いが減ります。
一覧にない染色が出てきたときは、病理検査室への確認ルートをあらかじめ決めておきましょう。「等」に含まれるかどうかの最終判断は、検査の内容を把握している病理医・病理検査室が適切です。確認の窓口と記録の残し方を決めておけば、返戻や査定のリスクを抑えられます。
最後に要点を繰り返します。特殊染色加算の対象は、アザン染色・鉄染色・グロコット染色・チール・ネルゼン染色・グラム染色・パム染色・パス染色・ギムザ染色などで、グラム染色もギムザ染色も対象に含まれます。根拠はN000の「注」とN004の「注3」、検体区分に応じて算定先を分けてください。まずは染色名と検体区分の突き合わせから始め、一覧にない染色は病理検査室に確認する運用を整えましょう。
♥ 0いいねをした人: いません放射線治療科の医事課担当さん、改定をまたぐ算定はいちばん神経を使うところですね。結論から申し上げます。5月に開始し6月以降も続く照射は、原則として「ロ その他の場合」で算定します。乳癌の全乳房照射は「M001」体外照射の「2」高エネルギー放射線治療の「ロ」、前立腺癌のIMRT前立腺照射は「M001」体外照射の「3」強度変調放射線治療(IMRT)の「ロ」です。お考えの理解で合っています。
この取扱いは「疑義解釈資料の送付について(その5)」問18が根拠です。要点は3つあります。1つ目は、5月開始・6月継続の照射は原則「ロ その他の場合」で算定する点です。2つ目は、5月末までに体外照射を算定していなければ、6月以降の治療終了時に新区分の「イ」で算定して差し支えない点です。3つ目は、迷ったらまず5月中の体外照射の算定実績を確認する点です。以下で順に解説します。
1. 原則は「ロ その他の場合」で算定する
5月に開始し6月以降も続く照射は、原則「ロ その他の場合」で算定します。改定で新設された「イ」の区分は、6月以降に治療を開始した患者さんを想定したものです。一方、貴院のように5月から一連の治療が始まっている患者さんは、6月をまたいでも従来の枠組みで扱います。そのため、6月以降の照射分は新区分の「イ」ではなく「ロ」で算定します。
具体的な算定区分は、治療の種類で分かれます。乳癌に対する全乳房照射は、「M001」体外照射の「2」高エネルギー放射線治療の「ロ その他の場合」で算定します。前立腺癌に対するIMRT前立腺照射は、「M001」体外照射の「3」強度変調放射線治療(IMRT)の「ロ その他の場合」で算定します。いずれも新設の「イ」ではなく「ロ」を選ぶ、と覚えてください。
2. 5月末までに体外照射を算定していなければ「イ」も可
5月末までに体外照射を算定していない場合は、例外として「イ」で算定できます。疑義解釈(その5)問18は、ただし書きでこの例外を認めています。つまり、5月中に「M001」体外照射を一度も算定していなければ、6月以降の治療終了時に新区分の「イ」を算定して差し支えありません。
この例外を使う場合も、算定区分は治療の種類で対応します。乳癌の全乳房照射なら「2」高エネルギー放射線治療の「イ 乳癌に対する全乳房照射」、前立腺癌のIMRTなら「3」強度変調放射線治療(IMRT)の「イ 前立腺癌に対する前立腺照射」です。ご自身のケースが原則と例外のどちらに当たるかは、5月中の算定実績で決まります。
3. 現場で進めていただきたいこと
まず、対象患者さんの5月中の体外照射の算定実績を確認してください。5月に「M001」体外照射を算定済みであれば、6月以降は迷わず「ロ その他の場合」を選びます。5月に一度も算定していなければ、「イ」での算定も選べます。レセプト作成前に、この1点を患者さんごとに切り分けておくと、返戻のリスクをぐっと下げられます。
次に、放射線治療科の医師や診療放射線技師と照射開始日を突き合わせておきましょう。「いつから一連の治療が始まったか」が算定区分を決めるからです。最後に、判断に迷う症例は地方厚生局へ確認した記録を残しておくと、後の説明がスムーズになります。
まとめます。5月開始・6月継続の照射は原則「ロ その他の場合」で算定し、乳癌の全乳房照射は「2」の「ロ」、IMRT前立腺照射は「3」の「ロ」です。5月末までに体外照射を算定していなければ「イ」も選べます。まずは5月の算定実績を1件ずつ確認するところから進めてください。
♥ 0いいねをした人: いません結論から申し上げます。公印のない修了証書のまま、届出に添付して構いません。取り直しは不要です。期限が迫るなかでの確認、おつかれさまです。安心して、お手元の証書で準備を進めてください。
判断の根拠は3点です。第一に、緩和ケア研修会の修了証書は「公印省略」で差し支えないと明示されています。第二に、その根拠は研修会の開催指針が定める証書の様式そのものにあります。第三に、これに伴い、公印を求めていた過去の疑義解釈は廃止されました。以下、順に解説します。
1. 公印のない修了証書で、そのまま添付してよい
公印のない修了証書は、届出の添付書類として正式に認められます。緩和ケア診療加算等(A226-2)の届出では、緩和ケアに関する研修を修了したことが確認できる文書の添付が求められます。この「修了証書」について、厚生労働省健康・生活衛生局長の公印は不要です。つまり、証書に公印が押されていないこと自体は、何の問題もありません。
2. 根拠は「開催指針の様式2」と「疑義解釈その2・問93」
この取扱いは、令和8年度改定の疑義解釈(その2)の問93で明確に示されています。問93は、まさに「修了証書に厚生労働省健康・生活衛生局長の印が必要か」という、貴院と同じ問いを扱っています。これに対する答えは、次のとおりです。
「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の開催指針」(令和7年11月27日一部改正)様式2のとおり、公印省略として構わない。
この答えのポイントは、公印省略が「開催指針の様式2」に組み込まれている点です。修了証書の様式は、指針の様式2として定められています。その様式が、もともと公印を省略する形式になっています。したがって、公印がない証書こそが正規の様式どおりの証書だ、とご理解ください。
3. 公印を求めていた過去の疑義解釈は廃止された
この問93によって、公印に関する古い取扱いは廃止されました。従来は「疑義解釈資料の送付について(その1)」(平成22年3月29日事務連絡)別添1の問54が、関連する取扱いを示していました。問93は、この問54を廃止すると明記しています。そのため、過去資料の記載を根拠に公印を求められる余地は、もうありません。古い情報に引きずられて取り直しに走らないよう、ご注意ください。
現場での具体的なアクション
まずは、お手元の修了証書が「開催指針の様式2」に沿ったものかを確認してください。様式2に沿った証書であれば、公印の有無を気にせず、そのまま届出書類に添付して差し支えありません。
次に、発行元への取り直し依頼は不要ですので、その作業はキャンセルして構いません。期限が迫る局面で、不要な発行手続きに時間を割く必要はありません。
最後に、緩和ケア診療加算等の届出書類一式の最終チェックを進めてください。修了証書の公印は論点から外れましたので、研修内容が要件を満たしているか、対象者の証書がそろっているか、といった本来の確認に注力していただくのがよいでしょう。
緩和ケア診療加算は、患者さんとご家族の苦痛にチームで向き合う、病院の姿勢そのものを支える診療報酬です。手続きの不安は早めに片づけて、現場が本来の役割に集中できるようにしていきましょう。期限内のご準備、応援しています。
※本回答は「疑義解釈資料の送付について(その2)」問93に基づくものです。最終的な届出可否は、念のため管轄の地方厚生(支)局の窓口でもご確認ください。
♥ 0いいねをした人: いません結論から申し上げます。連携型機能強化型在宅療養支援診療所・病院の月1回以上の定期カンファレンスは、オンライン会議を併用しても施設基準の要件を満たします。この点は、令和8年度改定にあわせて発出された「疑義解釈資料の送付について(その4)」問26で、厚生労働省が明確に「よい」と回答しています。日々バラバラに訪問へ出ている先生方を毎月一か所へ集める負担を考えれば、現場にとって大きな朗報といえます。
ただし、ひとつだけ例外があります。連携体制に新たな医療機関が加わる場合は、オンラインだけでは足りません。以下では、オンライン併用が認められる範囲、新規参加時に残る対面要件、そして御院でいますぐ進めていただきたい準備の順に整理します。御院の毎月の運用がそのまま使えるかどうか、判断の材料にしてください。
1. 月1回カンファレンスはオンライン併用が認められる
月1回以上のカンファレンスは、これまで原則対面とされてきました。連携型の機能強化型在宅療養支援診療所・病院の施設基準では、「当該在宅支援連携体制を構築する保険医療機関間において、診療を行う患者の診療情報の共有を図るため、月1回以上の定期的なカンファレンスを実施すること」と定められています。このカンファレンスは、長らく原則対面での開催が求められてきました。
この原則対面のカンファレンスについて、オンライン会議の併用が正式に認められました。疑義解釈(その4)問26は、「オンライン会議を併用してもよいのか」という問いに対し、端的に「よい」と回答しています。つまり、移動が難しい先生にオンラインで参加していただく運用は、施設基準上まったく問題ありません。御院がお考えの「全員集合をやめてオンライン併用にしたい」という方針は、この解釈に沿った正しい運用です。
2. 新たな医療機関が参加する場合だけ対面要件が残る
オンライン併用が認められる一方で、連携に新たな医療機関が参加する場合には例外が設けられています。疑義解釈(その4)問26は、新規参加のケースについて「ただし」と但し書きを置き、追加の対応を求めています。既存メンバーだけのカンファレンスと、新しい仲間を迎えるカンファレンスとで、ルールが分かれるとお考えください。
この新規参加時の対応は、次のいずれか一方を満たせば足ります。ひとつ目は、その新規参加の回のカンファレンスを対面で開催する方法です。ふたつ目は、連携に新たに参加する医療機関の常勤医師が、連携内の他の医療機関の常勤医師と対面で面談し、連携の在り方や各医療機関の診療方針等について共有しておく方法です。どちらか片方を実施すれば、その後の定例カンファレンスはオンライン併用に戻して差し支えありません。
3. このカンファレンスは往診医の「事前面談」も兼ねられる
この月1回カンファレンスには、もうひとつ実務上ありがたい役割があります。患家に事前に氏名を提供していない往診医が往診を行う際に必要な「事前の対面面談」を、このカンファレンスへの対面出席で満たせるのです。疑義解釈(その2)問89は、面談の実施方法として「当該保険医療機関が開催若しくは参画するカンファレンスへの対面での出席」を認め、ここに月1回の定期カンファレンスが含まれると明記しています。
この兼用の仕組みは、御院の運用設計に直接効いてきます。往診医に対面で参加してもらう回を意図的に設ければ、面談要件とカンファレンス要件を一度に満たせるからです。オンライン併用で負担を減らしつつ、面談が必要な医師には対面回に出てもらう。こうしたメリハリのある設計が、これからの連携体制では現実的です。
現場で進めていただきたいこと
まずは、御院の連携カンファレンスの運用ルールを文書で整理しましょう。「定例回はオンライン併用可」「新規参加の回は対面または事前の対面面談」という2本立てを、連携先と共有できる形にまとめてください。口頭の合意だけでは、参加医療機関ごとに認識がずれます。
次に、新たな医療機関を迎える予定があるなら、初回の対応方法を先に決めておきましょう。対面カンファレンスを設定するのか、それとも常勤医師同士の対面面談で済ませるのか。スケジュールの取りやすい方を、相手院と早めにすり合わせておくと安心です。
最後に、往診医の面談要件とカンファレンスを兼ねる回を、年間予定に組み込んでおくことをおすすめします。負担を減らすオンライン併用と、要件を満たす対面回。この両方を計画的に配置できれば、連携体制はぐっと回しやすくなります。御院の体制づくりが前に進むことを願っています。
【根拠資料】疑義解釈資料の送付について(その4)問26/疑義解釈資料の送付について(その2)問89。実際の届出・運用にあたっては、必ず原文および所管の厚生局へご確認ください。
♥ 0いいねをした人: いません当院でも在宅は夜間の急変対応がいちばん神経を使う部分です。予定していた先生が急に倒れる、というのは在宅をやっていれば必ず一度は経験する場面ですので、まずはご安心ください。
結論から申し上げます。今回のような「予定医師の急病による当日の代理往診」は、例外的な取扱いとして認められます。厚生労働省の疑義解釈(その4)問29が、まさにこのケースを正面から扱っています。ただし、認められるのは無条件ではありません。診療報酬上のペナルティを避けるには、これからご説明する4つの条件をすべて満たすことが必要です。今回の往診が条件に合っていたかを、ぜひ一緒に確認していきましょう。
1. 根拠となる通知:疑義解釈(その4)問29
この例外対応の根拠は、疑義解釈資料(その4)の問29にあります。問29は「往診を予定していた医師の急病等により、当日に急きょ、事前に氏名を提供していない医師へ往診を依頼することとなった場合、どう対応すればよいか」という問いに答えたものです。ご相談の状況とほぼ同じ場面を想定した内容です。
その答えは、「緊急事態が発生した場合の例外的な取扱い」として代理往診を認める、というものです。つまり、平時のルール(事前の氏名提供または常勤医との事前面談を済ませた医師に限る)を守れなかったとしても、急病という緊急事態であれば、一定の条件のもとで要件を満たすものとして扱われます。今回のケースは、この例外の対象になり得ます。
2. 例外が認められる4つの条件
この例外を使うには、問29が示す4つの条件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると例外として認められませんので、順に確認してください。
- 条件1:診療方針等の速やかな共有
代理の往診医は、対面または情報通信機器を用いて、当院の常勤医師または常勤の医療関係職種から、診療方針等の共有を速やかに受ける必要があります。事前面談ができていなくても、往診の前後に電話やオンラインで方針を引き継げばこの条件は満たせます。 - 条件2:往診医の経験要件
代理の往診医は、訪問診療または往診の経験を10回以上有し、かつ発熱等の急性疾患や在宅患者の状態変化等への対応経験が十分にある医師でなければなりません。誰でもよいわけではない、という点にご注意ください。 - 条件3:回数の上限
この取扱いは、6か月間に10日を上限とします。あくまで緊急時の例外であり、恒常的に使う運用は認められません。 - 条件4:診療録への記載
往診を行った際は、事前の氏名提供または事前面談をしていなかった医師が往診を行った「やむを得ない理由」を、診療録に記載する必要があります。
今回お願いした非常勤の先生が、訪問診療・往診の経験10回以上と急変対応の経験という条件2を満たしていれば、対応そのものは適切だったと考えられます。あとは、当日の方針共有(条件1)と診療録への理由記載(条件4)が済んでいるかを確認すれば、要件違反にはなりません。
3. 現場で進めていただきたい準備
緊急時に慌てないために、平時のうちに次の3点を整えておくことをおすすめします。今回の経験を、仕組みづくりのきっかけにしてしまいましょう。
まずは、今回の代理往診の診療録記載を確認してください。「予定医の急病により、当日やむを得ず代理往診を依頼した」という理由が書かれていれば大丈夫です。書き漏れていれば、今からでも経緯を補記しておきましょう。
次に、緊急時に依頼できる代理往診医のリストを作成してください。経験10回以上・急変対応経験ありという条件2を満たす先生をあらかじめ把握しておけば、当日の判断が一気に楽になります。あわせて、当院の常勤医からオンラインで方針共有を受ける連絡フローも決めておくと、条件1を確実に押さえられます。
最後に、6か月で10日という上限のカウント管理を始めてください。例外対応を使った日付を記録する簡単な台帳があれば十分です。上限を超えそうになる前に気づける仕組みにしておきましょう。
緊急時に先生がきちんと患者さんのもとへ駆けつけてくださったこと自体が、在宅医療として何より大切なことです。その対応が制度上もきちんと守られるよう、記録と仕組みを整えておきましょう。
♥ 0いいねをした人: いません御院のお悩みは、改定前の精神科地域包括ケア病棟入院料を届け出ていた病棟の今後の方向性に関するものですね。令和8年度改定で病棟区分の見直しが入り、現場では同様の判断に迷う病院が少なくありません。精神科急性期治療病棟入院料1と2の混在禁止という原則と、改定に伴う経過措置の両方を踏まえて、御院の対応方針を整理いたします。
結論として、御院のケースでは令和8年9月30日までの間に限り、改定前の精神科地域包括ケア病棟入院料を届け出ていた病棟について、精神科急性期治療病棟入院料2の届出が可能です。原則として入院料1と2は同一保険医療機関内で混在できません。ただし、改定前の精神科地域包括ケア病棟入院料を届け出ていた病棟は、経過措置として例外的な併存が認められます。この経過措置は令和8年10月1日以降に終了するため、期限を見据えた早期の方針決定が必要です。
原則:入院料1と2は同一医療機関内で混在できない
施設基準の原則として、精神科急性期治療病棟入院料1と2は同一保険医療機関内で混在できません。これは「A311-2」精神科急性期治療病棟入院料の施設基準に明記されており、病棟ごとに異なる入院料区分を持つことを禁止する強いルールです。
この原則の背景には、入院料1と2の機能や患者像の違いを、病院単位で明確に位置付ける狙いがあります。そのため、通常であれば御院のように入院料1を届け出ている病院は、入院料2の病棟を新たに設けることができません。
例外:令和8年9月30日までの経過措置
ただし、令和8年度改定では、改定前の精神科地域包括ケア病棟入院料を届け出ていた病棟に限り、例外的な経過措置が設けられました。この経過措置の根拠は、疑義解釈資料(その2)の問82です。
疑義解釈資料(その2)問82では、御院と同様のケースが正面から扱われています。具体的には「精神科急性期治療病棟入院料1を届け出る病棟を有する保険医療機関において、令和8年3月31日において現に令和8年度診療報酬改定前の医科点数表における精神科地域包括ケア病棟入院料に係る届出を行っている病棟が、精神科急性期治療病棟入院料2を届け出ることは可能か」という問いに対し、答えは「令和8年9月30日までの間に限り可能」と明示されています。
この経過措置は、令和8年10月1日以降は適用されません。御院の入院料1の病棟と、改定前の精神科地域包括ケア病棟入院料を届け出ていた病棟は、この期間に限って併存できます。期限経過後は、原則どおり入院料1か2のいずれかに統一する必要があります。
現場での具体的なアクション
経過措置を活用するには、令和8年10月1日以降の運用方針を早急に固める必要があります。期限まで猶予が短いため、院内協議と地方厚生局への届出を計画的に進めましょう。
まずは、改定前に精神科地域包括ケア病棟入院料を届け出ていた病棟が、現時点で精神科急性期治療病棟入院料2の施設基準を満たしているかを確認してください。次に、令和8年10月1日以降、入院料1と2のどちらに統一するかの院内方針を、医局・看護部・精神保健福祉士と協議しましょう。最後に、入院料2への届出を行う場合は、令和8年9月30日までに地方厚生局への届出を完了させる準備を進めてください。
まとめ
御院では令和8年9月30日までの間に限り、改定前の精神科地域包括ケア病棟入院料を届け出ていた病棟について、精神科急性期治療病棟入院料2の届出が可能です。原則は入院料1と2の混在禁止ですが、経過措置として令和8年9月30日まで例外が認められています。期限を見据えた早めの方針決定と届出準備を進め、令和8年10月1日以降の病棟運営にスムーズに移行しましょう。
♥ 0いいねをした人: いません令和8年度診療報酬改定により、精神科救急急性期医療入院料(A311)の施設基準では、当該病棟に常勤の精神保健福祉士を2名以上配置することが求められています。現場では、配置された精神保健福祉士に外来業務や他病棟業務との兼務をさせたい一方で、施設基準違反となるリスクへの懸念が強まっています。本回答では、疑義解釈資料(その2)問81を根拠に、兼務の可否と認められる業務範囲を明確にお伝えします。
結論として、配置された精神保健福祉士は、当該病棟業務に従事した上で、限定的な範囲で他病棟・外来業務との兼務が可能です。兼務が認められる業務は、当該病棟に入棟予定の患者への支援、当該病棟から退棟・退院した患者への支援に限られます。これらの支援に該当しない一般的な他病棟業務や外来業務は、原則として認められません。
1. 兼務可能の前提条件は「当該病棟業務の優先」です
兼務を検討する際の大前提は、配置病棟の業務に従事することです。疑義解釈資料(その2)問81の回答では、「当該病棟における業務に従事した上で」と明示されており、配置病棟の業務遂行が兼務の絶対条件となっています。
「当該病棟業務」とは、入院患者への直接的な相談支援、多職種カンファレンスへの参加、退院支援計画の作成などを指します。これらの業務が手薄になる形での兼務は、施設基準違反と判断される可能性が高くなります。逆に言えば、配置病棟業務を確実に遂行できる体制があれば、残った時間で他業務に従事することは差し支えありません。
2. 兼務が認められる業務範囲は「入棟前後の患者支援」に限定されます
兼務できる業務は、当該病棟に紐づく患者支援に限定される点に注意が必要です。疑義解釈資料(その2)問81では、「当該病棟に入棟予定又は当該病棟から退棟若しくは退院した患者への支援に係るもの」と明確に定義されています。
具体的に認められる業務として、外来における入院前面談、入院予定患者の家族支援、退棟後の他病棟転棟患者へのフォロー、退院後の外来受診時の相談対応などが該当します。これらは、いずれも当該病棟の入院医療と連続性のある支援です。一方で、当該病棟と無関係な一般外来患者の相談対応、他病棟独自の患者ケア業務などは、兼務の対象外と整理してください。
3. 同様の取扱いは精神科救急・合併症入院料にも適用されます
兼務の考え方は、関連する入院料にも横展開できます。疑義解釈資料(その2)問81では、「A311-3 精神科救急・合併症入院料」の精神保健福祉士2名配置要件、「A311-2 精神科急性期治療病棟入院料」の常勤精神保健福祉士配置要件についても、同様の取扱いとされています。
3つの入院料はいずれも、配置病棟業務を優先することと、兼務範囲を入棟前後の患者支援に限定することが共通ルールです。複数の精神科病棟を持つ医療機関では、同じ運用ルールで体制を整備できるため、業務分担表の作成時に活用してください。
4. 現場で進めるべき具体的アクション
適時調査に備えるため、3つのアクションを優先して進めてください。1つ目は、精神保健福祉士の業務日報やタイムシートの整備です。配置病棟業務に従事した時間と、兼務業務に従事した時間を区別して記録できる様式に見直しましょう。
2つ目は、兼務業務の「対象患者」を明示する仕組みの構築です。外来や他病棟で対応した患者が、当該病棟の入棟予定者か、退棟・退院後の患者かを記録に残せるよう、診療録の記載ルールを整備してください。
3つ目は、業務分担表の見直しです。配置病棟業務が手薄にならないよう、コア業務とサブ業務の優先順位を明示した分担表を作成し、精神保健福祉士本人と病棟管理者の双方で共有しましょう。
まとめ
精神科救急急性期医療入院料を算定する病棟に配置された常勤の精神保健福祉士は、当該病棟業務を優先した上で、入棟予定患者や退棟・退院後患者への支援に限り、他病棟・外来業務との兼務が可能です。施設基準違反を避けるためには、業務日報による時間管理、対象患者の明示、業務分担表の整備の3点が鍵となります。まずは現状の業務実態を可視化することから始めましょう。
♥ 0いいねをした人: いません2026年度(令和8年度)診療報酬改定では、「I003-2」認知療法・認知行動療法において不眠症の取扱いが整理されました。現場では、うつ病や不安障害を合併した不眠症患者へのCBT併施が想定され、算定方法に迷う声が増えています。本稿では、疑義解釈資料(その2)問86・問87を根拠に、併施時の算定可否と実務対応を明確にします。
結論として、医学的に妥当と判断した場合に限り、不眠症CBTと併存症CBTの両者を、それぞれの上限回数を限度として算定できます。算定の前提は、主治医による医学的妥当性の判断です。管理の要点は、それぞれの上限回数を別々にカウントすることです。実施上の要点は、不眠症CBTでは関係学会のマニュアルを参考にすることです。
1. 両者算定の可否と根拠
両者の算定可否について、結論は「医学的に妥当と判断した場合に限り、それぞれの上限回数を限度として算定可能」です。この取扱いは、疑義解釈資料(その2)問87で明示されています。
疑義解釈(その2)問87では、「うつ病又は不安障害を合併した不眠症の患者に対して、不眠症に対する認知療法・認知行動療法と併存症に対する認知療法・認知行動療法の両者を実施した場合」の算定方法が問われています。回答は、「両者の実施が医学的に妥当であると判断した場合に限り、それぞれの上限回数を限度として算定できる」とされています。つまり、片方しか算定できないという制限はありません。
この回答の意味は、「医学的妥当性」が両者算定のゲートになるということです。単に病名が併存しているだけでは足りず、不眠症と併存症のそれぞれに対してCBTを実施することが治療上必要であると、主治医が判断した記録が求められます。
2. 「医学的に妥当」の判断ポイント
「医学的に妥当」の判断は、主治医が患者の病態と治療計画に基づいて行います。判断の根拠は診療録に残し、レセプト審査での説明に備えてください。
判断にあたって意識すべき視点は3つあります。1つ目は、不眠症と併存症のそれぞれに、独立した治療標的があるかという視点です。2つ目は、それぞれのCBTで用いる技法(例:不眠症であれば刺激制御法・睡眠制限法、うつ病であれば認知再構成・行動活性化)が、別個に必要かという視点です。3つ目は、両者を併施することで治療効果が見込まれ、患者の負担が過大にならないかという視点です。
これらの判断は、疑義解釈に具体例が示されているわけではありません。したがって、現場では主治医とCBT担当者が連携し、治療計画書や週次のカンファレンス記録に「両者併施の医学的必要性」を明示する運用が望ましいといえます。
3. 上限回数とマニュアルの確認
算定にあたっては、それぞれの上限回数を別々に管理し、不眠症CBTでは関係学会のマニュアルを参考にする必要があります。上限回数は、I003-2の留意事項通知に定められた回数を、不眠症CBT・併存症CBTそれぞれで個別にカウントします。
不眠症CBTの実施で参考にすべきマニュアルは、疑義解釈(その2)問86で明示されています。回答では、「『不眠症に対する認知行動療法マニュアル』(日本睡眠学会教育委員会編)」が指定されています。このマニュアルに沿った内容で実施することが、算定の前提となります。
一方、うつ病や不安障害に対するCBTは、従来から運用されている標準的なマニュアル(厚生労働省の治療者用マニュアル等)に基づき実施します。両者の実施記録は、症例ごとに分けて管理し、上限到達の有無をレセプト提出前に必ず確認してください。
4. 現場で進めるべきアクション
現場で進めるべきアクションは、判断ルールの整備、記録様式の標準化、回数管理表の運用の3点です。これらを準備することで、レセプト審査と内部監査の双方に対応できる体制が整います。
まずは、主治医とCBT担当者で「両者併施の医学的妥当性」を判断するチェックリストを作成しましょう。次に、診療録テンプレートに「不眠症CBT実施根拠」「併存症CBT実施根拠」の記載欄を追加し、毎回の実施内容を分けて記録してください。最後に、患者ごとに上限回数の残数を可視化する管理表を運用し、医事課・CBT担当者・主治医で共有することをお勧めします。
結論
不眠症CBTと併存症CBTは、医学的に妥当と判断した場合に限り、それぞれの上限回数を限度として両者算定が可能です。算定の前提は主治医の医学的妥当性の判断であり、管理の要点はそれぞれの上限回数を別々にカウントすることです。不眠症CBTでは日本睡眠学会編のマニュアルを参考にし、診療録に判断根拠を明示する運用を整えてください。準備が整えば、合併症をもつ患者さんに対しても、必要な治療を必要なだけ提供できる体制になります。
♥ 0いいねをした人: いません結論:「等」には相談支援事業所と地域活動支援センターが含まれます
令和8年度診療報酬改定で「精神科地域密着多機能体制加算(A255)」が新設されました。新設に伴い、当該加算の施設基準には「障害福祉サービス事業所等」という用語が登場します。しかし、「等」が指す施設範囲は通知本文だけでは判然としません。本記事では、厚生労働省疑義解釈資料の送付について(その2)の問76を根拠として、「等」に含まれる施設を明らかにします。
「障害福祉サービス事業所等」の「等」には、相談支援事業所と地域活動支援センターの2施設が含まれます。この回答は厚生労働省疑義解釈資料の送付について(その2)問76で明示されました。要件が及ぶ範囲は、保険医療機関の所在する市区町村内、または保険医療機関から半径10キロメートル以内に限定されます。届出を検討する医療機関は、関連事業所の棚卸しから準備を始めましょう。
「等」に含まれる2つの施設
「障害福祉サービス事業所等」の「等」には、相談支援事業所と地域活動支援センターの2種類が含まれます。これは厚生労働省疑義解釈資料の送付について(その2)問76で明示された解釈です。通知本文の「障害福祉サービス事業所」だけを字義通りに読むと、生活介護や就労継続支援などの事業所が想起されます。「等」が加わることで、相談支援事業所と地域活動支援センターも対象施設として認められました。
相談支援事業所は、障害のある方の地域生活を支える計画相談支援や障害児相談支援を行う事業所です。地域活動支援センターは、障害のある方に創作的活動や生産活動の機会を提供し、社会との交流促進を図る施設です。これら2施設は、いずれも障害者総合支援法に基づき設置されています。両施設は、精神疾患を抱える方の地域生活を支える基盤として、精神科医療機関との連携が重要視されています。
対象施設の所在地に関する2つの要件
対象施設は、医療機関の所在地から限られた範囲内にあることが求められます。範囲は、保険医療機関の所在する市区町村内、または保険医療機関から半径10キロメートル以内のいずれかです。要件は、開設者要件と代表者要件の2つに分かれています。両要件のいずれかを満たせば足ります。
開設者要件は、保険医療機関の開設者が、上記範囲内に障害福祉サービス事業所等を開設していることを求めます。代表者要件は、保険医療機関の代表者が、上記範囲内に所在する障害福祉サービス事業所等の代表者を務めていることを求めます。両要件はいずれも、医療機関と障害福祉サービスの一体的な提供体制を確認する趣旨です。自院の開設者または代表者が関与する事業所が該当するかを、組織図と所在地から確認しましょう。
届出に向けた3つの実務アクション
届出を成功させるには、関連事業所の棚卸しを起点とした3段階の準備が有効です。第一段階は、開設者・代表者が関与する全事業所のリストアップです。第二段階は、各事業所の所在地確認と半径10キロメートル以内かの測定です。第三段階は、要件を満たさない場合の体制整備の検討です。
第一段階のリストアップでは、開設者個人と代表者個人それぞれについて、関与する事業所を網羅的に洗い出します。第二段階の所在地確認では、地図アプリの距離測定機能などを活用し、半径10キロメートル以内かを客観的に判定します。第三段階の体制整備では、関連法人内で相談支援事業所などを新たに開設する選択肢も含めて検討します。これら3段階の準備を経て、地方厚生(支)局への届出に進みましょう。
結論:関連事業所の棚卸しから始めましょう
精神科地域密着多機能体制加算の施設基準における「障害福祉サービス事業所等」の「等」には、相談支援事業所と地域活動支援センターが含まれます。対象範囲は、保険医療機関の所在する市区町村内、または保険医療機関から半径10キロメートル以内です。届出を目指す医療機関は、開設者と代表者が関与する事業所の棚卸しから着手しましょう。
♥ 0いいねをした人: いません結論から申し上げます。入院と外来の両方でクロザピンを使用する1人の患者は、施設基準上「1人」としてカウントしてください。「入院で1人、外来で1人」と分けて2人とカウントすることはできません。この取り扱いは、精神科急性期医師配置加算1だけでなく、精神科急性期医師配置加算3でも同様です。
本回答では、まず根拠となる疑義解釈の該当箇所を確認します。次に、なぜこの取り扱いになるのかを整理します。最後に、6人要件を満たすために現場でいま着手すべきアクションを提示します。
根拠となる疑義解釈の該当箇所
根拠は、「疑義解釈資料の送付について(その2)」の問75に明記されています。質問者の問題意識と完全に同じ論点が取り上げられており、結論も明確です。
問75では、「A249」精神科急性期医師配置加算1の施設基準にある「入院又は外来においてクロザピンを使用する患者数が年間に6人以上であること」について、入院及び外来でクロザピンを使用する1人の患者を、当該要件において2人とカウントすることが可能か、と問われています。これに対する答えは「不可」です。
さらに同問の答えでは、「精神科急性期医師配置加算3の施設基準においても同様の取扱いである」と明記されています。つまり、加算1と加算3のどちらにおいても、患者は「実人数」で数える必要があり、診療場面(入院・外来)でカウントを水増しする運用は認められません。
「実人数で数える」という考え方の意味
本要件は、医療機関がクロザピン治療にどれだけ実質的に取り組んでいるかを、患者の実数で評価する設計になっています。1人の患者を入院・外来で2回数えてよいとすると、同一患者を切れ目なく治療している医療機関ほど数値が膨らみ、実態を正しく反映しなくなります。疑義解釈で「不可」とされたのは、要件本来の趣旨を保つためです。
したがって、年間6人を満たすかどうかは、「その年に当院でクロザピンを使用した患者の延べ人数」ではなく、「実人数」で確認します。同一患者が入院・外来をまたいで使用していても、ID単位で1人と数える運用が正解です。
現場でいま着手すべきアクション
まずは、自院のクロザピン使用患者リストを「実人数ベース」で再集計してください。電子カルテや薬剤部のクロザピン患者管理台帳(CPMS登録患者リストが活用できる場合が多いです)から、対象年度に1回でもクロザピンを処方した患者を患者IDで名寄せし、重複を排除した実人数を出すのが第一歩です。
次に、その実人数が6人未満となる見込みの場合は、計画的な患者受け入れの検討を進めてください。具体的には、地域の精神科診療所や他院からのクロザピン導入目的の紹介患者の受け入れ体制を整備すること、CPMS登録医・登録薬剤師の体制を点検すること、入院での導入から外来移行までの院内パスを見直すことが有効です。
最後に、届出書類の整備として、患者ごとの使用期間(入院期間・外来通院期間)がわかる一覧を作成し、地方厚生局からの照会に即座に回答できる形で保管しておきましょう。実地指導の場でも、「延べではなく実人数で数えている」ことを示せる資料が手元にあると、説明が短時間で済みます。
まとめ
精神科急性期医師配置加算1および3の施設基準にあるクロザピン年間6人要件は、患者の実人数で判定します。入院・外来をまたいで使用していても、1人は1人です。疑義解釈(その2)問75を一次資料として手元に置き、自院の患者リストを実人数で再集計するところから始めてください。届出可否に関わる重要な論点ですので、医事課・薬剤部・精神科医師の三者で集計結果を共有し、年度途中でも進捗を確認する運用をおすすめします。
♥ 0いいねをした人: いません精神科病院の管理栄養士様
お世話になっております。
重ねてご質問いただき、ありがとうございます。前回ご紹介したチェックリスト8項目について、院内体制整備の具体的な進め方をご質問いただきました。初めての取り組みということで、ご不安も多いかと思います。本回答では、8項目を「組織体制」「臨床判断」「記録運用」「他部門連携」の4カテゴリに整理し、優先順位順に進め方を解説します。すべてを同時に整備するのは現実的ではないため、段階的なアプローチをご提案します。
導入の全体ロードマップ(推奨ステップ)
まず全体像をお示しします。8項目を闇雲に進めるのではなく、論理的な順序で整備することが成功の鍵です。
段階 主な整備項目 目安期間 第1段階(基盤構築) 訪問体制整備、医師指示書運用、対象患者スクリーニング基準 1〜2か月 第2段階(臨床判断) 別表第三判断体制、退院前カンファレンス運用 2〜3か月 第3段階(記録・連携) 訪問記録様式、医事課連携、介護保険移行手順 3〜4か月 以下、カテゴリ別に各項目の進め方を解説します。
カテゴリ1:組織体制の整備
【1】入院医療機関の管理栄養士による訪問体制が整備されている
訪問体制整備は、すべての出発点となる最重要項目です。以下の3点を優先的に検討してください。
第1に、訪問担当者の決定と役割分担です。当面は管理栄養士の中から訪問担当者を1〜2名指名し、初期の試行運用を任せる体制が現実的です。担当者を限定することで、運用ノウハウの蓄積と質の標準化が進みやすくなります。
第2に、訪問時間の確保です。1回の訪問は移動時間を含めると2〜3時間程度を要します。「概ね20分以上」の指導時間に加え、訪問前後のアセスメント・記録作成時間も見込んだ業務シフトの調整が必要です。通知(3)で「当該保険医療機関における栄養管理業務等に支障をきたすことのないよう留意する」と明記されているため、入院患者への栄養管理業務とのバランス設計が重要です。
第3に、安全管理体制の整備です。訪問看護で運用されている安全管理ルール(訪問前情報共有、緊急時連絡体制、ハラスメント対応等)を栄養士訪問にも適用することを推奨します。精神科病院では、精神症状の急性増悪時の対応プロトコルを訪問看護部門と共有しておくと安心です。
【2】医師の指示書・指示記録の運用が確立されている
医師指示の運用は、訪問体制と並行して整備すべき項目です。以下の3点を進めてください。
第1に、指示書テンプレートの作成です。電子カルテに専用テンプレートを作成することで、指示漏れや記載項目の不統一を防げます。テンプレートには対象患者区分(特別食/がん/摂食機能または嚥下機能低下/低栄養)を選択式で配置すると、医師の記載負担が軽減されます。
第2に、指示タイミングの院内ルール化です。「退院前カンファレンスの段階で指示が出る」「退院日決定時に指示が出る」など、指示発出のタイミングを院内ルールとして明文化することで、退院後すぐに訪問を開始できます。
第3に、指示記録の保管・確認フローです。電子カルテ上で指示記録が訪問担当管理栄養士に通知される仕組み(タスク機能やフラグ機能の活用)を整備すると、指示の見落としを防げます。
カテゴリ2:臨床判断体制の整備
【3】対象患者4区分のスクリーニング基準が院内で共有されている
スクリーニング基準の明文化は、算定漏れと不適切算定の両方を防ぐ要となります。4区分それぞれの判断基準を院内で統一しましょう。
第1区分(特別食)については、食事箋の発行有無で機械的に判断できます。電子カルテで食事箋オーダーが入っている患者を抽出する仕組みがあると効率的です。
第2区分(がん患者)については、主病名または併存病名にがんが登録されているかで判断します。精神科病院でも併存疾患としてのがんは存在するため、見落とさないようスクリーニング項目に組み込んでください。
第3区分(摂食機能または嚥下機能が低下した患者)については、嚥下機能評価(RSST、改訂水飲みテスト、嚥下造影検査等)の結果や、食事形態(嚥下調整食コード)を判断基準として明文化することを推奨します。精神科病院では向精神薬による嚥下機能低下のケースが多いため、薬剤性の評価も含めると算定対象を適切に把握できます。
第4区分(低栄養状態にある患者)については、GLIM基準等の標準化された判定ツールを院内で採用し、判定基準を統一することを推奨します。精神科病院では向精神薬による体重変化や食行動の変化を呈する患者が多いため、入院時と退院時の体重変化・BMI・血清アルブミン値等を組み合わせた判定フローを整備すると判断が容易になります。
【4】別表第三の特別食該当性を判断できる体制がある
別表第三は22種類の特別食が列挙されていますが、本点数の対象となるのは小児食物アレルギー食を除く21種類です。判断体制整備のポイントは以下のとおりです。
第1に、院内向け早見表の作成です。別表第三を「臓器疾患系」「代謝・血液・免疫系」「先天性代謝異常系」「その他・特殊環境」の4カテゴリで整理した一覧表を作成し、栄養課・医事課で共有してください。精神科病院で頻度の高い特別食(糖尿食、脂質異常症食、腎臓食等)を上位に配置すると実務で使いやすくなります。
第2に、対象外項目の明示です。「単なる流動食および軟食は除く」「小児食物アレルギー食は退院後訪問栄養食事指導料では対象外」という除外ルールを早見表に明記してください。これにより不適切算定を防げます。
第3に、判断に迷うケースの相談ルートです。食事箋の特別食該当性に迷うケースは医師に確認するルートを明確にしておくと安心です。
【5】退院前カンファレンスで栄養管理目標を設定する運用が確立されている
退院前カンファレンスは、本点数を効果的に活用するための起点となります。以下の3点を整備してください。
第1に、カンファレンス参加メンバーへの管理栄養士組み込みです。従来のメンバー(医師、看護師、PSW、地域連携室等)に管理栄養士を正式メンバーとして加えることで、退院前から栄養管理計画を共有できます。
第2に、栄養管理目標設定の標準フォーマットです。「1か月後の到達目標(体重、食事摂取量、食行動等)」「4回の訪問で達成すべき中間目標」を記載するフォーマットを作成し、カンファレンスで共有してください。
第3に、訪問計画の事前共有です。4回の訪問予定日と目的(初回:アセスメント、2回目:献立提案、3回目:調理指導、4回目:評価・引き継ぎ等)を退院前に患者・家族と共有することで、訪問拒否のリスクを低減できます。
カテゴリ3:記録運用の整備
【6】訪問記録の様式が整備されている(具体的な献立指導の記録)
訪問記録は監査対応の最重要書類です。前回Q&Aで列挙した記載項目を、電子カルテのテンプレートとして整備することを推奨します。
第1に、必須項目のテンプレート化です。「訪問開始・終了時刻」「指導対象者」「具体的な献立指導内容」「患者の生活条件・し好の把握内容」など、通知で明記された要件項目をテンプレートの必須入力欄として設定してください。
第2に、献立指導の記録方法です。「カロリー指導を実施」のような抽象的記載では、通知が求める「具体的な献立等によって栄養管理に係る指導」の要件を満たしません。「朝食:全粥150g、味噌汁(具:豆腐・わかめ)、煮魚(鯛50g)、温野菜100g」のような具体的献立例を記録に含めることが重要です。
第3に、写真等の補足資料の活用です。家庭の食環境やキッチンの状況を写真で記録すると(患者同意のもとで)、次回訪問時のアセスメントが容易になります。記録に画像添付できる電子カルテであれば積極活用してください。
カテゴリ4:他部門連携の整備
【7】外来栄養食事指導料・C009との併算定不可ルールが医事課で共有されている
医事課との連携は、算定エラーを防ぐ生命線です。以下の3点を整備してください。
第1に、ルールの明文化と共有です。「退院後訪問栄養食事指導料を算定した月は、同月内に外来栄養食事指導料(B001-9)・在宅患者訪問栄養食事指導料(C009)を算定しない」というルールを明文化し、医事課・栄養課・外来部門で共有してください。月単位での制限である点が特に重要です。
第2に、レセプト点検時のチェック項目化です。レセプト点検時に併算定の有無を機械的にチェックする仕組み(月初の点検リスト等)を整備すると、算定エラーを防げます。
第3に、退院後外来通院時の運用ルールです。退院後1か月以内に外来通院が始まった場合、その月内は外来栄養食事指導料が算定できないため、外来栄養指導の実施有無を退院後訪問栄養食事指導料の算定計画と連動させてください。
【8】1か月経過後の介護保険居宅療養管理指導等への移行手順が整理されている
本点数は退院日から1か月以内・4回までという期間限定の点数です。1か月経過後の継続支援のため、移行手順を整備してください。
第1に、移行先サービスの整理です。患者の保険種別(医療保険のみ/介護保険併用)と通院可否によって、移行先が異なります。
患者状況 移行先サービス 通院可能・医療保険 外来栄養食事指導料(B001-9) 通院困難・医療保険 在宅患者訪問栄養食事指導料(C009) 介護保険適用 居宅療養管理指導(介護保険) 第2に、ケアマネジャーとの連携ルートです。介護保険適用患者については、4回目訪問までにケアマネジャーへの引き継ぎ準備を開始してください。居宅療養管理指導はケアプランへの位置づけが必要なため、サービス担当者会議への参加調整等に時間を要します。
第3に、外部の管理栄養士との連携です。自院で居宅療養管理指導を提供できない場合、地域の栄養ケア・ステーション等と連携し、外部の管理栄養士に引き継ぐルートを準備しておくと、患者の栄養管理が途切れません。
運用開始までの推奨スケジュール
初めての取り組みということを踏まえ、運用開始までの推奨スケジュールをお示しします。
時期 主な取り組み 準備期(1〜2か月目) 訪問担当者選定、医師指示テンプレート作成、スクリーニング基準明文化 整備期(3〜4か月目) 訪問記録テンプレート整備、医事課連携ルール確立、退院前カンファレンスへの組み込み 試行期(5か月目〜) 1〜2症例での試行運用、運用フローの修正、院内マニュアル化 本格運用期 対象患者の全例算定、月次の運用振り返り すべての項目を完璧に整備してから運用開始するのではなく、最低限の体制が整った段階で1〜2症例の試行運用を開始し、実践を通じて運用を磨いていくアプローチが現実的です。
まとめ
院内体制整備の8項目は、「組織体制」「臨床判断」「記録運用」「他部門連携」の4カテゴリに分けて段階的に進めることが現実的です。完璧を求めず、最低限の体制で試行運用を開始し、実践を通じて磨いていく姿勢が成功の鍵となります。
精神科病院ならではの留意点として、向精神薬の影響を踏まえた対象患者スクリーニング、訪問看護部門との安全管理ルール共有、ケアマネジャー連携の事前準備が特に重要です。
院内マニュアル作成にあたって追加のご質問があれば、いつでもお寄せください。新たな取り組みのご準備、引き続き応援しております。
どうぞよろしくお願いいたします。
♥ 0いいねをした人: いません精神科病院の管理栄養士様
お世話になっております。
動画をご視聴いただき、また温かいご感想までいただきまして、誠にありがとうございます。励みになります。ご質問の件、令和8年3月5日付告示・通知、および令和8年3月31日付疑義解釈資料(その2)で詳細が明らかになりましたので、それらを踏まえてお答えいたします。
なお、ご質問にある「退院時訪問栄養指導」は、令和8年度改定で新設された「退院後訪問栄養食事指導料」(B007-3・530点)を指すものとして回答いたします。別の点数を想定されている場合は、改めてお知らせください。
1. 退院後訪問栄養食事指導料の概要(確定情報)
告示・通知で確定した算定要件を整理します。
項目 内容 点数 530点(1回につき) 算定主体 入院していた保険医療機関(入院保険医療機関)の管理栄養士 指示者 保険医療機関の医師 算定期間 退院日から起算して1か月以内(退院日を除く) 算定回数 4回まで 所要時間 概ね20分以上 ※通知(2)で明記 訪問場所 患家、介護保険施設、指定障害者支援施設等 ※通知(2)で明記 対象外 管理栄養士が配置されている施設に入所中、または医療機関に入院中の患者 ※通知(2)で明記 指導対象 患者本人または家族等(在宅療養支援に当たる者) 併算定不可 算定した「月」においては外来栄養食事指導料(B001-9)および在宅患者訪問栄養食事指導料(C009)は算定不可 ※通知(4)で月単位の制限を明記 交通費 患家負担 特に注意していただきたいのは、併算定不可の範囲が「月単位」である点です。退院後訪問栄養食事指導料を算定した月は、その月内に外来通院があっても外来栄養食事指導料は算定できません。医事課との事前すり合わせが極めて重要です。
なお、対象患者となる別表第三の特別食について、本点数では「小児食物アレルギー食」は対象外となります(同食は外来栄養食事指導料及び入院栄養食事指導料に限定)。精神科病院では該当症例は限定的かと思われますが、念のためお知らせいたします。
2. 退院後訪問栄養食事指導料の必要書類
通知(5)では「外来栄養食事指導料(B001-9)の(2)から(6)まで及び(16)の例による」とされているため、外来栄養食事指導料の運用に準じた書類整備が基本となります。
【1】医師の指示記録(指示箋)
電子カルテで自動的に表示される患者基本情報以外で、指示記録に明示すべき項目です。
- 指示日、退院日
- 対象患者区分(特別食/がん/摂食機能または嚥下機能低下/低栄養のいずれか)
- 特別食の場合は食事箋の内容(疾患名・栄養量等)
- 指示する管理栄養士名
- 訪問場所(患家・介護保険施設・指定障害者支援施設等)
- 訪問計画(予定回数、目的)
- 指示医師氏名、押印または電子署名
【2】訪問指導記録
通知(2)で「概ね20分以上」「具体的な献立等」「患者ごとにその生活条件、し好等を勘案」が要件として明記されているため、これらが客観的に確認できる記録が必須です。
- 訪問日、訪問開始時刻・終了時刻 ※所要時間の証跡として重要
- 訪問場所
- 訪問した管理栄養士名
- 指導対象者(患者本人/家族等)、家族の場合は続柄
- 患者の状態(食事摂取状況、体重、嚥下機能、栄養状態の評価等)
- 家庭の食環境(調理担当者、キッチン設備、買い物環境等)
- 患者の生活条件・し好の把握内容 ※通知に明記された要件
- 指導内容(具体的な献立例、調理方法、食材選択等)
- 次回訪問予定または今後の方針
- 患者・家族の理解度、反応
【3】算定管理表(院内管理用)
- 退院日、算定可能期間
- 各回の訪問日と算定状況
- 併算定不可点数の算定有無確認欄(B001-9外来栄養食事指導料・C009在宅患者訪問栄養食事指導料の算定月確認)
- 当該保険医療機関における栄養管理業務に支障がないことの確認(通知(3)で留意事項として明記)
- 退院先の確認(管理栄養士配置施設への入所有無)
3. 情報通信機器を用いた外来栄養食事指導の必要書類
情報通信機器を用いた外来栄養食事指導料については、B001-9外来栄養食事指導料の現行運用に準じた書類整備が基本です。
【1】医師の指示記録
通常の外来栄養食事指導料と同様に医師の指示が必要です。情報通信機器を用いることへの同意も指示記録に含めると、監査時の根拠資料として活用できます。
【2】指導記録
通常の指導記録に加え、以下の項目を追記することを推奨します。
- 使用した情報通信機器の種類
- 通信状況(画像・音声の良否)
- 本人確認の方法
- 患者の同意取得状況
【3】患者同意書
情報通信機器を用いた指導については、事前の患者同意取得が一般的に求められます。
- 情報通信機器を用いた指導の内容説明
- 通信障害時の対応
- 個人情報・通信内容の取扱い
- 通常の対面指導への切り替えオプション
なお、情報通信機器を用いた指導の詳細な施設基準・算定要件は、別途関連通知をご確認ください。
4. 運用上の重要ポイント(精神科病院ならではの留意点)
精神科病院での運用にあたり、特に押さえていただきたい5点です。
【1】併算定不可ルールは「月単位」である点を医事課と共有
通知(4)で明確化されたとおり、退院後訪問栄養食事指導料を算定した月は、外来栄養食事指導料・在宅患者訪問栄養食事指導料は算定できません。退院後1か月以内に外来通院が始まった場合の取り扱いを、医事課と事前にすり合わせておくことが重要です。
【2】訪問看護師同行時の同日算定が認められた点
疑義解釈(その2)問61により、同一の保険医療機関または特別の関係にある訪問看護ステーションの看護師に同行して訪問し、栄養指導を行った場合、各指導の時間が重複しなければ、退院後訪問指導料(B007-2)や在宅患者訪問看護・指導料(C005)等と同日算定が可能となりました。
これは精神科病院での訪問看護との連携において非常に活用しやすい運用ルールです。ただし、「指導等の時間が重複しない」ことを記録で示す必要があるため、両職種それぞれの指導開始・終了時刻を明確に記録してください。
【3】「概ね20分以上」の指導時間確保
通知(2)で所要時間が明記されたため、訪問指導記録には必ず開始・終了時刻を記載してください。20分未満となった場合の取り扱いを院内で整理しておくことを推奨します。
【4】対象患者スクリーニング基準の明文化
精神科病院では、向精神薬の副作用による体重変化や食行動の変化を呈する患者が多く、低栄養や摂食機能低下の判定基準を院内で明文化しておくと、算定対象の見落としを防げます。特に「低栄養状態」の判定基準(GLIM基準等)を院内で統一しておくことを推奨します。
【5】退院先の確認(訪問場所と算定可否の取扱い)
通知(2)で訪問場所として「患家、介護保険施設又は指定障害者支援施設等」が明記される一方、「管理栄養士が配置されている施設に入所中の患者」は算定対象外となります。
実務上の整理は以下のとおりです。
退院先 算定可否 自宅(患家) 算定可能 介護保険施設・指定障害者支援施設等で管理栄養士配置なし 算定可能 管理栄養士配置の施設(特別養護老人ホーム等)に入所 算定不可 退院支援部門と連携し、退院先施設の管理栄養士配置状況を事前確認する運用フローを構築してください。精神障害者向けグループホーム等への退院ケースの取扱いは、今後の疑義解釈の追記を待つ必要があります。
5. 情報源
本回答は以下の正式情報に基づいています。
- 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(算定告示) 医科点数表 B007-3 退院後訪問栄養食事指導料
- 医科診療報酬点数表に関する事項(留意事項通知) 別添1 B007-3
- 特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件(厚生労働省告示第七十一号・令和8年3月5日)
- 疑義解釈資料の送付について(その2)(事務連絡・令和8年3月31日)問61
今後、疑義解釈資料(その3以降)で追加の運用ルールが示される可能性があります。厚生労働省のウェブサイトを定期的にご確認いただくことを推奨します。
ご不明な点や追加のご質問がございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。新たな取り組みのご準備、応援しております。
どうぞよろしくお願いいたします。
♥ 0いいねをした人: いませんご質問ありがとうございます。結論から申し上げますと、ご認識のとおりで問題ありません。同日に両方の診療を行った場合は「A230-3 精神科身体合併症管理加算」は算定できず、別日であれば算定可能です。令和8年度改定の疑義解釈(その2)問74で明確に示されていますので、レセプト判断基準として安心してご活用いただけます。
判断のポイントは「同日か別日か」のシンプルな線引きです。同日に両加算の対象となる診療を行った場合、A230-5(慢性身体合併症管理加算)のみ算定し、A230-3は算定不可となります。一方、A230-5の診察日と異なる日にA230-3の対象となる診療を行った場合は、A230-3を算定できます。レセプト点検時は「診療日」を必ず確認することが実務上の要点です。
1. 厚生労働省が示した疑義解釈の根拠
本件の根拠は「疑義解釈資料の送付について(その2)」問74に明記されています。同問では、A230-5の留意事項通知にある「この場合において、区分番号A230-3に掲げる精神科身体合併症管理加算は別に算定できない」という記載の解釈が示されました。
具体的な問答は次のとおりです。問は「精神科慢性身体合併症管理加算に係る診察に併せて精神科身体合併症管理加算に係る診療を行った場合、精神科身体合併症管理加算は算定できるのか」という内容です。これに対する答えは「算定できない。なお、精神科慢性身体合併症管理加算に係る診察を行った日とは別の日に精神科身体合併症管理加算に係る診療を行った場合は、精神科身体合併症管理加算を算定できる」とされています。
この回答により、同日併算定は不可、別日であれば算定可能というルールが確定しました。「別に算定できない」という通知文言を、「同日に限り併算定不可」と解釈する形で整理されたものです。
2. 現場で混同しやすいA230-3とA230-5の違い
両加算は名称が似ているため、まず対象患者と算定要件の違いを整理しておくと判断がスムーズです。A230-3(精神科身体合併症管理加算)は急性期の身体合併症を対象とし、A230-5(精神科慢性身体合併症管理加算)は慢性的な身体合併症の継続管理を対象としています。同じ患者に同日両方の診療を行う場面が起こり得るため、今回の疑義解釈で線引きが示されたわけです。
レセプト実務では、診療録上で「いつ」「どちらの加算に該当する診療」を行ったのかを明確に記録することが重要です。同日記録の場合はA230-5のみを算定し、別日であればそれぞれの日にそれぞれの加算を算定するという運用になります。
3. 現場で今すぐ進めるべきアクション
まずは、過去3か月分のA230-5算定患者のレセプトを抽出し、同日にA230-3を併算定している事例がないかを確認しましょう。もし併算定の事例があれば、月遅れ請求の対応や返戻リスクの整理が必要になります。
次に、医事課内および病棟看護師・医師向けに、今回の疑義解釈を共有してください。共有時には「同日併算定は不可」「別日なら算定可能」の2点に絞った1枚資料を作成すると、現場が迷いません。さらに、診療録記載のルール化として、A230-3またはA230-5の対象となる診療を行った日を明確に記録する運用を整備することをお勧めします。
最後に、レセプトコンピューターの算定マスタ設定を見直し、同日に両加算が立つ場合のアラート設定が可能か、ベンダーに確認しておくと安心です。
同日か別日かというシンプルな判断軸を、医事課・病棟・医師の三者で共有することが、本件の疑義解釈を実務に落とし込む最短ルートです。レセプト返戻の予防にも直結しますので、ぜひ早めに整備を進めてください。
♥ 0いいねをした人: いません令和8年5月31日以前に早期リハビリテーション加算を算定済みの患者は、改定後も起算日を変更せず、改定前の起算日から14日間が算定可能期間となります。一方、6月1日時点でまだ加算を算定していない患者については、改定後の基準により入院日を起算日として算定します。今回の改定では算定期間が「起算日から14日間」に統一されたため、6月1日時点ですでに15日目以降に到達している患者は、加算を算定できません。
結論として、判断のポイントは3つあります。1つ目は「6月1日時点で加算算定中か否か」、2つ目は「算定中の場合、起算日から14日以内か否か」、3つ目は「未算定の場合、改定後基準で入院日を起算日とする」ことです。本記事では厚生労働省の疑義解釈資料(その2)問70を根拠に、3パターンの具体例を整理してお伝えします。
パターン1:5月中に算定開始、6月1日時点で14日以内の場合
このパターンでは、改定前の起算日を引き継ぎ、6月1日以降も14日目まで加算を算定できます。改定前後で起算日のルールが異なっていても、すでに算定を開始している患者は、改定前の起算日が優先されます。
具体例で確認しましょう。5月29日に入院し、5月31日から心大血管疾患リハビリテーションと早期リハビリテーション加算の算定を開始した患者のケースです。この場合、改定前の基準である「急性増悪を生じた日から7日目」と「治療開始日」を比較し、早いほうの5月27日が起算日となります。5月31日までは改定前の早期リハビリテーション加算25点を算定できます。
6月1日以降も、起算日は5月27日のまま変更しません。6月1日から6月9日(起算日から14日目)までは、改定後の早期リハビリテーション加算「4日目以降14日以内」として、1単位につき25点を算定できます。起算日を改定後の基準で再設定しない点が、実務での重要なポイントです。
パターン2:5月中に算定開始、6月1日時点で15日目以降の場合
このパターンでは、6月1日以降は早期リハビリテーション加算を算定できません。改定後の算定期間が「起算日から14日間」に短縮されたため、すでに14日を超えている患者は対象外となります。
具体例で確認しましょう。5月12日に入院して5月14日から算定を開始した患者のケースです。改定前の基準で起算日を計算すると、急性増悪を生じた日から7日目と治療開始日を比較し、早いほうの5月10日が起算日となります。5月31日までは改定前の早期リハビリテーション加算25点を算定できます。
しかし6月1日時点では、起算日5月10日からすでに23日目です。改定後の算定可能期間である14日間を超えているため、6月1日以降は早期リハビリテーション加算を算定できません。算定漏れを防ぐためにも、対象患者の起算日と経過日数を事前にリストアップしておきましょう。
パターン3:6月1日時点で未算定の場合
このパターンでは、改定後の基準により入院日を起算日として算定します。6月1日時点で加算をまだ算定していない患者は、改定前の経過に関係なく、新しいルールが適用されます。
具体例で確認しましょう。5月31日に入院し、6月2日から心大血管疾患リハビリテーションと早期リハビリテーション加算の算定を開始した患者のケースです。改定後の基準では、入院日である5月31日が起算日となります。疾患別リハビリテーションを開始した6月2日から、起算日の14日目にあたる6月13日までが算定可能期間です。
点数は段階的に変わります。6月2日は「1日目から3日目まで」に該当するため1単位につき60点、6月3日から6月13日は「4日目以降14日以内」に該当するため1単位につき25点を算定します。改定後は初期の点数が手厚くなっている点も、現場で押さえておきたいポイントです。
実務で押さえたい確認ポイント
レセプト返戻を防ぐためには、対象患者の3つの情報を事前に整理することが重要です。具体的には「入院日」「早期リハビリテーション加算の算定開始日」「改定前基準での起算日」を一覧化し、6月1日時点での経過日数を確認します。
まずは、5月31日以前に入院した患者のリストを医事課と共有してください。次に、リハビリテーション部門と連携して、各患者の起算日と6月1日時点の経過日数を確認しましょう。最後に、6月1日以降の算定可否を3パターンで分類し、レセプト担当者に申し送りを行ってください。
廃用症候群リハビリテーション料を算定する患者についても、同様の確認が必要です。疑義解釈資料(その1)問40の補足では、早期リハビリテーション加算の算定可能期間は「廃用症候群リハビリテーション料の算定開始日によらず、入院日から14日間」とされています。入院前の安静期間で要件を満たした場合、入院初日から廃用症候群リハを算定できますが、加算期間は入院日起算となる点に留意してください。
まとめ
早期リハビリテーション加算の経過措置は、6月1日時点の算定状況によって3パターンに分かれます。算定済みで14日以内なら改定前の起算日を継続、算定済みで15日目以降なら6月1日以降は算定不可、未算定なら改定後基準で入院日を起算日とします。対象患者のリスト化と、医事課・リハビリ部門・レセプト担当者の三者連携が、算定漏れと返戻を防ぐ最大のポイントです。
♥ 0いいねをした人: いません -
投稿者投稿