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精神科外来の公認心理師
ゲスト精神科外来で公認心理師として認知行動療法(CBT)を担当しています。2026年度の改定で「I003-2」認知療法・認知行動療法について、不眠症への適用が整理されたと伺いました。当院では、うつ病や不安障害を合併した不眠症の患者さんが多く、不眠症に対するCBTと、うつ病や不安障害に対するCBTの両方を実施するケースが想定されます。この場合、両者をそれぞれ算定できるのでしょうか。それとも、どちらか一方しか算定できないのでしょうか。算定にあたって気をつけるべき点や、診療録に残しておくべき記録があれば教えてください。
♥ 0いいねをした人: いません2026年度(令和8年度)診療報酬改定では、「I003-2」認知療法・認知行動療法において不眠症の取扱いが整理されました。現場では、うつ病や不安障害を合併した不眠症患者へのCBT併施が想定され、算定方法に迷う声が増えています。本稿では、疑義解釈資料(その2)問86・問87を根拠に、併施時の算定可否と実務対応を明確にします。
結論として、医学的に妥当と判断した場合に限り、不眠症CBTと併存症CBTの両者を、それぞれの上限回数を限度として算定できます。算定の前提は、主治医による医学的妥当性の判断です。管理の要点は、それぞれの上限回数を別々にカウントすることです。実施上の要点は、不眠症CBTでは関係学会のマニュアルを参考にすることです。
1. 両者算定の可否と根拠
両者の算定可否について、結論は「医学的に妥当と判断した場合に限り、それぞれの上限回数を限度として算定可能」です。この取扱いは、疑義解釈資料(その2)問87で明示されています。
疑義解釈(その2)問87では、「うつ病又は不安障害を合併した不眠症の患者に対して、不眠症に対する認知療法・認知行動療法と併存症に対する認知療法・認知行動療法の両者を実施した場合」の算定方法が問われています。回答は、「両者の実施が医学的に妥当であると判断した場合に限り、それぞれの上限回数を限度として算定できる」とされています。つまり、片方しか算定できないという制限はありません。
この回答の意味は、「医学的妥当性」が両者算定のゲートになるということです。単に病名が併存しているだけでは足りず、不眠症と併存症のそれぞれに対してCBTを実施することが治療上必要であると、主治医が判断した記録が求められます。
2. 「医学的に妥当」の判断ポイント
「医学的に妥当」の判断は、主治医が患者の病態と治療計画に基づいて行います。判断の根拠は診療録に残し、レセプト審査での説明に備えてください。
判断にあたって意識すべき視点は3つあります。1つ目は、不眠症と併存症のそれぞれに、独立した治療標的があるかという視点です。2つ目は、それぞれのCBTで用いる技法(例:不眠症であれば刺激制御法・睡眠制限法、うつ病であれば認知再構成・行動活性化)が、別個に必要かという視点です。3つ目は、両者を併施することで治療効果が見込まれ、患者の負担が過大にならないかという視点です。
これらの判断は、疑義解釈に具体例が示されているわけではありません。したがって、現場では主治医とCBT担当者が連携し、治療計画書や週次のカンファレンス記録に「両者併施の医学的必要性」を明示する運用が望ましいといえます。
3. 上限回数とマニュアルの確認
算定にあたっては、それぞれの上限回数を別々に管理し、不眠症CBTでは関係学会のマニュアルを参考にする必要があります。上限回数は、I003-2の留意事項通知に定められた回数を、不眠症CBT・併存症CBTそれぞれで個別にカウントします。
不眠症CBTの実施で参考にすべきマニュアルは、疑義解釈(その2)問86で明示されています。回答では、「『不眠症に対する認知行動療法マニュアル』(日本睡眠学会教育委員会編)」が指定されています。このマニュアルに沿った内容で実施することが、算定の前提となります。
一方、うつ病や不安障害に対するCBTは、従来から運用されている標準的なマニュアル(厚生労働省の治療者用マニュアル等)に基づき実施します。両者の実施記録は、症例ごとに分けて管理し、上限到達の有無をレセプト提出前に必ず確認してください。
4. 現場で進めるべきアクション
現場で進めるべきアクションは、判断ルールの整備、記録様式の標準化、回数管理表の運用の3点です。これらを準備することで、レセプト審査と内部監査の双方に対応できる体制が整います。
まずは、主治医とCBT担当者で「両者併施の医学的妥当性」を判断するチェックリストを作成しましょう。次に、診療録テンプレートに「不眠症CBT実施根拠」「併存症CBT実施根拠」の記載欄を追加し、毎回の実施内容を分けて記録してください。最後に、患者ごとに上限回数の残数を可視化する管理表を運用し、医事課・CBT担当者・主治医で共有することをお勧めします。
結論
不眠症CBTと併存症CBTは、医学的に妥当と判断した場合に限り、それぞれの上限回数を限度として両者算定が可能です。算定の前提は主治医の医学的妥当性の判断であり、管理の要点はそれぞれの上限回数を別々にカウントすることです。不眠症CBTでは日本睡眠学会編のマニュアルを参考にし、診療録に判断根拠を明示する運用を整えてください。準備が整えば、合併症をもつ患者さんに対しても、必要な治療を必要なだけ提供できる体制になります。
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