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複数施設を運営する法人の本部事務
ゲストお世話になっております。複数の病院・クリニックを運営する医療法人で、本部の事務を担当している者です。
令和8年度の改定で、法人内の同一の給与体系に基づく複数の医療機関等について、「月額賃金総額」や「対象職員数」を通算して届出ができる規定が新設されたと理解しています。当法人も同一の給与体系なので、これをまとめて扱いたいと考えています。
そこで2点、整理がつかず困っています。
1つ目は、通算で計算した結果、施設基準に満たない医療機関や、そもそもベースアップ評価料の届出をしない医療機関が出てきた場合、それらの施設の対象職員や収入も、賃金改善実績報告書や届出区分の算出に含めてよいのか、という点です。
2つ目は、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の注5など、継続的な賃上げの取組に係る施設基準についても、同じように法人内で通算して算出してよいのか、という点です。
「区分計算は通算できるが、注5などの継続的な賃上げの取組は施設ごとに満たす必要がある」という解釈で合っていますか。ご教示いただけますと幸いです。
♥ 0いいねをした人: いません複数施設の本部事務、おつかれさまです。通算規定は便利ですが、どこまでまとめてよいのか線引きが見えにくく、整理に苦労されるのは当然です。結論から申し上げると、2点とも、ご質問者様の整理で合っています。届出を行わない施設や基準に満たない施設は、報告書や区分算出の対象から外します。一方で、注5などの継続的な賃上げの取組は、施設ごとに満たす必要があり、通算できません。この回答では、通算できる範囲と、通算できない範囲を切り分けて整理します。
ポイントは3つです。第一に、届出を行わない施設・基準に満たない施設は、報告書や区分算出の対象に含めません。第二に、注5などの継続的な賃上げの取組は、施設ごとに基準を満たす必要があります。第三に、つまり「区分計算は通算、継続的な賃上げは施設ごと」という二段構えで考えます。以下、順に解説します。
1. 届出をしない施設・基準に満たない施設は対象に含めない
通算で計算した結果、基準に満たない施設や届出を行わない施設は、報告書や区分算出の対象から外します。疑義解釈資料(その5)問2は、この点を示しています。同問は、対象職員数や社会保険診療等収入金額の割合が施設基準に満たない医療機関、およびベースアップ評価料の届出を行わない医療機関について、「賃金改善実績報告書」「賃金改善中間報告書」における実績や、届出区分の算出時の対象に含まれないか、という問いに「そのとおり」と回答しています。つまり、通算の対象になるのは、あくまで施設基準を満たして届出を行う施設に限られる、ということです。
2. 注5などの継続的な賃上げの取組は施設ごとに満たす
区分計算が通算できる一方で、継続的な賃上げの取組に係る施設基準は、施設ごとに満たす必要があります。疑義解釈資料(その5)問3は、この点を明確にしています。同問は、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の注5などの継続的な賃上げの取組に係る施設基準について、「法人内で通算して算出することはできず、届出を行う保険医療機関等毎に、施設基準を満たす必要がある」と回答しています。つまり、注5などについては法人全体でまとめて判定することができず、各施設が単独で水準を満たさなければなりません。
区分計算と継続的な賃上げの取組では、通算の可否が分かれる点に注意が必要です。「月額賃金総額」や「対象職員数」の区分計算は法人内で通算できますが、注5などの継続的な賃上げの取組は施設ごとの判定です。同じベースアップ評価料の話でも、扱いが二段構えになっている、とご理解ください。ここを取り違えると、注5の届出可否を法人全体で誤判定してしまうおそれがあります。
3. 「区分計算は通算、継続的な賃上げは施設ごと」で考える
2つの問を合わせると、通算の考え方は「区分計算は通算、継続的な賃上げは施設ごと」と整理できます。区分計算では、同一給与体系の複数施設をまとめられますが、まとめられるのは届出を行う施設に限られます。継続的な賃上げの取組では、各施設が単独で基準を満たす必要があり、法人全体での通算はできません。この二段構えを押さえておくと、どの数字を通算し、どの基準を施設ごとに見るのかが、迷わず判断できます。
4. 現場での具体的なアクション
まずは、通算の対象に含める施設と、含めない施設を仕分けしましょう。届出を行う施設だけを通算の対象とし、届出をしない施設や基準に満たない施設は、区分算出・報告書の両方から外します。施設ごとに「届出の有無」「基準充足の有無」を一覧化しておくと、仕分けの根拠が明確になります。
次に、注5などの継続的な賃上げの取組は、施設ごとに判定する前提で確認を進めてください。各施設が単独で水準を満たすかどうかを、施設ごとに試算します。法人全体で満たしていても、個別の施設で満たさなければ、その施設では注5の届出ができない点に注意が必要です。
最後に、根拠を本部内で共有しておきましょう。疑義解釈資料(その5)問2・問3を印刷し、届出の判断基準としてファイルに綴じておくと、各施設の担当者との認識合わせや、来年度以降の引継ぎがスムーズになります。
まとめ
法人内の複数医療機関について、区分計算は同一給与体系であれば通算できますが、通算できるのは届出を行う施設に限られます。届出をしない施設や基準に満たない施設は、報告書・区分算出の対象から外します。一方で、注5などの継続的な賃上げの取組は、施設ごとに基準を満たす必要があり、通算できません。根拠は疑義解釈資料(その5)問2・問3です。まずは、通算の対象に含める施設と含めない施設の仕分けから始めましょう。
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