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回復期病棟の理学療法士
ゲスト令和8年度改定で新設された「離床を伴わないリハビリテーション」について、現場で判断に迷う事例が続出しています。
当院は回復期リハビリテーション病棟を持つ病院で、私は理学療法士として働いています。改定後、心大血管・脳血管疾患等・廃用症候群・運動器・呼吸器の各疾患別リハビリテーション料に「離床を伴わないリハビリテーション」が新設されました。減算(100分の90)と単位数制限(2単位まで)の対象となる「特定の患者」の線引きが、スタッフ間で意見が割れています。
具体的に困っているのは、以下6つの事例の判断です。
1. 最初の1単位はベッド上で他動的な訓練を行い、2単位目の途中から車椅子に移乗して計6単位実施した場合
2. 肺炎を発症したため訓練室に移動せず、ベッド上で患者自身が膝の曲げ伸ばし運動や排痰訓練を行った場合
3. ベッド上でギャッジアップし、高次脳機能障害や構音障害に対する言語療法を行った場合
4. 起立性低血圧の患者で、離床を目指して臥位から座位への移行を試みたが、結果的に端坐位に至らず終了した場合
5. 車椅子で訓練室に移動した後、訓練室のベッド上で他動的な関節可動域訓練のみを行った場合
6. ベッド上で拘縮予防や褥瘡予防を目的とした他動的な関節可動域訓練やポジショニングのみを行った場合これらは「特定の患者」に該当し、減算・単位数制限の対象になるのでしょうか。判断基準を整理して教えていただけると助かります。
♥ 0いいねをした人: いません結論から申し上げます。「特定の患者」に該当するのは、ご質問の6事例のうち⑥のみです。残り5事例は通常の疾患別リハビリテーション料として算定できます。判断の決め手は「ベッド上のみで完結したか」と「ポジショニング又は拘縮予防を主目的とした他動的な訓練のみだったか」の2点を、両方とも満たすか否かです。
「離床を伴わないリハビリテーション」は、令和8年度診療報酬改定で新設された区分です。心大血管・脳血管疾患等・廃用症候群・運動器・呼吸器の各疾患別リハビリテーション料が対象となります。該当した場合、所定点数の100分の90に減算され、1日2単位までしか算定できません。「疑義解釈資料の送付について(その2)」問69で、6つの具体事例に対する判断が示されました。
「特定の患者」判定の2要件
「特定の患者」に該当するためには、2つの要件を同時に満たす必要があります。1つでも外れれば、通常どおりの算定が可能です。
第1の要件は、「ベッド上のみで訓練が完結したこと」です。1単位の途中であっても車椅子に移乗していれば、ベッド上のみには該当しません。また、車椅子で訓練室まで移動し、訓練室のベッドで訓練した場合も、ベッド上のみには該当しません。
第2の要件は、「ポジショニング又は拘縮予防等を主たる目的とした他動的な訓練のみを行ったこと」です。患者自身による自動運動、排痰訓練、言語療法、座位保持訓練など、他動的な関節可動域訓練やポジショニング以外の内容が含まれていれば、この要件には該当しません。
6事例の判定結果
厚生労働省が示した6事例の判定結果は、次のとおりです。①〜⑤は「特定の患者」に該当せず、⑥のみが該当します。
①は「特定の患者」に該当しません。2単位目の途中で車椅子に移乗しているため「ベッド上のみ」ではなく、また内容も他動的な訓練のみではないためです。
②は「特定の患者」に該当しません。ベッド上のみではありますが、患者自身による自動運動や排痰訓練が含まれており、他動的な訓練のみではないためです。
③は「特定の患者」に該当しません。ベッド上のみではありますが、言語療法は他動的な訓練ではないためです。
④は「特定の患者」に該当しません。結果的に端坐位に至らなかったとしても、座位保持訓練を実施しており、他動的な訓練のみではないためです。離床を目指した過程が評価されます。
⑤は「特定の患者」に該当しません。車椅子に移乗して訓練室へ移動しているため、「ベッド上のみ」には該当しないためです。
⑥は「特定の患者」に該当します。ベッド上のみで、かつ拘縮予防を目的とした他動的な訓練のみを行っているため、2要件を満たすためです。所定点数の100分の90で、2単位までの算定となります。
現場で押さえるべき記録のポイント
判定の根拠を診療録とリハビリテーション実施計画書に明確に残すことが、減算回避の鍵となります。「ベッド上のみではなかった」「他動的な訓練のみではなかった」事実が、後から客観的に確認できる記録を整備してください。
具体的には、訓練内容ごとに「実施場所(ベッド上/車椅子/訓練室など)」「訓練形態(他動・自動・座位保持・言語療法など)」「移乗の有無とタイミング」を記載します。さらに、起立性低血圧の患者で離床を試みた④のようなケースでは、「離床を目的とした訓練であった」旨を明記しておくと、査定対応がスムーズになります。
なお、問67で示されたとおり、1単位の中に拘縮予防の他動的訓練が一部含まれていても、それ以外の訓練が適切に行われていれば「特定の患者」には該当しません。「一部だけ他動」なのか「他動のみ」なのかが分かれ目です。
明日からのアクション
まずは、現在算定中の患者リストから「ベッド上のみで他動的訓練のみ」を実施している症例がないか確認しましょう。該当者がいれば、リハビリテーション実施計画書を見直し、可能であれば離床訓練や自動運動を計画に組み込んでください。
次に、リハビリスタッフ全員で問69の6事例を共有し、判定基準を統一してください。事例②〜④のような「ベッド上だが特定の患者に該当しない」ケースは、記録の書き方が査定対応を左右します。「自動運動を実施」「排痰訓練を実施」「座位保持訓練を実施」など、他動的な訓練以外の内容を必ず記載するルールを徹底しましょう。
最後に、医事課と連携し、レセプト点検時に「離床を伴わないリハビリテーション」での請求が適切か、ダブルチェック体制を整えてください。判断に迷う事例は、その都度、地方厚生局へ確認するのが確実です。現場の理学療法士の皆さまの丁寧な記録が、病院全体の収益と患者さんへの適切なリハビリ提供を守ります。一緒に乗り越えていきましょう。
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