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在宅クリニックの医事課担当
ゲスト当クリニックは連携型ではない単独の機能強化型在宅療養支援診療所です。24時間往診体制の要件で、往診担当医の氏名・担当日を文書で患家にお渡ししています。
先日、夜間に往診を予定していた常勤医が急に体調を崩して動けなくなり、急きょ別の非常勤の先生にお願いして往診に行ってもらいました。この先生は事前に患家へ氏名をお渡ししておらず、当クリニックの常勤医との事前面談もしていませんでした。
通知では「事前に氏名を提供していない往診医は、往診日以前に常勤医と面談して診療方針を共有した医師に限る」とあるので、今回のように当日の急病で間に合わなかったケースは要件違反になってしまうのか、とても不安です。こういう緊急時はどう対応すればよいのでしょうか。何か例外的な取扱いはありますか?また、代理で行ってもらった先生に経験年数や回数の条件はあるのでしょうか。記録として残しておくべきこともあれば教えてください。
♥ 0いいねをした人: いません当院でも在宅は夜間の急変対応がいちばん神経を使う部分です。予定していた先生が急に倒れる、というのは在宅をやっていれば必ず一度は経験する場面ですので、まずはご安心ください。
結論から申し上げます。今回のような「予定医師の急病による当日の代理往診」は、例外的な取扱いとして認められます。厚生労働省の疑義解釈(その4)問29が、まさにこのケースを正面から扱っています。ただし、認められるのは無条件ではありません。診療報酬上のペナルティを避けるには、これからご説明する4つの条件をすべて満たすことが必要です。今回の往診が条件に合っていたかを、ぜひ一緒に確認していきましょう。
1. 根拠となる通知:疑義解釈(その4)問29
この例外対応の根拠は、疑義解釈資料(その4)の問29にあります。問29は「往診を予定していた医師の急病等により、当日に急きょ、事前に氏名を提供していない医師へ往診を依頼することとなった場合、どう対応すればよいか」という問いに答えたものです。ご相談の状況とほぼ同じ場面を想定した内容です。
その答えは、「緊急事態が発生した場合の例外的な取扱い」として代理往診を認める、というものです。つまり、平時のルール(事前の氏名提供または常勤医との事前面談を済ませた医師に限る)を守れなかったとしても、急病という緊急事態であれば、一定の条件のもとで要件を満たすものとして扱われます。今回のケースは、この例外の対象になり得ます。
2. 例外が認められる4つの条件
この例外を使うには、問29が示す4つの条件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると例外として認められませんので、順に確認してください。
- 条件1:診療方針等の速やかな共有
代理の往診医は、対面または情報通信機器を用いて、当院の常勤医師または常勤の医療関係職種から、診療方針等の共有を速やかに受ける必要があります。事前面談ができていなくても、往診の前後に電話やオンラインで方針を引き継げばこの条件は満たせます。 - 条件2:往診医の経験要件
代理の往診医は、訪問診療または往診の経験を10回以上有し、かつ発熱等の急性疾患や在宅患者の状態変化等への対応経験が十分にある医師でなければなりません。誰でもよいわけではない、という点にご注意ください。 - 条件3:回数の上限
この取扱いは、6か月間に10日を上限とします。あくまで緊急時の例外であり、恒常的に使う運用は認められません。 - 条件4:診療録への記載
往診を行った際は、事前の氏名提供または事前面談をしていなかった医師が往診を行った「やむを得ない理由」を、診療録に記載する必要があります。
今回お願いした非常勤の先生が、訪問診療・往診の経験10回以上と急変対応の経験という条件2を満たしていれば、対応そのものは適切だったと考えられます。あとは、当日の方針共有(条件1)と診療録への理由記載(条件4)が済んでいるかを確認すれば、要件違反にはなりません。
3. 現場で進めていただきたい準備
緊急時に慌てないために、平時のうちに次の3点を整えておくことをおすすめします。今回の経験を、仕組みづくりのきっかけにしてしまいましょう。
まずは、今回の代理往診の診療録記載を確認してください。「予定医の急病により、当日やむを得ず代理往診を依頼した」という理由が書かれていれば大丈夫です。書き漏れていれば、今からでも経緯を補記しておきましょう。
次に、緊急時に依頼できる代理往診医のリストを作成してください。経験10回以上・急変対応経験ありという条件2を満たす先生をあらかじめ把握しておけば、当日の判断が一気に楽になります。あわせて、当院の常勤医からオンラインで方針共有を受ける連絡フローも決めておくと、条件1を確実に押さえられます。
最後に、6か月で10日という上限のカウント管理を始めてください。例外対応を使った日付を記録する簡単な台帳があれば十分です。上限を超えそうになる前に気づける仕組みにしておきましょう。
緊急時に先生がきちんと患者さんのもとへ駆けつけてくださったこと自体が、在宅医療として何より大切なことです。その対応が制度上もきちんと守られるよう、記録と仕組みを整えておきましょう。
♥ 0いいねをした人: いません - 条件1:診療方針等の速やかな共有
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