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急性期病棟の入退院支援看護師
ゲスト急性期病棟で入退院支援を担当している看護師です。先日、救急搬送されてきた独居の高齢患者さんの件でご相談させてください。
この患者さんは重度の認知症があり、ご本人の意思確認ができません。住民票上の親族は判明したものの、電話もつながらず、ケアマネや以前利用されていたサービス事業者にも確認しましたが、家族との連絡が全く取れない状況です。
令和8年度改定で退院困難な要因に「家族や親族との連絡が困難であること」が追加されたので、入退院支援加算の算定対象にはなると理解しています。ただ、算定要件の「患者及び家族と症状や退院後の生活も含めた話合い」や「文書で患者又は家族に説明」について、患者さんの意思も確認できず、家族にも連絡が取れない場合、一体どう対応すればいいのでしょうか?
話合いも文書説明も物理的にできない以上、算定を諦めるしかないのでしょうか。それとも何らかの代替手段が認められているのでしょうか。現場判断が難しく、査定も心配です。具体的な対応方法をご教示いただけますと幸いです。
♥ 0いいねをした人: いません令和8年度診療報酬改定により、入退院支援加算の退院困難な要因に「家族や親族との連絡が困難であること」が追加されました。この改定は、身寄りのない独居高齢者など、従来の算定要件では拾いきれなかった支援ニーズに対応するためのものです。本稿では、患者の意思確認も家族への連絡もできない場合の算定対応について整理します。
ご質問のケースは、診療録への記載と代替者への説明により算定可能です。具体的には、連絡困難に該当する理由と連絡を試みた経緯を診療録等に記載します。次に、患者の退院に向けた支援をする者等へ必要に応じて説明を行います。そして、家族や親族を特定する努力を尽くした記録が算定の前提となります。
第一のポイントは、本ケースが算定対象となることです。疑義解釈資料(その1)の問23では、「家族や親族との連絡が困難であること」に該当し、かつ患者の意思を確認できない場合の対応方針が明示されました。この疑義解釈により、話合いや文書説明が物理的に実施できない状況でも、算定を諦める必要はないことが確認されています。
算定対象となる「連絡が困難」の定義は、疑義解釈資料(その2)の問24に具体的に示されています。この定義によれば、患者本人への確認や入院前に利用していた医療・介護・福祉サービスの事業者、行政機関等への照会を行い、家族や親族を特定する努力を尽くしたにもかかわらず特定できない場合が該当します。また、家族や親族への相談を本人や当該家族・親族が拒んでいる場合も対象に含まれます。
第二のポイントは、診療録への記載事項です。疑義解釈資料(その1)の問23(答)では、該当する理由や連絡を試みた経緯等を診療録等に記載すれば、話合いや文書説明に代える取扱いが認められています。この記載は、算定の根拠を保険者に対して明確に示すための重要な証跡となります。
診療録への具体的な記載内容は、次の3点を網羅することが望まれます。まず、連絡困難に該当する理由を記載します(例:重度認知症で意思確認不能、住民票上の親族と連絡不通など)。次に、連絡を試みた経緯を時系列で記載します(例:●月●日電話連絡試行、●月●日前利用事業者へ照会など)。そして、家族等を特定する努力として照会した機関名を記載します。
第三のポイントは、代替的な説明対象者への対応です。疑義解釈資料(その1)の問23(答)の後段では、「必要に応じて、患者の退院に向けた支援をする者等に説明を行う等の対応を行うこと」と明記されています。この規定は、家族不在でも支援体制を切らさないための実務上の工夫です。
代替的な説明対象者は、疑義解釈資料(その2)の問24(答)が参考になります。この疑義解釈では、「家族や親族以外で治療方針等に関する意思決定や退院の支援を行う者を特定して連絡する等、適切な対応を行うこと」とされています。具体的には、成年後見人、地域包括支援センターの担当者、前利用ケアマネジャー、市区町村の高齢者福祉担当者などが該当します。
現場でまず着手すべきアクションは、3つの準備です。第一に、連絡困難ケース用の診療録記載テンプレートを作成し、記載漏れを防ぎましょう。第二に、連絡試行の記録様式(連絡先・日時・結果)を入退院支援部門で統一し、証跡を残してください。第三に、地域包括支援センターや成年後見制度の窓口をあらかじめリストアップし、代替説明対象者への連絡ルートを確保しておきましょう。
以上のとおり、家族との連絡困難かつ患者の意思確認不能のケースでも、入退院支援加算は算定可能です。算定の鍵は、連絡困難の理由と連絡試行の経緯を診療録に記載すること、そして退院支援をする者等への説明を行うことの2点です。身寄りのない患者さんほど支援を必要としています。制度を正しく使い、必要な支援を届けていきましょう。
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