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急性期病院の医事課スタッフ
ゲスト令和8年度の診療報酬改定で新設された「入院手術対応加算」について教えてください。当院は急性期病院で、短期滞在手術等基本料3を算定しています。
たとえば、K617下肢静脈瘤手術の「2」硬化療法を予定している患者さんがいます。この手術は局所で行うため全身麻酔は使いません。ただ、心疾患の持病をお持ちで、偶発症が起きたときのリスクが高い方です。
このようなケースでも、入院手術対応加算は算定できるという解釈で合っていますか。また、この加算を算定するには施設基準の届出が必須なのでしょうか。短期滞在手術等基本料3を算定していれば自動的に上乗せできるものなのか、判断に迷っています。
♥ 0いいねをした人: いませんご提示のケースは、入院手術対応加算を算定できます。心疾患という持病により偶発症のリスクが高い患者は、算定要件の一つに該当するためです。ただし、この加算には施設基準の届出が前提となります。短期滞在手術等基本料3を算定しているだけでは、入院手術対応加算は算定できません。本稿では、算定の可否を要件ごとに整理してお伝えします。
結論として、入院手術対応加算の算定には三つの条件をすべて満たす必要があります。第一に、施設基準を地方厚生局長等へ届け出ていることです。第二に、令和8年度改定で定められた三つの算定要件のいずれかを満たすことです。第三に、告示で列挙された対象手術等を行うことです。
前提として、施設基準の届出と基本料3の算定が必要です
入院手術対応加算は、短期滞在手術等基本料3を算定する場合にのみ算定できます。短期滞在手術等基本料1を算定する日帰り手術では、この加算は対象外です。まずは自院がどちらの基本料を算定しているかをご確認ください。貴院は基本料3を算定されているとのことですので、この点は満たしています。
この基本料3の算定に加えて、施設基準の届出が欠かせません。告示「注3」は、施設基準に適合し地方厚生局長等へ届け出た保険医療機関に限り、加算を認めています。したがって、基本料3を算定しているだけでは、入院手術対応加算は自動的には算定できません。届出をしていなければ、要件を満たしても算定はできない点にご注意ください。
なお、診療所はこの加算を算定できません。通知(17)は、算定できる医療機関を「診療所を除く保険医療機関」と明記しています。貴院は急性期病院とのことですので、この要件にも問題はありません。
算定要件は、三つのうちいずれか一つを満たせば足ります
入院手術対応加算は、通知(17)が定める三つの要件のいずれかに該当する場合に算定できます。三つの要件は、いずれも患者の状態に着目したものです。具体的には、次のとおりです。
- 要件ア(全身麻酔):手術に全身麻酔が必要な患者に対し、「L008」声門上器具又は気管挿管による気道確保を伴う閉鎖循環式全身麻酔を伴う場合
- 要件イ(偶発症リスク):患者の病態や内服薬等により、偶発症の発生する可能性、又は偶発症が発生した場合に重症化する可能性が高い場合
- 要件ウ(全身状態不良):原疾患により全身状態が不良である場合
ご提示の患者は、この要件イに該当します。心疾患という持病をお持ちのため、偶発症が発生した場合に重症化する可能性が高いと考えられるためです。全身麻酔を用いない硬化療法であっても、要件イを満たせば算定できます。要件アの全身麻酔は三つの要件の一つにすぎず、必須条件ではありません。
対象手術は限定列挙であり、ご予定の硬化療法も含まれます
入院手術対応加算の対象手術は、告示「注3」に限定列挙されています。ご予定の「K617」下肢静脈瘤手術の「2」硬化療法(一連として)は、この一覧に含まれます。加算の点数は235点です。
主な対象手術と加算点数は、次のとおりです。
区分番号・手術名 加算点数 K268 緑内障手術 6 水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術(片側) 1,043点 K616-4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 2 802点 K823-6 尿失禁手術(ボツリヌス毒素によるもの) 751点 K617-6 下肢静脈瘤血管内塞栓術 645点 K093-2 手根管開放手術(内視鏡下) 568点 K617 下肢静脈瘤手術 2 硬化療法(一連として) 235点 これらの手術は、入院した日から起算して5日までの期間に行うことが条件です。手術が一覧に含まれていても、6日目以降に実施した場合は加算の対象外となります。実施日が入院後5日以内に収まっているかを、あわせてご確認ください。
現場での確認手順
まずは、施設基準の届出状況を医事課でご確認ください。届出が済んでいなければ、要件を満たしても算定はできません。届出がまだの場合は、地方厚生局への届出準備を進めましょう。
次に、要件イに該当する根拠を診療録に残しておくことをお勧めします。通知上の明記はありませんが、心疾患による偶発症リスクの判断根拠を記録しておくと、審査時の説明がしやすくなります。主治医に一言記載をお願いしておくと安心です。
最後に、対象手術と実施日のチェックリストを作成してください。一覧に該当するか、入院後5日以内に実施しているかを、算定前に確認できる仕組みが有効です。レセプト点検の負担も軽くなります。
改めて整理します。ご提示のケースは、入院手術対応加算を算定できます。算定の鍵は、施設基準の届出、三つの要件のいずれかの充足、対象手術の実施という三点です。この三点をそろえて、適正な算定を進めてください。
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