結論から申し上げます。入院と外来の両方でクロザピンを使用する1人の患者は、施設基準上「1人」としてカウントしてください。「入院で1人、外来で1人」と分けて2人とカウントすることはできません。この取り扱いは、精神科急性期医師配置加算1だけでなく、精神科急性期医師配置加算3でも同様です。
本回答では、まず根拠となる疑義解釈の該当箇所を確認します。次に、なぜこの取り扱いになるのかを整理します。最後に、6人要件を満たすために現場でいま着手すべきアクションを提示します。
根拠となる疑義解釈の該当箇所
根拠は、「疑義解釈資料の送付について(その2)」の問75に明記されています。質問者の問題意識と完全に同じ論点が取り上げられており、結論も明確です。
問75では、「A249」精神科急性期医師配置加算1の施設基準にある「入院又は外来においてクロザピンを使用する患者数が年間に6人以上であること」について、入院及び外来でクロザピンを使用する1人の患者を、当該要件において2人とカウントすることが可能か、と問われています。これに対する答えは「不可」です。
さらに同問の答えでは、「精神科急性期医師配置加算3の施設基準においても同様の取扱いである」と明記されています。つまり、加算1と加算3のどちらにおいても、患者は「実人数」で数える必要があり、診療場面(入院・外来)でカウントを水増しする運用は認められません。
「実人数で数える」という考え方の意味
本要件は、医療機関がクロザピン治療にどれだけ実質的に取り組んでいるかを、患者の実数で評価する設計になっています。1人の患者を入院・外来で2回数えてよいとすると、同一患者を切れ目なく治療している医療機関ほど数値が膨らみ、実態を正しく反映しなくなります。疑義解釈で「不可」とされたのは、要件本来の趣旨を保つためです。
したがって、年間6人を満たすかどうかは、「その年に当院でクロザピンを使用した患者の延べ人数」ではなく、「実人数」で確認します。同一患者が入院・外来をまたいで使用していても、ID単位で1人と数える運用が正解です。
現場でいま着手すべきアクション
まずは、自院のクロザピン使用患者リストを「実人数ベース」で再集計してください。電子カルテや薬剤部のクロザピン患者管理台帳(CPMS登録患者リストが活用できる場合が多いです)から、対象年度に1回でもクロザピンを処方した患者を患者IDで名寄せし、重複を排除した実人数を出すのが第一歩です。
次に、その実人数が6人未満となる見込みの場合は、計画的な患者受け入れの検討を進めてください。具体的には、地域の精神科診療所や他院からのクロザピン導入目的の紹介患者の受け入れ体制を整備すること、CPMS登録医・登録薬剤師の体制を点検すること、入院での導入から外来移行までの院内パスを見直すことが有効です。
最後に、届出書類の整備として、患者ごとの使用期間(入院期間・外来通院期間)がわかる一覧を作成し、地方厚生局からの照会に即座に回答できる形で保管しておきましょう。実地指導の場でも、「延べではなく実人数で数えている」ことを示せる資料が手元にあると、説明が短時間で済みます。
まとめ
精神科急性期医師配置加算1および3の施設基準にあるクロザピン年間6人要件は、患者の実人数で判定します。入院・外来をまたいで使用していても、1人は1人です。疑義解釈(その2)問75を一次資料として手元に置き、自院の患者リストを実人数で再集計するところから始めてください。届出可否に関わる重要な論点ですので、医事課・薬剤部・精神科医師の三者で集計結果を共有し、年度途中でも進捗を確認する運用をおすすめします。