結論として、医療提供機能連携確保加算(A254)の実績要件は、自院の所在する二次医療圏で満たす必要はありません。ただし、施設基準通知(1)のアからエまでのうち2つ以上を、「人口の少ない地域」に該当する同一の二次医療圏で満たす必要があります。地域の取り違えは届出差戻しの典型例ですので、本回答でポイントを整理します。
本回答では、3つの観点から疑問を解消します。1つ目は「自院所在地と実績地域は別でよい」という大原則、2つ目は「同一地域で2つ以上」という地域集約のルール、3つ目は「(2)の追加要件」を満たす必要性、です。最後に、届出前のチェックポイントを具体的なアクションとしてご提示します。
自院所在地と実績地域は別でよい
実績要件の対象地域は、自院の所在する二次医療圏に限定されません。疑義解釈資料(その2)問20では、「外来・在宅診療体制の確保に係る診療(入院中の患者以外の患者に対して行う診療に限る。)の実績」について、「必ずしも当該加算を算定する保険医療機関が所在する二次医療圏において満たすことは要しない」と明示されています。
この回答が示すのは、実績の対象地域は「人口の少ない地域」を指すという点です。施設基準通知(1)のアからエまでに登場する「当該地域」とは、自院所在地ではなく「人口の少ない地域」を指すと整理されています。地方中核病院が、隣接する過疎地域へ出向いて巡回診療や外来診療体制を支えているケースを、まさに評価する建付けと理解できます。
貴院のケースでは、隣接する人口の少ない二次医療圏で巡回診療を実施されているとのことですので、その地域での実績を実績要件のカウント対象とすることが可能です。自院の所在地で実績がないことは、要件充足の妨げになりません。
同一地域で2つ以上を満たす
地域要件で最も注意が必要なのは、「同一の二次医療圏」での集約ルールです。疑義解釈資料(その2)問20の後段では、「アからエまでのいずれかのうち2つ以上を、人口の少ない地域に該当する同一の二次医療圏において満たす必要」があると明記されています。
「同一の二次医療圏」での集約とは、たとえば「A地域でア(巡回診療)」と「B地域でイ(外来診療体制)」というように別々の地域で1つずつ満たす形では、要件を充足できないという意味です。アからエの要件のうち、2つ以上を1つの「人口の少ない地域に該当する二次医療圏」内で満たす必要があります。
貴院が実績の集計を行う際は、まず「どの人口の少ない二次医療圏で活動しているか」を特定し、その地域の中でア・イ・ウ・エの該当要件を洗い出すという順序が確実です。複数地域で活動されている場合は、地域ごとに該当要件を整理した一覧表を作成すると、判断ミスを防げます。
(2)の追加要件も忘れずに
地域要件をクリアしたうえで、施設基準通知(2)の要件も別途満たす必要があります。疑義解釈資料(その2)問20の末尾では、「その上で(2)を満たす必要があることに留意されたい」と念を押しています。
(2)の要件は、巡回診療等の事業性に関する規定です。なお、関連する疑義解釈資料(その2)問21では、当該加算における「巡回診療」を「巡回診療の医療法上の取り扱いについて」(昭和37年6月20日付け医発第554号厚生省医務局長通知)に基づき、当該加算を算定する病院の事業として行われる診療(保険診療として行うものに限る。)と定義しています。医師が個人的に行う診療や、保険外の診療は、ここでいう巡回診療には含まれない点にご注意ください。
届出前の現場アクション
届出前には、3つのアクションをお勧めします。第一に、貴院が活動している「人口の少ない二次医療圏」を地図上で特定し、その医療圏ごとにア~エの該当実績を一覧化してください。第二に、特定した同一医療圏内でアからエまでのうち2つ以上を満たすかを確認し、根拠となる診療実績データ(実施日・対象患者数・診療形態)を揃えてください。第三に、巡回診療を実績に含める場合は、医発第554号通知に基づく病院の事業として位置付けられているか、保険診療であるかを所管厚生局に事前確認してください。
結論を改めて整理します。医療提供機能連携確保加算の実績地域は、自院所在の二次医療圏に縛られません。「人口の少ない地域に該当する同一の二次医療圏」内で、ア~エのうち2つ以上を満たし、かつ(2)の要件も満たすことが必要です。届出資料を作成する前に、「どの地域で・どの要件を・どんな実績で」満たしているのかを整理しましょう。
📌 根拠資料
- 疑義解釈資料の送付について(その2)令和8年4月1日事務連絡 問20・問21
- 巡回診療の医療法上の取り扱いについて(昭和37年6月20日付け医発第554号厚生省医務局長通知)