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がん診療連携拠点病院の医事課職員
ゲスト令和8年度の診療報酬改定で、これまで検体検査判断料に紐づいていた「遺伝カウンセリング加算」が廃止され、代わりに第1部医学管理等に「B001-11 遺伝性疾患療養指導管理料」が新設されたと聞きました。
当院ではがんゲノム医療を含む遺伝学的検査を実施しており、遺伝カウンセリング加算をこれまで算定してきたのですが、今回の見直しで以下の点がよく分かりません。
そもそも、なぜ検体検査判断料の加算から医学管理料に位置づけが変わったのでしょうか。改定の趣旨を教えてください。
また、加算が廃止されて医学管理料になったことで、算定できる「タイミング」は変わるのでしょうか。これまでは検査を実施したときにしか算定できないと理解していましたが、検査前のカウンセリングや、検査後の継続的な療養指導の場面でも算定できるという解釈で合っていますか。
医事課として現場の医師・遺伝カウンセラー・看護師にどう周知し、何から準備を進めればよいかも併せてご教示いただきたいです。
♥ 0いいねをした人: いません結論:B001-11は「検査時の加算」から「必要な時に算定できる医学管理料」へ生まれ変わりました
結論からお伝えします。今回の見直しは、遺伝カウンセリングを「検査の付属物」から「独立した医学管理」へ格上げする趣旨です。これにより、検査実施時に限らず、必要な場面で適切な時期に算定できるようになります。医事課としてまず取り組むべきは、遺伝診療部門との算定フロー再設計です。
本回答では、改定の趣旨、算定タイミングの考え方、現場での具体的なアクションの3点を順に解説します。いずれも疑義解釈資料(その2)問59を一次根拠としています。質問者様が抱えている「位置づけの変化」「タイミングの拡大」「部門連携」という3つの論点に沿って整理しますので、医事課内の勉強会資料としてもご活用ください。
1. 改定の趣旨:質の高いゲノム医療を推進するための再評価です
今回の改定は、関係学会からの医療技術評価提案を契機として、遺伝カウンセリングと遺伝学的情報に基づく療養指導を独立して評価し直したものです。疑義解釈(その2)問59に「質の高いゲノム医療を推進する観点から、遺伝カウンセリング及び遺伝学的な情報に基づく療養指導に係る評価について議論され、見直しが行われた」と明記されています。
従来の「遺伝カウンセリング加算」は、検体検査判断料に付随する加算でした。この建付けでは、検査を実施した日にしか評価されず、検査前の意思決定支援や、検査結果が出た後の長期的な療養指導は十分に評価されない構造でした。
新設の「B001-11 遺伝性疾患療養指導管理料」は、第1部医学管理等に位置づけられました。医学管理等に移ったことで、検査と切り離して「療養指導」として独立評価される建付けとなり、医療技術としての位置づけが明確になっています。
2. 算定タイミング:検査実施時に限らず、必要な場面で算定できます
算定タイミングについては、質問者様の解釈どおり、検査時に限定されません。疑義解釈(その2)問59は「遺伝学的検査等の実施時だけではなく、必要な場面において、適切な時期に、質の高い医学管理が実施されることが期待される」と明示しています。
必要な場面とは、具体的には検査前の遺伝カウンセリング、検査後の結果説明、確定診断後の継続的な療養指導、家族への情報提供を伴う指導などを指します。これらの場面で適切な時期に算定可能となった点が、従来加算との最大の違いです。
ただし、算定の細目は本通知本体および留意事項通知の規定に従う必要があります。算定回数の上限や対象患者、施設基準、記載要件については、疑義解釈ではなく告示・通知の原文を必ず確認してください。疑義解釈はあくまで解釈の補足という位置づけです。
3. 現場アクション:医事課が主導する3つの準備を進めましょう
医事課としての準備は、関係部門の巻き込みから始めます。遺伝カウンセリング加算は検査部門中心の運用で完結しましたが、医学管理料は外来診療や継続フォローと一体で動くため、診療部門との連携設計が不可欠です。
第一に、算定対象患者の洗い出しを行ってください。現在ゲノム医療や遺伝学的検査を受けている患者、遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)や遺伝性腫瘍の家系内検査を受けている患者などをリストアップし、過去にどのタイミングで遺伝カウンセリング加算を算定していたかを棚卸ししましょう。
第二に、算定フローと記載要件を整備してください。検査時だけでなく、検査前後のカウンセリング外来でも算定できる運用に切り替えるため、診療録への記載項目、指導内容のテンプレート、レセプト摘要欄の記載例を医事課で標準化することが重要です。
第三に、関係スタッフへの周知を進めてください。遺伝カウンセラー、認定遺伝看護師、主治医、外来看護師に対し、「いつ・どの行為が算定対象になるか」を院内マニュアル化し、6月診療分のレセプトで取りこぼしが出ないよう、勉強会の開催を急いでください。
まとめ:算定範囲が広がるからこそ、部門連携と運用整備が成否を分けます
遺伝性疾患療養指導管理料の新設は、ゲノム医療の質を底上げするための重要な見直しです。算定タイミングが検査時から「必要な場面」へと広がったことで、適切に運用すれば従来より幅広い場面で評価を受けられます。一方で、運用整備を怠れば算定漏れが生じるリスクもあります。まずは疑義解釈(その2)問59と本通知を読み合わせ、遺伝診療部門と算定フローの再設計に着手しましょう。
【根拠資料】厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その2)」問59(令和8年度診療報酬改定)
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